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なんでもない部、と、生徒会!  作者: 寒川吉慶
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第4話 終業式

「――続いて、生徒会長の話。三笠会長、お願いします」


 来た、始まった。

 わたしはななめうしろに座っている茜とこっそりアイコンタクトをする。


 お昼ご飯も済み、今は終業式の真っ最中。

 小学校の時もほかの中学校でも、全校集会で先生たちと同じカテゴリーで生徒会長が話すなんてない。

 が、うちの高崎市立文華中学はあるのだ。


 壇上に続く階段を三笠会長がゆっくりと昇る。


 全校生徒の空気がピンと張りつめられる。

 正直、さっきの校長先生の話の雰囲気とは雲泥の差であるが、それも納得だ。

 校長の話とはインパクトのレベルが違う。

 全校生徒の間の通り名は、「三笠のステージ」。


「一同、起立!」


 相変わらずのよく通る、凛々しすぎる声で三笠会長が言い放つ。

 なにが起こるんだ、という期待と不安で全校がざわめきながら起立する。

 ほんと、今日はなにしてくれるんだろ、三笠会長。


 「――国歌斉唱!」


 国歌斉唱!?

 今日は特にエンジンかかってるな。

 歌うなら校歌でしょ。せめて。

 そう思う間もなく、副会長のピアノが国歌を奏で始める。

 困惑しながらも私たちはまあまあの熱量で国歌を熱唱する。

 うちの学校の生徒はかなりノリがいい。


 こーけーのおおおおーむーううすーううまーああでえええええ、っと。


 「――校歌斉唱!」


 いや校歌も歌うんかい。


 文華中学校校歌を3番まできっちりと歌い終わった私たちはようやく体育座りを許された。


 「ありがとう。集中力が切れ始める頃なのでね。目を覚まさせていただいた」


 やっぱり凛々しい声で言い放ち、本題に入る会長。

 せっかくだし、我らが会長三笠のステージをノーカットでどうぞ。


 ――先程先生方から夏休みの学習や生活についてのお話があったと思うが、私からは違った視点から話したいと思う。

 私は君たちに『夏休みを休みととらえるな』と言いたい。

 夏休みというのは時間の塊だ。

 部活動、塾、習い事……日常生活では色々と多忙な君たちに与えられた比較的自由な大きな時間。

 何もなし得ないのでは意味が無い。

 ただ堕落に費やすのではなく、何か一つでも自分自身に誇れることを実現する。

 それはとても難しいことだが、達成した時の感動は何にも変え難い宝となる。

 青春の30日を捧げてもお釣りが来るくらいのな。

 大きな発見をしろ、なんてことは言わない。

 それが出来れば素敵だろうけれどね。

 手っ取り早いのは、自分を超えること。

 その舞台は、勉強でも、スポーツでも、趣味、もちろんテレビゲームなどでも例外でない。

 取り組むからには、志を高く。

 それをこの30日間余り、意識して過ごして欲しい!

 では起立!国歌斉唱!!


 ――うん、全然悪いこと言ってないんだよね。

 言動がエンターテインメントすぎるだけでさ。


 きーみいいいがーあああよーおおおはあああ……

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