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なんでもない部、と、生徒会!  作者: 寒川吉慶
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第5話 来客

「――懐中時計?」


「そ。あんたが寝てた3時間目、私の机に入ってたの」


わたしはふたを開けて、懐中時計の文字盤を茜に見せる。


三笠のステージが終幕して、2時間くらいたった。

あの後、クラスに戻って1時間くらい大掃除して、帰りのホームルームの後に記念写真やらなんやらを済ませて、今は一学期最後の部活(水筒ティータイム)にいそしんでいるのだ。


ちなみに、美咲先輩は今は不在。

3年生は冬に高校受験を控えてるからね。

とくに美咲先輩は、すっごい頭のいい学校行くから先生との面談などでいろいろ忙しいのだ。


「へえー。すっごいきれい。こんな大人っぽい小物身に着けてたら、颯くんの見る目も変わるんじゃない?」


「なに言ってんのさ。ほんとに、わたしと颯はそんなんじゃないって。」


茜はことあるごとにわたしと颯を恋仲にしようとするのだが、正直かすってもいない。

ここだから言うけど、わたしのタイプはもっと情熱的なアツい男子だから!

わたしの知ってる颯とは、言っちゃあ悪いけど180°違うよね。


「えー。そうかなあ。今日の英語のあとも、なんかいい雰囲気だったじゃん」


「いや、そりゃあいつはいいやつではあるから……

ていうか、茜寝てたんじゃないの?」


「授業終わった時には目覚めてたんだけど、面白そうだから見てたの」


「まったく……」


そのときだった。なんでもない部のドアが叩かれたのは。


「?誰だろ」


茜が不思議そうにつぶやき、二人で出迎えに行く。

うちの部のドアが叩かれるなんてごくまれだ。

わたしも茜も、美咲先輩もドアなんてノックしないし特別教室ばっかりの棟のこんなちっさな教室に用がある人なんていないからね。


「はーい」


ドアを開けると、そこには1人の女の子が立っていた。

背の順だったら前の方のわたしや茜よりもさらに小柄で、小さくて整った顔立ちだ。

多分私たちと同じ1年生、だよね。

と思って上履きを見たら、やっぱり。

つま先のところが私たちと同じ赤色だ。

私たちの学年は赤。今の2年生は青。美咲先輩たちは緑。これで学年が判別できるの。


「えっと……どうしたのかな?」


茜がおそるおそる聞く。

「ここは部活として認められていない。でていけ」なんて言われないよね……?

そんな心配はその子の次の発言で吹き飛んだ。


「あの、入部したいんですけど……」


「やったーーーーー!!!!!」


茜、反応はっや。

でも確かにこれはすっごい嬉しい!


「ありがとう!私は三枝杏って言います!これから、ぜひよろしく――」


「ほらほら遠慮しないで中入って!暑い中疲れたでしょ。今お茶の準備するからねー。杏、なんかこの子の喜びそうなお菓子とか出してあげて!あ、ポカリ。ポカリ飲むかい?」


もてなし方がおばあちゃん。

あとお菓子ないからね。校則違反。


「は、はい……」


新入部員の子は茜の猛烈な押しに負け、おそるおそる中に入る。


「茜、怖がらせ過ぎはダメだよ?」


「あ、いえ。全然いいんです!むしろ、こんな歓迎してくれてありがとう……」


もう、なんていい子なの。

戸棚にお煎餅あったかしら……

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