表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/65

騎兵との戦い

 元帝国騎士団長との戦い。


「相手は武器だろう? 打ち合わせはできるのか?」

 俺の問いかけにバァゼルは思いっきり首を振り


「うんにゃ。なにから話そうか。元騎士団長さんはな。ファンクライアさんが嫁入りする前からずっと惚れていてな。だが年齢が年齢……今もう55かな。皇族をもらい受けるわけにもいかず、最近は騎士団長を辞め教官として一線を退き兵の教育をしていたとの事だ。そんな矢先に今回のスキャンダル。結婚されたのは仕方ないが、流石に異種族の囲いにされたとかは話が違う。きっと騙されているに違いない。ファンクライア様を救い出す!!! そう張り切っているのだ。多分殺す気でくるぞ」


 …………

「バァゼル、念のため聞くぞ。相手は俺を殺す気でくる。騎士ということは剣か槍か。俺は素手。それで闘技をしろと?」


「そっちの大陸の闘技は知らんが、ガチ勝負というのはそういうもんじゃねーのか。言っておくが、俺はお前さんが勝つ方に金を乗せるぞ」


 随分思い切りが良いというか。


「そこまで言われて引き下がる訳にもいかんな。良いだろう。俺の全力をこの街に見せ付けよう」



 相手は元騎士団長のレゼンアルド。

 騎士と一口に言っても様々な戦い方がある。

 だが、一般的に騎士の団長と言うならば馬上で使う長槍のイメージが強い。


 騎兵隊の基本武器は槍。だが乱戦ともなると突くだけの槍では不利になるため剣なども用いる。


 だが騎士団長クラスになれる中心人物達は乱戦よりも、ここぞという時に一気に相手の将を狙い、鎧をも貫く必殺の一撃を食らわせるとこに特化したりする。


 長槍と一口に言うが、騎士団長クラスが使うのは自分の身長の二倍はあるようなものだ。


 それを馬上から思いっきり突き刺してくる。

 鎧もつけていない俺なら一撃死だろうな。


「魅せる戦いなど無理だな。ただ勝機はある」


 長槍は相当な重さがあり、馬を操るわけだから動きは読みやすい。

 直線的になるはず。


 騎士と騎士のぶつかり合いならば避けたりも出来ないだろうが、こちらは関係ない。避けさせてもらう。


 だが問題は何個もある。

「俺の体格はむしろ得意だろうな」

 騎士と騎士の戦いは馬上同士。


 同じぐらいの高さで戦うもので、歩兵の槍兵などは他の騎兵がつゆ払いをするもの。


 俺が普通の人族ぐらいの背の高さならむしろ戦い辛いと思う。


 向こうは得意な戦い方をそのまま繰り出してくる。そしてこちらは騎兵など戦った事もない。


「馬から引きずり下ろせば勝てるだろうが」

 それが簡単に出来るなら歩兵達もやっているはずだ。


 戦場と闘技は全く別の戦い方となるが、勝つためにやることはそんなに変わらないはず。


 その中で騎士団長まで駆け上がった男。

 簡単にやれるとは思わない。


 それでも

「俺は死ぬわけにはいかないからな」

 全力で戦わせてもらう。



 闘技当日。

 とんでもないことになっていた。


 朝起きた時から「なんか街が騒がしいな」ぐらいには思っていたのだが。


「デアグレン様。入口に人が……」

 宿の人間から言われて表を見ると


『はいらせろーーー!!!』

『俺達にも見せろーー!!!』


 大騒ぎ。なんだこりゃ?

 と思うと


「入場券が売り切れて見れないそうです」

 後ろからファンクライアが話す。


「そうなのか? だとしてもここに来ても仕方なかろう」

 俺の言葉に侍女ターミルが

「いえ、別にここに来たと言うか、ここまで来たと言うか」


 そういって指を指し


「ここから闘技場までずっと並んでいるんだと思いますよ」



 馬車を用意して、ファンクライア達と一緒に移動する。

 俺は歩いていくが、それに歓声やヤジなどが大きくなっていく。


「凄い行列だな。並んでも仕方あるまいに」

 いつか入れるのかと思うのだろうか?


 入口に着くとバァゼルが笑顔で手を振り

「よく来た! 人が入りきれんのだ!? 二連戦出来ないか!?」


 二連戦。

「出来る訳ないだろうが。打ち合わせ無しのガチ勝負だぞ? 怪我をしたらどうするんだ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ