城に招かれる
「細かい事は向こうに行ってからとなる。そのため儂とニフェルアリュアが先に行って交渉するから、お前らは10日後の船で来い」
ウロポロスはそう言っていなくなった。
港町に移動してから10日待ってもいいのだが、せっかくの都会にいるのだ。この街で過ごす事にした。
「せっかく滞在されるのでしたら是非城に」
そう言って使者が来て招かれることになった。
城にはランとフル、レムも同行している。
「城はいいが高級料理店はダメという理屈も分からんな」
ファーランド王国の城。
王国というがこの国はこの街しか治めていない。
実質的には強大国であるティルヴァイス王国の従国という位置付けに近い。
だがその城は華やかで手入れはこまめにされているのはよく分かった。
「このような一闘技士を招いてくださるとは。ただ、なにぶんこのデアグレン、幼少より全く礼儀作法など習っておらんでな。無礼はお許し願いたい」
城に案内され、そこで待っていたのはアン・ミカエル。
「お気になさらず。私も一闘技士です。こうやってお招きしたのは、私のせいでご迷惑をおかけしたからです。本来はあなたはラウルブクと三連戦をする予定でした。その予定を曲げてしまい申し訳ないと」
そう言って頭を下げられるが
「俺は闘技士だ。言われればそこで戦うだけだ。勝ち負けすら関係ないのが闘技士。なにも謝る必要もない」
「……闘技士デアグレン。オーガー族らしいファイトスタイルだが、実際はとても温和で知的と噂で聞いていました。彼女達からも随分慕われていますね」
温和で知的か。誰が広めているかは知らんが
「そんな噂が流れるようでは困るな。俺の仕事スタイルは横暴で粗暴なオーガーだからな」
「……求められばそれをこなすだけですからね。私も闘技士。その気持ちはよく分かります」
ミカエルは立ち上がり
「あなたにご迷惑をおかけしたのは、私と共にいる合唱団が原因。お詫びとして是非歌を聴いてください」
合唱団達は城の広場で歌ってくれた。
俺は既に聴いたことがあるが、ランとフル、レムはビックリしている。
「……すっごい声」
「ああ。一流は凄いな」
俺には教養などない。文化の良し悪しはよく分からない。
だがニフェルアリュアの舞や合唱団の歌は、基礎知識の無い俺にもその凄さが伝わる。
彼女達は歌い終わると笑顔でミカエルの元に集まる。
「素晴らしかった。本当にありがとう」
お礼を言うと
「せっかく来られたのです。部屋を用意していますから飲み食いもされてください」
王宮で酒と食い物をご馳走になる。
「そんな気にしなくてもいいのにな」
「すごーーーーーい!!!」
「本物の王宮でのおへやーーー!!!」
「私!!! 本当に!!! ご主人様に着いてきて良かったです!!!」
3人がそれぞれ叫んでいる。
用意された部屋は一言で言えば豪華。ベッドはデカいし、鏡も複数ある。
衣装もかかっていて自由に着てくれという事らしい。
ランとフルはその豪華な部屋で喜んでいるが、レムは多分部屋に用意されている食い物に反応している気がする。
「部屋で好きに過ごせというのは中々有り難い。好意に甘えよう。お前ら酒を飲むぞ」
酒は強いものがいい。
喉を焼き尽くすような強いもの。
そしてその喉を癒やすような爽やかな風味のする薬味、そしてギトギトに油がしたたる肉にかぶりつくのが好きだった。
「旨いな。さすが王宮」
「えへへーーー♡♡♡ デアグレンさまーー♡♡♡」
「お酒のみすぎでーーーす♡♡♡」
ランとフルはもう半脱ぎで、胸が丸出しになっている。
レムはとにかく飯を食べまくる。
改めてレムを見るが
「……好みに育ってきたな」
ランとフルは俺と一緒になってからふくよかになってきた。
胸も大きくなり俺好みなのだが、ガリガリでチビだったレムも、肉付きが良くなり好みの体型になってきている。
まあ無理矢理する気もないが。
「??? にゃんふぇすか?」
俺がみているのに気付いて、物を食いながら話をしてくる。
「なんでもない。お前はどんどん食え。それが俺の為になる」
「嬉しいです!!! いっぱい食べます!!!」
夜。
俺とランとフルは一つのベッドで眠る。
いつもレムは別のベッドで寝ているのだが、今日はそのレムが起きてこちらを見ているのが分かる。
(……そろそろ抱いてもいいが)
まあ向こうが良ければだが。
俺は両腕に抱えた二人にキスをしながら眠りについた。