表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/27

1.復讐と幸せと side月島玲

私は月島(つきしま)(れい)

普通のどこにでもいる女の子……よりもちょっと心が復讐心にまみれてて、お金のない高校1年生。


「……どうしよう」


今、私は絶讃困ってる。

お母さんの治療費を払わなきゃいけないのに、それ以前に私の生活費がない!正直高校に行くのもお金が勿体なくていやだったけど、お母さんが悲しそうにするから仕方なく行った。

でも、今はそれを後悔してる。あんなお金を使わなければ、あと2ヶ月は生活できたかもしれないのに。


「……はぁ」


私は歩く。スーパーで買った半額以下の値段にまでなっていたポテトサラダを手に持って。制服姿のまま、帰り道を思い出して。

この時間まで制服姿なのはちょっと変な気もするけど、普段着を買う余裕もないから仕方がない。……洗濯する余裕もないから、臭いとか言われないと良いんだけど。


「お金、どこかに落ちてないだろうか」


思わず。私の口からそんな呟きが漏れる。

落ちているわけがないし、誰に対してのものでもない呟きだった。

だけど、


『運に頼るか。愚かだな』


「っ!?誰!?」


突然、変な声が聞こえた。

私は周りを見渡してその姿を確認しようとするけど、人影はない。


「ど、どこにいるの!?」


『ここだ。お前の目の前にいるぞ』


混乱する私。そんあ私の周囲にそよ風のようなものが流れる。

視線を戻せばそこにいる、いや、あるのは、


「ド、ドローン?」


『そうだな。俺の名は『イレイサー』だ宜しく』


「よ、よろしく?」


色々な疑問が湧き上がってくる。

なんでこんなところにドローンがいるのかとか。なんでドローンが私に話しかけているのかとか。

でも、私がそんな質問をする前に、


『お前、復讐がしたいんだろう?』


「っ!」


私は息をのむ。なぜこのドローンが、いや、このドローンの中の人そんなことを知っているのか。不思議でたまらない。

でも、知っているのならそれで良い。

それなら、


「うん。復讐したい。何か知ってるの?」


私は頼る。

復讐のためなら、悪魔にだって命を売ってもいい。


『くくくっ。そうか。なら、手伝ってやろう』


そう言った直後、カランと音が地面から。

音のした方をみてみれば、そこには蛍光灯の光を反射して輝く金属、ナイフのようなものが落ちていた。


「……これは?」


答えは分かっている。けど、とりあえず聞いてみる。


『分かっていると思うが、お前の復讐対象を殺害するための道具だ』


「そうだと思った」


私はナイフを拾う。ずっしりとした重みがあり、脳裏にこのナイフが血に染まる光景が思い浮かんだ。

そっと先端に触れてみれば、鋭い痛みがあり、速度と体重を乗せればしっかり突き刺さることも理解できる。

だけど、


「突然こんなモノを渡されても、困る」


まだ私は復讐対象である父親を探している段階。その段階で殺害方法、というより凶器だけ渡されても困る。

でも、それに対してのイレイサーとか名乗るドローンの返答は、


『まあ、普通はそうだろうな』


「普通は?」


『ああ。つまり今は、普通じゃない状況ってことだ』


このドローンの向こう側で、声の主が笑っている光景が思い浮かんだ。私は理解できないことを言うイレイサーに少しの怒りを憶える。

でも直後、私の目の前に小さな1つの影が近づいてきた。それにより、私のイレイサーへの怒りは一瞬にして収まる。

なぜならそれは、その現われた人物の顔は、


「……父、親?」


間違いない。

何度も何度も写真で確認してきた。あの顔を私が忘れることはない。

多少写真を撮ったときからは老けていて、服装も大人しくなって、全体的にふくよかにはなっているけど、間違いなくあいつは私の父親。


『とりあえず、周辺の監視カメラの映像は誤魔化してある。ここでやるかやらないかは、お前が決めろ』


「…………」


イレイサーの言葉に、私は思わずナイフを握る力を強くする。

ずっと考え続けてきたけど、いざ復讐を目の前にして、躊躇する気持ちが出てきたのも確か。私が強く握ったナイフが小刻みに振るえているのが分かる。

でも、それでも私は、


「…………っ!?何だね?君、は!?……があぁ!ゲホゲボッ!!」


躊躇は一瞬。

まっすぐ走っていき、目の前の父親へとナイフを突き立てた。まず狙ったのは刺さりやすい腹部。柔らかく侵入の邪魔をする骨も少ないから、簡単に突き刺さる。

それから次は、腹部を押さえてうずくまったところを首めがけて突き刺す。頸動脈でも切れたのか、激しく血が噴き出すけど、私はそれでも何度もナイフを抜いては突き刺す。


刺して。刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して刺して!!

命を奪ったかどうかの確認をすることもせず、ひたすら


『………………そろそろ辞めた方が良いんじゃないか?』


「……分かった」


数分間は刺し続けていた。

そこでやっとイレイサーの声掛かり、私は手を止める。


『証拠の処理をするから指示に従え』


「分かった」


私は即答する。ここでイレイサーを疑っても仕方がない。

もしここで私が罠に嵌められるというのなら、すでに人を殺した時点で手遅れ。利用されたのならば、せいぜい殺した父親が本物なことを祈るだけ。


『指示はスマホから行なう。とりあえず隣の家で血を洗ってから……と、その前にあれだな。本物の父親かどうか確かめるならDNA鑑定でも、ってできるわけないか』


突然の提案。それに私は驚くけど。


「大丈夫。《推しの親》の解説動画でDNA鑑定のやり方載ってたからできる」


『……そうか。最近の若者凄いな』

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ