表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/32

アルバート

 こちら現場の天城。今、前方、数十メートルほどのところで全身鎧の男と2メートルほどのゴブリンっぽいのが剣で斬りあっております。どうやら、全身鎧の方が優勢な様で、ゴブリンは、満身創痍な様です。おおっと、ゴブリンが少しふらついた! その隙を逃さず、全身鎧の斬撃がゴブリンの首を捉えた! 哀れゴブリン首と胴体がさよならしてしまった!

 さて、実況は置いといて、勝負はついたみたいだが、どうするかな。あいつらが街とかに行くことに賭けて尾けるか? しかし、バレた時がめんどーー


「そこに隠れてる奴出てこい!」


 ーーうなことになったな。大人しく出るか? それとも逃げるか?


「逃げれば敵と見做す!」


 よし、出よう。あんなのと戦えば死ぬ。

 俺は両手を挙げながら、ゆっくりと近づいていく。大体、数メートルまで来たところで止まる様言われたので止まる。全身鎧は剣を携えながら油断なくこちらを見据える。


「お前は何者だ? 何故、このようなところにいる」

「あー、えーと」

 

 何と答える。馬鹿正直に異世界から来たって言うか? 危険すぎるな。現状の立ち位置がわからん。しかし、答えんと斬られるかもだし……しかし、うまい言い訳も思いつかん。よし、腹括るか。どうせ、一度死んだ身だしな!


「実は……」


 俺は、今までの状況を説明した。気づいたら、森にいたこと、人がいるところを目指したこと、ゴブリンに遭遇したこと、音が聞こえて様子を伺っていたこと。全身鎧は、全て聞いてくれたが、やはりと言うべきか信じていない様子だった。


「お前の話は、信用できん。まだ、村人が迷い込んだ、って方が納得できる」

「ですよねー」


 俺でも、「あぁ、頭おかしいな、こいつ」って、なるもん。


「だが、まあ、確実に嘘って、断定できるわけもないから。街に連れて行ってやる。そこで、真偽官に見てもらう」

「真偽官?」


 なんだその、いかにもなやつ。


「ん? 知らんのか? 真偽官は、嘘を感知する職業スキルを得られる職業の総称だ」

「ああ、なるほど。そこで嘘言ってないかが分かると」

「そうだ。まあ、頭のいかれた奴って、線がないわけではないが」

「うん、まあ、俺も自分がいかれてるとは思いたくないが、その可能性もあるんだよな」


 本当、やめてほしいが。


「ま、とりあえず、街に行くぞ……お前の名前は何だ? 俺はアルバート」

「あ、そういえば。まだ言ってなかったな。俺は、リョウ・アマギだ」


 いやー、状況説明に気を取られて自己紹介忘れてたわ。さてと、じゃあ、行きますかね……あれ? アルバートさん? 何で、動いてないんですかね? なんで、そんな驚いてるんですかね?


「お前、やっぱ頭おかしいわ。勇者の苗字名乗るとか」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ