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相手の戦意喪失

 再試合。

 前回も盛り上がってはいたと思うが今回は会場の外にまで人が集まっている。


 試合前にウロポロスから説明。

 アレンバルドと言う名で出たのは実は妹。

 だがその妹は実際に身体能力が高い。事前のウロポロスが行った戦闘試験でも、十分な結果を出したからこそ気付かなかった。

 今回改めて戦闘訓練を行ったがその実力は間違いない。だから今回改めて再試合を組んだ。


 そう言った説明に観客はざわめく。

 だが、ウロポロスから紹介されて登場したフェルミエールに会場は一気に盛り上がる。


『うぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!!!!』

 フェルミエールは今回は動きやすい軽鎧。

 女性らしい長い髪も隠さず、代わりに結んで束ねている。


 それがまた妖艶に見える。

 軽鎧であるが故に胸の大きさも主張。

 観客の殆どは男性。そうなれば


『デアグレン!!! ぬがせーーー!!!』

『ぶちのめしてレイプしろーーー!!! 終わったらこっちになげろーーー!!!』

 大騒ぎ。


 フェルミエールはその声に怯えるが、闘技としてはこの一連の騒ぎでもう成立している。

 この後にパフォーマンスする必要もない。


 俺は戦いの構えをする。

 フェルミエールは怯えの顔を止め、こちらに集中する。


『試合開始!!!』

 今回は実況も解説も殆どなかった。

 前回実況が長くて戦闘馬鹿の俺が我慢出来なかった。そういう話になっていたからのようだ。


 そして、フェルミエールは一気にこちらに迫る。


 既に戦いの流れは打ち合わせ済み。

 迫るフェルミエールの剣。これを初手で破壊する。


「オーガー!!! 覚悟!!!」

 フェルミエールの動きは速い。

 事前に打合せしていないと剣の動きを捉えきれなかっただろう。

 だがこれならば

【ガンッッッッ!!!!!】

 両腕の籠手で剣を挟む。


「ぐっっっっ!!!!」

 剣を掴まれまた怯えた顔をするフェルミエール。

 まあ巨体のオーガーに迫られれば怖いだろうな。


 俺はそのまま

【ガギンッッッッッ!!!!】

 剣を折った。

 この剣は実は模造剣。折れやすいやつなのだ。


 それに観客は

『うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!!!!!』

 大騒ぎ。


 そして

『捕まえろーーー!!!!』

『脱がせぇぇぇっっっ!!!!!』

 俺は観客の声に押されるようにフェルミエールの肩を掴み、軽鎧に手をかける。


『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!!!!!!!』

 観客は大騒ぎ。


 そのまま軽鎧を素手の力だけで

【バギッッッッッ!!!】


「キャアアアアアッッッ!!!!!!! この変態!!!!」

 軽鎧の外装を剥がしただけだが、フェルミエールは顔を真っ赤にしてそのまま俺の顔面に蹴りを放ってくる。


 俺はそれを避けもせずに思いっきり食らう。

【ガスッッッ!!!】

 回し蹴りに近い蹴り。

 威力はかなりあり、多少は朦朧とする。


 だがこの程度では倒れない。

 ここまでは打合せ通り。


 次は俺の掴み技。

 これで気絶しなければ、次のフェルミエールの攻撃で俺は反則負けになる。


 逆を言えばここでフェルミエールに気絶されてしまうと、俺はフェルミエールの服を破ったりしないといけないのだが、それはなんというか色々避けたい。


 正直人間の女を脱がしたところで、俺は別に人間は好みではないし。


 とは言え手を抜けば観客にバレる。

 フェルミエールの根性に期待するしかない。


 俺はフェルミエールをもう一度掴み

『ああ! デアグレン!!! フェルミエールを掴み持ち上げました!!! これは必殺のパワーボム(オーガーボム)が出るか!!!』


 パワーボム。

 相手を持ち上げて、溜めを作ったあとに一気に地面に叩きつける技。

 巨体のオーガーがやれば迫力もあり、闘技として盛り上がる。


 問題はこの技は本気で痛い。

 下手をすれば気絶をする。


 だが体重の軽いフェルミエールならば耐えられるかもしれない。


 そのために軽鎧も剥がしておいた。

 俺は祈るような気持ちでフェルミエールを持ち上げ


『デアグレン!!! パワーボム!!!!!!!』


 地面に叩きつける。


「っっっっっっ!!!!!!!!」

 叫び声にならない呻き声。


 地面に落とした状態のまま相手の動きを待とうとするが


「いたいっっっ!!!! いたいっっっっ!!!!!!!!」

 フェルミエールは頭を抱え、痛みで泣き叫んでいた。

 気絶はしていない。

 それはなによりだ。


 後はシナリオ通り……


「もういやだあぁぁっっっ!!! こんな痛いのいやだぁぁぁぁっっっ!!!!」

 泣き叫んでイヤイヤするフェルミエール。


 うん。本当に痛いらしい。なのだが次の手を……


「あ」

 マズい。フェルミエールは痛みのあまり手を降っているがこれは降参の合図。


 このままでは普通にフェルミエールが降参して終わりとなる。


 逆を言えばだ。


「ぉぉぉぉおおおおおおおおおおっっっ!!!!!」

 俺はそのままフェルミエールを抱えてまた技をかけようとする。


 降参をしようとする相手に攻撃を追撃しようとすれば


『あああ!!! フェルミエールは試合放棄の合図をしようとしましたが!!! 構わずデアグレンが突進!!! これは!!!』

 実況の絶叫と


『……反則ですね』

 今日初めて声を出したような気もする解説者。


 その声と共に


【ジャーーーーンッッッ!!! ジャーーーーンッッッ!!!】

 ドラが鳴らされ


『デアグレンの反則!!! フェルミエールの試合放棄の合図を無視して追撃しようとしたデアグレンの反則負けです!!!』


『ぶーーーーーーーーーっっっっ!!!!!』


 場内から一斉にブーイング。


 だが観客は暴れたりはしていない。本当に納得のいかない結末だと暴動が起きるのだが。


 その観客の反応を見てから、ゆっくりとウロポロスが場内に入ってくる。


『……あーーー。観客の皆様。大変にご不満はあるかと思いますが……』


『ぶーーー!!! ぶーーー!!!』

 ブーイングの声が大きくなる。


『反則負けですので返しが発生します。今回の掛札はそのままお持ちください。次回の賭けの時に賭け金上乗せとなります』


 その声に少し興奮する声は静まる。

 反則での決着の場合は、例え正当したとしても賭け金の半分しか返ってこない。代わりに負けた側も賭け金のうち少額が返ってくる。


 ただしそのまま返金はされない。あくまでも次の賭けの時に上乗せされるだけ。


 割と運営側からみれば面倒くさいシステムで、これを採用していない闘技場も多い。


 この制度は、大番狂わせが起こった際に暴動が起こりにくくするためだ。


 そのために単に勝敗をひっくり返すだけではだめだった。



 反則負け。

 負け試合の後は気分が悪い。

 しかし、今回は向こうのフォローをして負けたのだ。闘技士としてはしっかり仕事が出来たと思う。


 控え室に戻り汗を拭いていると

「デアグレン!!! よくやった!!! 今回は全てお前さんのおかげだ!!! 賞金は上乗せしておいた!!! 素晴らしい戦いだったぞ!!!」

 全力で褒めてくるウロポロス。


 不満があってもウロポロスの側から離れない理由のひとつは、ウロポロスの評価がブレないことだ。


 闘技士としてどうか? というよりも

 シナリオ通り試合を動かし、損をさせないこと。


 俺はウロポロスに頼まれた試合展開が可能な限り実現している。

 だからウロポロスも俺を使う。

 そして、それを褒める。評価する。


「……負け試合は気分が悪い。この街にはいたくないな。次の試合の街に移動する。どこだ?」

 ウロポロスはすぐに地図を広げ


「レンバルダの街だ。狼の日が試合となる。それまでこの金で遊んでいろ」

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