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3.長女と幸せと side獅童楓

『ハハハッ。そんなに怖い顔をしないで頂きたい。勿論場所は教えますが、私としてはその対価を頂きたいのです』


宙に浮かぶドローンは、そんなことを言ってきた。

対価。対価だ。目の前のドローンは、対価が欲しいと言っている。

普通はここで嫌がったり、人の心はないのかとかいったりするのかもしれない。だが、俺の心はなぜか対価という言葉に安心感を憶えていた。


……たぶんこれも、俺の前世の影響だろう。傭兵なんて職業をやってたから、仕事の内容と宝珠には敏感なんだ。そして、変に対価を要求してこなかったり割に合わなかったりすると、何か裏があるんじゃないかと思ってしまう。


「その対価ってのは?」


『対価は単純です。私、いえ、私の制作者様に、魔力の操り方を教えて頂きたいのですよ』


「魔力の、操り方?」


てっきり、魔法の使い方を全部教えろって言われるのかと思ってた。

なのに、そこで提案されたのは初歩の初歩でしかない魔力操作について。俺に有利すぎて怪しいとしか思えない。

そう思って俺が訝しんでいると向こうにもそれが伝わったのか、


『ああ。怪しく思われているのは分かっています。ただ、素直に言えば、私たちとしてはあなたと長いお付き合いをしたいと考えているので』


「長い付き合いを、か」


『ええ。ですので、細かいところから1つずつ教えて頂ければと思っているのです』


長い付き合いを望むなら、大きく報酬を受け取るより細かく報酬を受け取った方が良い。

その理論は分かる。

が、


「この先の付き合いがあると考えているのか?俺が求める物とか特にないぞ?」


今回居場所を知れば、俺はその怪物を生み出すやつを倒すことができると思う。これでも得意ではないが隠密行動のできるスキルも持っているし、場所さえ分かれば暗殺できる。

これ以上向こうが俺に対して得になる情報を提示できるとは思わないのだが、


『ふふっ。それはどうでしょうか?』


帰ってきたのは何か裏がありそうな言葉。いったいこいつは何を隠しているんだ。

本当に気になることがありすぎて困るが、


「分かった。その話乗った」


『ありがとうございます』


話を受け入れることにする。

魔力を誰かが操れるようになるのと怪物を生み出す存在を倒せるのを天秤にかければ、この話を受け入れる方がメリットは大きい。


『では、どちらを先にしますか?』


「ん?こっちが選んで良いのか?」


『ええ。構いませんよ』


まさかそんなことを言われるとは思わなった。絶対に向こうが報酬を得る方が先だと思ってたんだけどな。だからこそ傭兵時代のことを思い出して交渉の準備までしたのに。

まあ、選ばせてくれるって言うなら、


「居場所を教えてもらって、やつを俺が倒すのが先だな」


『分かりました。まあ、倒せるかどうかはともかくとして居場所の情報提供とあなたの攻撃を先に行なうとします』


ドローンはそんなことを言ってくるが、俺は確信してる。俺なら絶対あいつを倒せるってな。俺はあんな逃げてばかりのザコには負けねぇ。今回こそは逃がさずに確実に仕留めてやるぜ。


『居場所への案内は必要ですか?』


「いや、必要ない地図で場所と、緯度と経度を使って大まかな座標を教えてくれ」


『分かりました。では……』


ドローンが移動したかと思うと、空中にホログラムが現われる。

……色々と技術力高いなこいつ。ホログラムとか当分先の話だと思ってたんだが。ここまでできるなら、こいつを作ったのもどこかの組織だろうな。


『……といった感じですが、もう少し詳細な情報が必要ですか?』


「いや。大丈夫だ」


場所を教えてもらった俺は、早速イメージを固める。

これから使うのは、日頃あまり使わない高度な魔法だ。前世だと魔力が足りなくて使えなかったものだが、今の俺ならやれる!


「それじゃあ、俺は今から行く『転移』」


『おぉ。それが……』


ドローンが何か言い切る前に俺の周りの景色が変わる。

やっぱり転移魔法って便利だな。すぐにターゲットのいる場所ってのにこれた。目の前にあるのは一見普通の一軒家だが……。


「早速潜入するか」


隠密系スキルをフル活用して侵入する。ご丁寧に鍵を開けたりはせず、壁抜けのできる魔法を使って入った。これでも市鍵とかに何か器具とかが取り付けられていた場合もバレることはないはずだ。


家の中に侵入してみれば、外見が一般的だったのに比べて内装は非常に豪華。良く俺には分からん絵やら骨董品やらが置かれていて、金を持っていることが分かる。

そして、


「……ぉ?」


「ぁ……」


微かにだが、話し声のようなものも聞こえた。

俺はスキルが使えていることを再確認してから、声の方へと向かう。

そこにいるのは、


「っ!?」


思わず息をのむ。

幸いなことに音が漏れないようにするスキルも使っていたからバレることはなかったが、俺の驚きは相当なものだ。

だって、


「俺は3人だぞ!」


「はっ。大事なのは数じゃない。質なんだよ!」


だって、あの逃げてばかりのあいつが、そっくり同じ姿で2人いたのだから。

俺は混乱する。とりあえず、2人の首を刈り取るしかなかった。

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