かわいいうえに母親公認してもらえたなんてお得。
「すみませんでした」
翔はそう言いながらボクに向かって頭を下げている。どうやら、反省しているようだし、今回だけは許してやるか。それに撮られてしまったものはしょうがない。
「もう……いくら、その、かわいいからって? 下半身パシャパシャ撮ったっていみないでしょ? ボク男だよ? ついてるんだよ。なんなら見る?」
「み、見る!」
「見せるか。ばか!」
前言撤回、絶対これ反省してないよね。次があったらまたパシャパシャ撮る気だよね。パパラッチかな?
と。
「お二人さん。なんかアツアツに盛り上がってるとこ悪いけど、夕ご飯できたわよ」
「お義母さん⁉」
思わず、変な声が出てしまった。今までの会話を聞かれてしまったようだし、まだボクは女装したままだ。どう言い訳してもこの状況を乗り越えられる気がしないよ。どうしよう。
「母さん。ドア開ける前にノックぐらいしてよ」
「ノックならしたわよ。あんたがイチャイチャしてて、聞いてなかっただけでしょ」
とか、思ってると、翔とお義母さんが普通の会話を始めていた。なんで女装にツッコまないの息子の幼なじみが女装してるんですよ。しかもイ、イチャイチャだなんて……べ、別にイチャイチャしてたわけじゃないし。
「でも、オレたちがもっとすごいことしてたらどうするつもりだったんだ?」
へ?
「そのときはドアの隙間から覗くだけにしといたわよ。もちろん、まぶたの裏に焼き付けながら。お酒でも飲んでたほうがいいかしら?」
ちょ、ちょっ。
「二人ともなんでそんな話してるの⁉」
話がなんか、変な方向に進んでいきそうだったので、全力で引き留める。恋人のお義母さんの前でそんな話をしてしまうことはできない。恋人か……恋人……恋人とはいい響きだね。表情には出せないけど、今すぐにでもベッドの上をコロコロしたいくらいには心が弾んでくる。いきなり女装させられて忘れそうになってたけど、ボクたちは恋人同士なんだ。でも、目の前のこのお義母さんが認めてくれるだろうか? 今はふざけてこう言っているが、ボクたちが本当に付き合っていると、交際していると知ったらどんな反応をするだろうか? あと、いい加減ボクの女装になにかコメントください。
「ああ、ごめんごめん」
翔が手を合わせているが、正直お義母さんのほうに注目していて翔のほうに意識を傾けている余裕はあんまりない。
「置いてけぼりにさせちゃったわね。ごめんなさい。そんなことよりもね。大切なお話があります。夕食ができたことよりも、実際ね。お母さんはこれを言いに来ただけなのよ」
お義母さんは、おおよそ十七歳の息子がいるとは思えないほど若々しいしぐさで口元に人差し指を当てて──にやついているのもなにかのしぐさだろうか──もったいぶるようにして、突拍子もないことを、爆弾発言もいいところに投げてきた。
「二人、交際するのはいいけど、せめて学生のうちは子供は作らないでね」
「へあ?」
こんな変な声が出てしまうのも当然のことと思ってほしい。
今日のひとことメモ
どうもご無沙汰しております。ヘリックです。ひとことメモですが、全然ひとことじゃなくなってますね。すみません。今回はさらに謝罪をしなければなりません。いえ、お願いしたいことがあってわたしは今この場に立っています。
実はこの小説当たり前ですが、今この文章を読んでくれているあなた以外そこまで読んでいないのです。そうなっている原因はやっぱりわたしの文にあると思うのです。ですので、すこしでも気になったところがあったというそういうかたは感想してください。時間に余裕があればで構いません。今までの話のなかで読みづらく感じるところがあったところなどを修正していけたらなと思います。アカウントを持っていなくても感想をかけるように設定をそうしてあります。ぜひ、お願いします。わたしはいつだって待っています。
次回は、頭のおかしい翔の家族との食事です。明日か、明後日に投稿予定です。




