30. ウサギとカラスー金庫を見つけるの巻
ユリコとススムが会話していた時、ウサギとカラスは、赤のワープのありかを探していた。
「おい、ウサ公。ワープは消えてなくなっちまったんだよ」
「それは何度も、耳に毛が入るくらい聞いたよ!」
「おい! 耳に毛はとっくに生えているよ。耳にはタコだよ! タ・コ!」
「うるさいなー! タコなんてみたことないの。カラスの声はひどく耳に響く。そんなに耳元で叫ばなくたって聞こえるよぉ」
ウサギは、銀色の大きな四角い箱の裏に何かが挟まっているのを見つけた。
「あぁ! なんかあるよ! 奥に入っていて、取れないや。カラス、どうしたらいい?」
カラスは、部屋を見回して、挟まった物を取り出すのに良さそうな道具を探し始めた。
「いいの、ないかな……?
あったぞ! これはいいかも」
嘴で持ってきたのは、黒い長い棒のようなもの。それが何なのかは、二羽には分からなかった。
カラスは器用に棒で、金庫の下の隙間から差し込んで左右に動かした。すると奥で、ガチャガチャと音がした。
「おいっ!音がするぞ、カラス!」
「言われなくたってぇ、分かってるさ!」
カラスのくわえた棒の先は、運良く、その何かに引っ掛り、引き出すことに成功した。
「カラス! 良くやった! お前にも取り柄はあるんだなぁ」
「うるせー、お前に言われたぁないわ」
「これは何? やけにキラキラしてるへんな形のやつ」
「わかんねーやつだなぁ……。こりゃあ、鍵だよ。しかし、種類がありすぎるから、一つ一つ合わせてみねぇと分からねぇな。ちぇっ。この金庫に何が入ってるのか気になってきたぜ。ちとやってみろ、ウサギ」
鍵の形は、見分けのつかない微妙に異なるものから、不思議な形をしたものまで様々だ。何十個もの鍵が、一つの大きな輪っかにぶら下がっている。これは、地道に鍵穴に差し込んで試していくしかなさそうだ。
最後の鍵だ。
ガチャ。
「開いたぞ!」
取っ手をつかんで厚い扉を開く。二羽が見たのは、絶望だった。
「ん、なんだよ! また扉かよ!」
小さな深緑色をした、金属の扉があったのだ。扉には、鍵穴はあるが、その他に数字の並んだ盤がついていた。
「今度は、吾輩がやってみる」
ウサギがさっきの要領で、鍵を差し込むが、今度はどれも入らなかった。
「ふむ……。分かった。これは、暗証番号を入力しないと開かない仕組みなのさ。この、四角い盤で、打つんだよ。厄介なこったな。……だが、それだけ、中にあるものは、お宝ったゅうことよ」
「おたから?」
ウサギの目が、ウルウルキラキラしているのをカラスは無視して言った。
「これは、正確に入力しないといけない。大概は、何度かまでは、ミスれるが、それ以上だとロックがかかるか、警報が鳴って人間どもがやってくる仕組みになってることが多い。だから、『番号は正確に』だ!」
「カラスはよく知ってるなぁ……」
「まあな、知能は人間の次に高いからな、カァカァカァカァ!」
「……」
「そこは何か言えよ!!」
ウサギはニヤリと笑って言った。
「じゃあ、頭のよいカラス様! ピタリと番号当てたなら、わたくし、ウサ公、あなた様の家来になってやりましょう」
「よーし、そうきたなぁ! 待ってろ! ピタリと合わせてやる!」
鼻息荒く、カラスは紙とペンを、どこからか持ってきて何かを猛烈に書き始めた。
ふんっ、何の手懸かりもないのに、一から暗号を考える積もりか。まず、無理だな、とウサギはほくそ笑んだ。しかし、お宝とは一体なんなのだろう。ん~……、カラスよ。やはり、是非とも解いてくれ、とウサギは思い直すのであった。
本日もお読みいただき誠に有り難し、有り難し。




