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かわいいうえに撮影させてくれるなんてお得。

今日のひとことメモ

すみません、遅れました。

書き貯めも全然できていません。ですが、最後のシーンだけは脳内で完成したので、おそらくエタることはないと思われます。




 オレは今日、この世に天使や女神と呼ばれる奇跡が存在することを知った。

「ど、どうかな? 似合ってる?」

 天音は現在、オレが手に入れたうちの学校の女子生徒用の制服を身にまとい、初めて感じているのだろう下半身の防御力なさにスカートを必死に抑えている。

「……ああ、かわいい。かわいいなあ。いや、これは心にくるね。心臓を射抜かれたような衝撃だよ」

 オレはすばやく勉強机に置いてあった一眼レフカメラを手に取り、ぱしゃり、またぱしゃりと写真を撮り始める。この間わずか一秒。

「ちょ、翔。なに撮ってるの!」

「いや、すまない。体が勝手に動いてしまっていた。あ、そのまま動かないで、いいね。かわいいよ。まるで、いや、まさに天使だ」

 この間にもオレの指はシャッターをきることをやめず、何枚も何枚も天音の女装姿を高画質で保存していく。この手でフォルダが充実していく感覚がたまらねえ。レンズ越しに映る天音の姿に何度でも心を奪われてしまう。

「ていうか、なんでそんなカメラ持ってるの?」

「いや、そこまで値が張るもんでもなかったし、さくっとカメラ屋さんで買っといたんだ。告白が成功したらこんなふうに撮影会できるように、だから、最高の笑顔で頼むよ。せっかくのかわいい恰好が台無しだぜ」

「………………」

 あ、これはさすがに調子に乗り過ぎたかもしれない。いくら恋人になったとはまだなり立てほやほやだ。そんな状態で女装を強要してさらに写真まで撮影させてくれなんて、さすがに都合が、虫が良すぎる話だった。

「いや、なん……」

「……わかった。翔のためだけなんだからね。あと、その写真は誰にも見せないこと! わかった?」

「は、はいっ!」

 ? なん……だと! というか、今完全に脳死で返事をしてしまった。我ながら今までで一番気持ち悪い返事だったな。

「……えっと、これでいい?」

 天音なりのかわいいを強調したポーズなのだろう。右肩を中心に上半身を前にかがめ、右手の人差し指を口元に添えたまるで、「ナイショだよ」とでも言っているかのような一種のあざとさを感じるポーズだった。小悪魔的ではありながらも天音から漂う清純さが、なんともいえないハーモニーを奏でていて、この状態の天音にお○○○○がついてるなんて……。

 こちらも撮らねば、無作法というもの……。

 シャッターを切る音よりも、今この瞬間の天音が自分の手元に収まっていく感覚に意識を奪われ、自分の呼吸の時間や、スイッチを押してから実際にシャッターが切られるほんの一瞬の時間でさえ、惜しく感じてしまう。

 スカートがひらひらして、美麗すぎる太もも(今日の制服は靴下を履いてもらっていない。今度、ちゃんと履いてもらったバージョンも写真に収めよう……)がちらちらと見える。

 パシャ、パシャ。

 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。

「ちょ、翔? どうして、カメラの角度がどんどん下がってるの?」

 天音は顔を赤らめながらも戸惑った表情を浮かべており、その両の手は短めのスカートを必死にしたに押さえつけていた。だが、それでもオレは構わずそんな姿でさえ、写真に収めていく……ローアングルから。

「ん? そりゃあ、お前の下半身を激写したいからに決まってるだろ?」

「……ば……ば」

「ば?」

「ばか野郎!」

 詳しくは言いたくないが、天音の見事なローキックがしゃがみこんでいたオレの脇腹に見事命中したことだけは明記しておこう。




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