4.友人と仲良くしよう
※この作品のメインヒロインは一恵さんです(大嘘)
隣の席の美少女も助けられたし、学校外でも綺麗なお姉様との爛れた関係ができあがってる。
高校デビューの思っていた形とは少し違うが、かなり順調な滑り出しだ。
ただ、このままだとマンネリ化しかねないから、新しいことがしたい。そこで今度は、友人達との仲を深めてみようかと考えている。
なので、ちょっと今回は友人達を紹介させてもらおう。
「うぃ~す。治樹。放課後遊ばね?」
まず1人目。高校で最初の友人となった、アケクニこと明智国人。
俺のいる陽キャグループのリーダー的存在である。
「治樹は付き合い悪いし、どうせ来ないんじゃね?」
2人目。俺の前であっけらかんとそんなことを言ってのけるのが、髪を金に染めた女子。竹中羽野。通称「はののん」だ。
毒舌なところがあるが、これが所謂陽キャのいじりというものなのだろうと思っている。クラスの中では女子のカーストトップ的扱いを受けているぞ。
「いや、だとしても誘うくらいはしようよ。治樹がかわいそうじゃ~ん」
3人目。一応庇っているような気がしないでもないことを言うのが、黒髪のロングで後ろ姿だけ清楚に見える女子。赤縁蒼生。「縁」が「緑」似ていることから、3色名前に入っていると考えてあだ名は「三色」だ。
耳にはピアスをつけていて、カラコンまでつけている。顔がかなり派手で、話によるとアケクニと付き合っているらしい。アケクニは俺より先にリア充となったようだな。
……くっ!待っていろ!必ず追いついてやる!!
で、そんな風をしているから3人は俺に視線を向けているが、突如何かが動く気配を感じて全員視線の向きを変える。
その先にいるのは、
「……んゆ?何?皆起きてゆの?」
まだ呂律が回っていないようにそう言って、目を擦りつつ体を起き上がらせる女子が。
彼女はこのグールプの4人目。
俺を除けば最後のメンバーである彼女は、夢野マクラ。いつも眠っていたり眠そうにしていたりするので、あだ名は「ネム」。
基本的に授業中も休憩時間も寝ているのだが、昼休憩の時だけ起きている変わった子だ。それもあってクラスから浮いていたのだが、俺が率先して声をかけてこのグループに入れた。……あまりにも浮きすぎると、イジメに繋がりかねないと判断したからな。
そんな彼女は、今やこのグループのマスコット的存在である。
背が低くて見た目が幼く、普段のねむそうな顔や呂律の回ってない言葉が庇護浴をそそる。愛されキャラなのだ。
「ん~。夜じゃなければネム以外は基本起きてるぞ。今は、治樹に遊びに行かないかって訊いてるとこ」
「あぁ~。そうなんだ。……僕、来ない方に500」
「何賭けてんのwそれ、皆来ない方に賭けるから賭けが成立しないって」
アケクニは状況を説明し、それを聞いたネムがどや顔で懸を始める。そして、その言葉を受けたはののんが皮肉めいた笑みを浮かべる。
俺はそのノリに乗っかって、
「何だよそれぇ~。俺がまるで来ないみたいにさぁ」
「ん?じゃあ来るのか?」
「行かない」
「……何だそれ」
何だそれとは言うが、最初から分かりきっていたことなので特にどちらも文句はない。ここもいつも通りのお決まりな会話だ。
こんな感じで、陽キャっぽい雰囲気で俺たちは過ごしている。
どうだろうか?とりあえず俺たちのグループの雰囲気は伝わっただろうか?
こんなグループの中で俺は仲を深めたいと思っているのだが。
「放課後と休日は仕事で遊べないんだよなぁ」
問題はそれである。
学校の中ではともかくとして、休日や放課後は月島一恵と共に働く必要があるため友人達とは遊んでいられない。
「治樹、前から思ってたけどバイトどんだけ入れてんだよ」
「土日も全く遊べないとか、何やってんの?危ない仕事とかしてるんない?」
友人達は俺を見ながらそんなことを言ってくる。ひどい言い草だ。
AI育成はまっとうな仕事だし、ハッキングだって俺の腕なら危ないなんてことはあり得ない。
「働いてんのが俺を含めて2人だから、あんまり休めねぇんだよ。仕方ないだろ」
というか、トップが俺なのだ。月島一恵が休みの時以外は休むことがない。
まあ、そういうことで俺は普通の休みに友人と仲を深めることができない。となれば学校の中での仲を深めることが必要となってくるのだが……
まあ、全員と仲を深めるのが難しいというのなら、1人1人仲を深めていけばいい。個別に話す機会を作ってみるのも良いかもな。
ということで、まずは1人仲を深める相手を考えてみる。
アケクニはお互い最初に友人となった相手だからそこそこ仲が良いし、三色はアケクニの彼女だからアケクニと仲良くしておけば話す機会もあるはず。そしてネムは俺が引き込んだからそこそこ懐いてる。
だから残った「はののん」がまずは仲良くする第1候補だな。
ってことで、早速はののんの所に行こう!さっき羽野のんはグループの奴らより先に移動教室で教室を出てたから、これに追いついて話しかけてみれ、ば……ん?廊下の奥の人気がないところで、はののんが外を眺めてる。
哀愁漂う雰囲気だが、何があったんだ……?
俺は好奇心から近づいていく。そして、
「私が幸せになる資格なんてない」
マジかよお前もか、