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4.長女と幸せと契約と

『ふふっ。混乱されているようですね』


『ああ。混乱してる。お前、何か知ってんのか?』


あっさりと楓は奴らを始末した。あの家の中にもいくつかカメラを仕掛けていたのだが、穏当に楓を認識すらできなかったな。録画データもあるから何度も見返しているのだが、それでもどこにいるのかすら分からない。

本当にスキルって言うのは厄介だ。どうにかその力を手に入れるか対処方法を考えるかしないとな。


と、俺が頭を悩ませている間。

楓も同じく頭を悩ませている。

同じ見た目の敵だと思われる存在がいたのだから、それは悩むものだろう。今はゼロツーが問い詰められているところだ。


『教えても構いませんが、まずは対価を払って頂ければ』


『ああ。……そうだな。分かった。じゃあ、教えることにしよう』


おっと。一旦考え事は後回しだ。楓が魔法の使い方を教えてくれるていうんだから、今はそれに集中しなければな。

今練習するなんてことはしないが、話だけはしっかり聞かせてもらおう。


『まず、こういう所に魔力が溜まっていて』


『ほぉほぉ』


『それを感じて、こうしていくと……』


その後、数十分間。それこそ1時間近くかけて魔力操作の解説が行なわれた。

懇切丁寧に説明が行なわれ、非常に興味深い内容だったな。今度楓がいないときに練習することにしよう。


説明が終わると、


『ふむ。大まかなことは分かりました』


『そうか。それは良かったな。……それじゃあ、殺気のことについて説明してくれ』


『分かりました。ターゲットと同じ見た目の存在が2人いたことについて、ですね?』


『そうだ』


今度は怪物を生み出していたやつの話になった。楓からすれば、分裂したのか増殖したのか色々疑問だろうな。


『簡単にいってしまえば、あのような存在は数多く存在します』


『数多く?』


『はい。現在見分けられる存在は、討伐された二名を除いても10名以上存在します』


『なっ!?1人だけかと思ってたのに、そんなにいるのかよ!』


楓にとっては衝撃的な事実だったようだ。

ただ、楓が偶に共闘しているグループの中の幾人かはその可能性に気付いていたがな。会話がかみ合わなかったりするのを感じていたらしい。


『数は多いですし、これから増えていく可能性だってあります』


『そ、そうなのか……』


色々と頭の中の常識だと思っていたものが打ち壊されているのだろう。

楓は頭を抱えていた。


『さて、ここで少し前にお話し致しました、継続的な取引というものが関わってくるわけです』


『あ、ああ。それか。……それがどうしたんだ?』


おっと。

取引が始まったな。楓はまだ理解していないようだが、ゼロツーは仕掛け始めている。


『私たちは、魔法を使うプロセスというものを知らないわけです』


『そうだな』


『ですので、それを私たちに教えて頂く代わりに、あなたの遭遇したあの怪物を生み出す存在に関する情報を提供しようかと思っているのです』


『情報を提供……もう少し詳しく頼む』


『ええ。もちろんです。……とは言いまして、難しい話ではありません。単純に、あなたと遭遇して逃げた存在が、どこにいるのかというのを1度伝えるだけです』


『……なるほど』


居場所を伝える。

それも、1度だけだ。

しかしそれは、楓にとってはそこまでデメリットではないだろう。居場所さえ知ってしまえば、その実力を持ってすれば仕留めるのは難しいことではないのだから。


『分かった。じゃあ、プロセスに沿って技術を教えていく。……その代わり、俺に奴らの居場所を教えてくれ』


『了解しました、契約完了ですね』


ゼロツーがそういう。

そして、俺もそう思っていた。これで、ひとまずは取引は終わりだと。


だが、


『いや、待ってくれ。俺は窓前のことを信用できたわけではない。……だから、契約を結ばせろ』


『契約を?』


よく分からない話だった。なにせ、すでに口頭でのこととは言え、契約を結んでいるのだから。

それ何契約を結ぶと言い出すのは意味が分からない。


……と思っていたが、すぐにその意味を思い知った。


『契約を結ぶに当たって、契約魔法を使おうと思う』


『……なるほど。何かしら契約に関する事柄で私たちを縛る魔法が存在するわけですね?』


『その通りだ』


楓は頷く。

俺も楓の様子を観察する間に色々と魔法は診てきたが。おそらくこのタイプの魔法は初めて見る。

実に興味深い。しっかりと録画しておこう。


『それでは行くぞ……』


ゼロツーの返事を待たずに、楓は何かを唱え始める。

とはいえ、詠唱と言うほどのモノでも無く、おそらく魔法名を唱えたのであろうと言うことが分かった。その呟きが終われば楓の腕から魔法陣が現われ、ゼロツーと楓を縛った。


『これで、契約成立だ。この契約をお前が破ることは不可能だと思う』


『分かりました。……まあ、元々破るつもりはないので構いませんよ』


ゼロツーは特に気にした様子もないようにいう。

だが、現在ゼロツーの本体と俺は大興奮中だ。知らない魔法を見れたのは大きい。解析を急がねばな。

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