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レムの禁止用語だらけのアピール

 レムがコンテストに出た時に使用されたスタジアム。


 そこはかなり広い。闘技もここで行われるらしいが、いくらなんでもいきなりそんなに客は入らないだろう?

 しかも今回は勝ち負け未定だから裏社会も絡まない。そうなると会場を抑える資金も本来は無い筈だ。


 だが、俺の対戦相手、トロール族のガァィザランのマネージャーはこの試合にかなり気合いを入れているのか、会場をおさえ、大規模に呼び込みもした。


 その結果がこの満員御礼状態。

 賭け金もかなりの金額にのぼっているらしい。


 もちろん、この試合だけではない。他にも試合は組まれている。なのだがこの試合がメイン試合。


「ウロポロスが組んだ試合まで、ちょっと身体を慣らすぐらいの気持ちだったんだがな」

 それでも観客は多い方がいい。


 この大陸では俺の知名度などゼロだろう。

 ここで名を馳せれば、今後の闘いもなにかと有利になるかもしれない。


 闘技士は負けるのも仕事。だがやはり負けの試合は少ない方がいい。


 そのためにも今日の試合は強さを見せ付ける、



 試合前のアピールなのだが、ラン、フル、レムが色々考えてくれたらしいので任せることにした。


 元々の案は、俺がレムを乱暴に抱きかかえながら、観客に「お前ら人族にとっての美人も、俺から見れば一人の妾」みたいなアピールだったのだが


「それだと悪者感が強すぎです」

 とのこと。


 俺自身もどんな内容か分からないので、楽しみなのと不安な感情が混ざり合った状態で待っていると


「……???」

 着飾ったレムと、何故か笛を手にしたランとフル。


 ランとフルが笛で演奏してレムが舞うのだろうか?

 だがランとフルが楽器を演奏するところなど見たことがないが。


 そして3人はスタジアムの真ん中に来ると


「どうもー! この前、ここのコンテストで準優勝させてもらったレムでーーす」

 元気いっぱいの挨拶。


 観客達は戸惑いながらも拍手。

 だが一部からは性的なヤジも飛ぶ。


 するとそれに応えるように


「それでは私とご主人様との愛のメモリーを発表します! 一部そのまま聞かせるとヤバいヤツに関しては、こちらのお二人から突っ込みの笛が響きますので聞きづらいかと思いますが御容赦ください」


 愛のメモリー???


「私とご主人様との出会いはこのような闘技場でした。当時屋台で食事を売っていた私は」

 普通に出会いを説明するだけか?

 というかヤバいヤツってなんだ?

 と思っていると


「闘技場で全裸になりデカいチ【ピーーーー!!!】丸出しのご主人様の姿に、私の目は釘付けになり、こんなでかいの入るマ【ピーーーー!!!】あんのか? と驚愕しました」


 レムの言葉に被せるように響く甲高い笛の音。

 やばいヤツの意味がやっと分かった。

 これはあれか


「アピールでセ【ピーーーー!!!】するための性ど【ピーーーー!!!】募集だと言われたのでノコノコと応募に行きました。すると面接では『俺はお【ピーーーー!!!】が大好きで、お前のようなガリガリには用がない。取りあえず太れ。それまではザ【ピーーーー!!!】処理【ピーーーー!!!】べ【ピーーーー!!!】だ』と男らしく宣言されまして。代わりに毎日美味しいもの食べ放題。おかげで骨と皮しか無かった私は人並みに肉がつきまして。今ではちゃんとデ【ピーーーー!!!】マ【ピーーーー!!!】毎日なか【ピーーーー!!!】しております」


 いや、そんなことしてないんだが。まあ意図は分かる。つまり、俺のアピールは、レムが赤裸々に『このオーガーに性処理されています』と伝えるようなアピール。だがそれだと性的すぎるし悪役感強すぎるので、ランとフルが笛で突っ込んでコミカルにしていると。


 というか俺はレムにそんな真似はまだしてないんだが


「先程ヤジで『オーガーに身体売ってんのか?』とかありましたが、身体売るというか、毎日デ【ピーーーー!!!】に飲み【ピーーーー!!!】ザ【ピーーーー!!!】【ピーーーー!!!】マ【ピーーーー!!!】」

 なに言ってるか分からない程の笛の突っ込み。


 だがこのアピールの趣旨はちゃんと観客に伝わったようで、最初は戸惑っていた観客達は笑いだし、卑猥なヤジも大きくなる。

 だが


「さっきからくだらないヤジが多いですけれども。こっちはこのデ【ピーーーー!!!】から出た【ピーーーー!!!】詰め込んだまま【ピーーーー!!!】【ピーーーー!!!】で、もっと面白いヤジ送られないと張り合いもないんですが。なんだったらここで公開【ピーーーー!!!】して、【ピーーーー!!!】垂れ流したまま【ピーーーー!!!】【ピーーーー!!!】」


 観客達は凄い笑っている。

 物凄い下品なのだが、レムがあまりにも堂々としている上に、笛で肝心なところは聞こえないので、深刻な内容に聞こえないのが余計なのだろう。


「俺にもやらせろ、とか聞こえましたけど、お前のチ【ピーーーー!!!】自信があるのかしりませんが、こちとら【ピーーーー!!!】に【ピーーーー!!!】ゴリゴリ【ピーーーー!!!】【ピーーーー!!!】【ピーーーー!!!】」

 というかレムは実際なにを言ってるか気になるんだが。


 だってあいつから性的な言葉聞いたことがないぞ。


『大変にお聞き苦しかったと思いますが、アピールは以上です』

 ずっと笛を吹いていたランとフルが同時に頭を下げ退場していく。


 会場は凄まじい盛り上がり。


 次は相手のアピールなのだが

『ガァィザラン!!! あいつぶちのめしてあの女レ○×しちまえ!!! なんだったら観客の皆様に犯してもらえ!!! さあ!!! いけ!!!』


【うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっ!!!!!!】


 シンプルかつ効果的なアピール。

 これで観客は総立ちになる。


「来い」

「いぐぞぉぉぉぉっっっ!!!!」

 ガァィザランはその巨体を揺らしながらこちらに突進してきた。

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