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ファンクライアの思惑

 ファンクライアと共に退場。

 なのだが

「レムと約束したのでな。今日はレムの相手をする」

 それにファンクライアは頷き

「そうされてください。私は見学しますから。そっちのほうが色々都合が良いもので」


 見学の方が都合がいい。

 口では犯されてもいいと言っているが、実際はされたくない、とかそっちの方か? と思ったがそうでも無さそうな態度。


「物事には順番というものがあります。私は必ずあなたに無様に跪き奉仕しましょう。ですが、今日は見学させてください」



 ファンクライアと共にレムの元にいくと

「いきなりサンピーですか!?」

 サンピー


「いや、そういうつもりではないんだが、お前3Pに抵抗あるのか? 見ていたように、基本的に俺はランとフル同時に相手をしていたぞ?」


「最初は、その。ほら、初めてですし!!!」


「本当に初めてなのね。初々しいわ」

 ファンクライアはなんか嬉しそうな顔をしてレムを見ている。


「まあ初めてを尊重しろというならばそうしてやる。ファンクライアは見学するだけだ。もう汗だくで十分だろう。服を脱げ。股を開け。男をあじあわせてやる」


 =====================


 ファンクライアに仕えるターミルは、スタジアムに用意された部屋で一人の貴族と話をしていた。


「いくらなんでも滅茶苦茶すぎる!!! とにかくファンクライア様を城に戻せ!!!」


 怒っている男は帝国に仕える貴族の一人ラクトリア。

 ファンクライアとも仲が良く、夫との関係もよく相談されていた。


 その度に慰めたり、ファンクライアの夫に忠告したりしていたが、悩みは解決しない。


 今回の出奔も驚きはしたが、「いくらなんでも酷すぎる」と同情的だった。


 だが、隣の大陸から来た闘技士の情婦になるという宣言には流石に驚き

「考え直せ」と連れ戻しに来たのだ。


 ファンクライアは

「ラクトリア様には何度も相談しても解決出来なかった。今回もそうだろう。会うだけ無駄だ」と会わず、代わりにターミルが対応していた。


「ファンクライア様は深く絶望しております。結婚して七年。一度も性行為をされなかった。それはファンクライア様に魅力が無いと言う宣言そのものです。これがどれだけあの方の心を傷つけたか。ファンクライア様は一度たりとも不倫もされていません。ひたすら我慢して、懸命に夫に尽くされました。それなのに……一度もですよ!? どういうおつもりなんですか!!! ラクトリア様からも何度もお話してくださったと聞いております! それなのに!!! なんの解決にもならなかったとファンクライア様は不信に思われているのです。この状況で戻ってもなにも変わりません」


「だがな!? ファンクライア様は陛下の姉だ! こんなスキャンダル!!! 帝国を揺らがしかねない!!!」


「ええ。それぐらい怒られていると思ってください。ファンクライア様の怒りは、夫そのものもそうですが、男色狂いに身を預けさせた帝国に対する怒りでもあります。それを止めたければ、それに相応しい処遇をしてから話をされてください」


「……相応しい処遇? なんだ? それをすればファンクライア様は戻ってくるのか?」

 それにターミルは頷き


「はい。ファンクライア様からその条件を聞いております。お伝えしますが、これ以外に条件はありません。単純な話です」


 ターミルはゆっくりと

「領地で抱えている愛娼の男子の追放と、法令による貴族男色の禁止。この法は貴族と王にのみ有効で、違反者は公職からの追放。つまり退位や身分の返還ですね。それだけです」


 それにラクトリアは口をパクパクし


「……そ、そんなもの。出来るわけがなかろう。……陛下も、男色はあるのだぞ……」


「ええ。それで? その陛下に子はいつ産まれるのですか? 男は何人も囲っているらしいですが?」


 ラクトリアは顔を歪める。


 今の皇帝にも子はいない。

 それは男色の為では? と世間では言われていた。


「跡継ぎのいない帝国はいずれ後継争いで滅ぶ。今なんとかするべき。ファンクライア様の言っていることはそんなに変ですか?」


「……儂とて貴族。国を憂う気持ちはある。……だが、そんな条件をのませろなど……」


「ファンクライア様は私怨のみでこんなことをされたわけではないと思います。このままでは帝国は滅ぶ。直接の子がいなければ後継争いで戦乱が起こる。その前になんとかするんです。幸い陛下はまだ若い。今からならばなんとかなるはずです。ファンクライア様は、そのための生贄であろうとされているのではないか。私はそう思います」


「……そうか……しかし……」

 頭を抱えるラクトリアに


「幸いファンクライア様はまだあの闘技士と関係をもたれていません。デアグレンという闘技士は見た目が粗暴なだけで、相手を大切にする紳士的な性格です。恐らくギリギリまではファンクライア様は抱かれないはずです。ですが、いずれそうなるのは間違いない。ラクトリア様。どうか、御決断を。陛下と旦那様に、このお話をされてください」


 ラクトリアは頭を抱えたまま

「……ファンクライア様を頼んだ。ギリギリまで守れ。儂も努力する」



 ラクトリアと別れたターミルは、ファンクライアと待ち合わせした場所に行った。


 そこの部屋には、ボーーッとしているファンクライア。


「ファンクライア様、しっかり話をしました。ラクトリア様は努力されると……」


「……すごかった……」

 上の空で、顔を赤らめた状態のファンクライア。


「……お、おくさま?」

「……いやぁぁ……あんなすごいんだーって。生娘……初めての娘がよ? 絶叫すんのよ。快楽で。もう体液ドハドバでるし、いや。すっごいなーって」


「……み、見られたのですか? その? 無事で?」

「私は見学だから。なーーーーんにも手を出さなかったわよ。いや、デアグレンは紳士だなー。と思ってたけど、性行為だと獣ね。最後は気絶よ。あんなのされたらもう戻れないでしょうね」

 うんうんとファンクライアは頷き。


「んで? 相変わらず『持ち帰ります』でしょ? ラクトリア様は無理よ、そういうの出来る性格じゃないし」


 ファンクライアは立ち上がり

「とは言え、弟と、あのバカには話ぐらいはするでしょうね。いよいよそこからよ。デアグレンに聞いたら、次からはかなりの大物らしいわよ。私も盛り上げに貢献しないとね」

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