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プロローグ

新作です。宜しくお願いします!

「私が幸せになる資格なんてない」


俺は推しの動画投稿者のアドバイスに従い、陽キャな高校デビューを果たそうとした。そこでまず手始めに美少女な彼女を作ろうとしていた。

だから、見かけたちょっとかわいい女子に話しかけようとした矢先にこの台詞だ。


流石にその発言は重すぎるってぇぇぇ!!!美少女なのも相まって、なんか良くない雰囲気が出てるぅぅぅ!!!


俺は流石に話しかける気にならず、そっとその場を離れた。



「……うぃぃぃすっ!よろぉ~」


「おぉ~。よろ~」


なんか目茶苦茶陽キャっぽい挨拶をしながら、入学式の会場である体育館に入る。

たまたま近くに陽キャっぽいやつがいたから、こいつと仲良くなれば俺も陽キャグループの1人になれそうだ。

……つまりどういう事かって言えば!



勝ち組になれるってことだ!!!



まあ、正直本音を言えば勝ち組とかどうでも良いはどうでも良いのだが、俺の推しが勝ち組になるのは大事とか言ってたからな。ちゃんとその辺は実践していきたい。

俺の推しが言うには、勝ち組になるためのポイントは

1.友達を作る(友達の見た目は派手な方が良い。ただし不良は安全性の観点からNG)

2.友達数人とのグループを作る(男女混合が望ましい)

3.美人な彼女(彼氏でも可)を作る!

この3つだ。他にも細かいポイントはこれ。俺としては是非ともこれを達成したい。

そのためにはやはり、


「隣は君か。私は月島(つきしま)(れい)だ。よろしく」


この隣の席になった「私は幸せになる資格がない」発言の美少女と仲良くなる必要がある!美人とイケメンと仲良くなるのは大切だって推しも言ってた!


「俺は獅童(しどう)治樹(はるき)だ。隣の席美少女とかマジラッキーだわ。よろ~」


よし!目茶苦茶陽キャっぽい挨拶できた!これは及第点だろう!

月島は微妙な顔をしているが、全く問題無いな!これから挽回していければ良い!!

俺がそう思いながら未来のことをぼんやりと想像していると、


「おぉ~。お前治樹っていうんだな?俺、明智(あけち)国人(くにひと)。よろ」


体育館に入っていくときに挨拶だけした男子が話しかけてきた。

実に陽キャっぽい見た目の男子だ。


「おぅ。アケクニな。よろ」


陽キャはあだ名をつけると聞いた。……たぶんこんな感じで良いと思うんだが


「アケクニ?……おぉん。まあ、いいか。よろ!」


こうして俺は男子の友人アケクニを手に入れた。その後も女子や男子の数人に声をかけ、グループを形成していく。

これが陽キャグループか、なんて思いながら俺は3つの目標のうちの2つが達成されたことに喜びを覚えた。


だからこそ、不満がある。せっかく楽しい高校デビューを成功させようと思ってんのに、そんな雰囲気にそぐわないやつがいるなんて。



※※※



「私が幸せになる資格なんてない」


ずっと。ずっとそう思い続けてきた。復讐に囚われた私は、幸せになんてなれないと。

でも、それでも私は構わない。無理矢理母を犯し私を産めば母を迫害し追い詰めて心の病にまで至らせた、あの父親という男が殺せるのならば。


「いつか……いつか絶対に見つけ出して、殺してやる!!」



※※※



「ふむ。なるほど」


軽く月島玲という存在について調べてみた。彼女の辛気くさい雰囲気をなくすためには、まず彼女を知る必要があるからなあ。ちょっくら関連のあった人々のパソコンやらを覗かせてもらって、過去のことを含めて色々とあさらせてもらったさ。

結果として、収穫はあった。


まず分かったことは、彼女は復讐にとらわれているということ。それも、自分の父親に対しての復讐だ。

彼女は自分の母親を追い詰めた父親という存在を探すところから始めているようだが、俺が調べたところによると彼女の父親は知事(都道府県などの長)をしているようだ。

彼は彼女が生まれる前、彼女の母親を襲う前から妻帯者であった。そのため。彼女の母親の件は自身の妻にばれないよう、そして世間にもバレないよう、自身の持ちうる権力を使って全力で隠蔽したようだ。

それも、自身が興味を持ったはずの女を追い詰めてまで。全力を出してな。


隠蔽のために追いやられた月島の母親は、ストレスのために精神的に参ってしまい、今は精神病棟にいるようだ。幸いなことにそこまで重くはないようだが、

……ただ、それ以外にも問題がある。現在かなり家計の状況は悪いな。今にも貯蓄を全て使い切ってしまいそうな状況だ。これだと復讐どころでは無いなく、道半ばで倒れることとなるだろう。

生活補助も受けられはするだろうが、平均的な生活を送ることは難しくなるだろうな。


「せっかくの高校デビューだし……ちょっと頑張るか」


いつもなら絶対にやらないが、今日はなんとなく高校に入学したことによるテンションの上昇で行動を起こすことに。

俺はパソコンに向かい、マイクのスイッチを入れる。


「気まぐれの人助けが復讐の手伝いってのも、皮肉な話ではあるな」


俺はそんなことを呟きつつ、部屋から飛んで離れていくドローンを見つめる。

この行動と月島玲との関わりが、どんな影響を俺に与えるのか。それを考えると、柄にもなくワクワクとしてくる自分がいた。

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