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バァゼルとアピール

 四戦目。

 俺はバァゼルを引きずりながら入場する。


「いたい! いたーーーい!!!」

 今回はレムと、前回いなかった女6人も笛を持って入ってくる。


 あまり打ち合わせしていないので出たとこ勝負になるのだが。


『はい! 観客のみなさまーーーー!!! ながーーーーーーい行列の末! 四戦目の会場にようこそーーー!!!』


 レムは音声拡大装置を使って観客に呼びかける。

【うおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!!】


『はい! 今回の四戦目ですが、そこの仕掛け人。バァゼルなのですが! この四戦目までに狼全部使い切ってしまいましたーーー!!!』


【ブゥゥウウウウウウウウッッッッ!!!!!】


 ブーイング。


『なので責任とって戦ってもらいます! ご主人様にボコボコにされても泣かないように!!!』


「俺は闘技士じゃねーーー!!! 戦えるかーーー!!! 狼ならまだいるからそいつと戦えーーーー!!!」


『狼ならあんなんだーーー!!!』

 レムが指をさすと、檻の中の狼達はもう腹を見せて倒れている。


「まあ、ならお前が戦うしかないわな。狼の代わりに戦え」


「むりーーー!!! 俺みたいなのと戦っても盛り上がらんだろーーーー!!!!」

 バァゼルは叫ぶが

【うおおおおおおおぉぉぉぉぉっっっ!!!】

 観客は盛り上がっている。


「じゃあバァゼル、やるぞ。なにそんな痛めつけるような真似はせん。闘技には派手なだけで痛くない技はいくらでもある」


「お前の体格に掴まれるだけで怖いわーーー!!!」


 まあ実際そうだろうな。それに技は受け身を取れないと色々危ない。


「そもそもだ。お前をここに連れてきた理由は……」

 俺の言葉に被せるように


『はい! 今回お仕置きされるそこの馬鹿ですが! なんと前回! まだご主人様の女が退場終わってないのに檻を三つも開けやがったからです!!! 幸いご主人様の一撃で狼達はビビり被害はありませんでしたが! そのお仕置きという意味であがってもらいました!!! ご主人様が嫌なら私達が相手しますよーーー!!!』


 私達が相手。


「え!? お前らと!? いや、なら全然良いんだが」

 バァゼルがやる気になる。


 俺はレムを見て


「お前、戦うって。戦ったことも無いだろう?」


 それにレムは満面の笑みになり


『お任せください! ボッコボッコにします!!!』



 観客達は盛り上がっていて、まあいざとなればすぐに止めに動こう。そう思って見ていたら


『延髄ぎりーーー!!!』

「ぐぎゃぁああああ!!!」


 女6人がバァゼルを囲んでボコボコにしている。それをレムが実況。


「やーーーい!!! ざーーーこ!!!」

「よわーーーい!!!」


 弱いというか、棒を持った女6人に囲まれてボコボコにされればそら勝てる訳もない。


 今は棒ではなく蹴ったり、技をかけたりしている。


「いたいーーー!!! もうギブアップでいい!!! 負けでいいからーーー!!!」


 叫ぶバァゼルと、それを指差して笑う観客。


 結局、狼との連戦はこんなグダグダで終わった。



 試合終了後。

「取り分だーーー!!!」

 女達にボコボコにされたのに、ニコニコしているバァゼル。


 四戦観客入れ替え戦という形をとったため、観客動員数は相当入ったらしい。


 目の前に置かれた金貨の山も凄い量。


「これでお前との契約は終わりだ。色々あったが元気でな」


「いやいや! ウロポロスは向こうの大陸に帰るんだろう!? こっちの大陸の間は俺と引き続き組もうぜ!!!」


 向こうの大陸。


「いや、俺も帰るが」

「いやいやいや。皇帝の姉を妾にしといて離れられないだろうが!!!」


 バァゼルの言葉に、まるで合わせるように


「そうですわ。あなたにはこの大陸でやっていただくことがありますので」

 ファンクライアとターミルが打ち合わせ室に入ってきた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] バァゼルさん、若い頃は闘技士志望だったとかでなければ四戦目に出るの厳しくない?思ってたらまさかの展開でニコニコしちゃいました [気になる点] 当事者と一部の偉い人以外は八百長を知らない事に…
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