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熾天の魔導師  作者: シウ
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第一話 

申し訳ありません。自分なりに考えた結果、ある程度の設定が出来た方がいいと判断し、書き出した設定を元にリメイクしたものを投稿をして行きます。

楽しみにされていた方、本当に申し訳ありません。

(なに、この夢…)


 ごくごくありふれた町の、ごく普通の小学三年生である澪にとってはその夢は理解の埒外ではあった。それは白いローブを纏った顔が見えない少年と靄の様なモノを纏った怪物が戦っているという不思議なものだった。


 そしてもう澪が驚いたのは少年が何か呪文の様なモノを口にすると少年の足元に見た事も無い幾つもの文字が描かれている魔法陣が三重に展開、少年の手に雷が出来たという事だった。


「我が手に集え裁きの稲妻。光を裂き敵を照らし、穿つ貫く槍となれ…ッ 《ライトニング》!」


 それは手品とかではなない事を直に分かり、澪の中に浮かんだのは「魔法」という単語だった。

「魔法」それは誰もが憧れるが存在するはずのない空想の力。しかしその存在しないはずの「魔法」をごく普通に使う少年を見て澪は驚いたが、その間も見ている夢は続く。


 少年が雷の魔法を怪物に放ち、怪物はその魔法を前足で受け止め、いや壊そうとしているのが澪にも分かり心配そうに少年を見る。

 すると少年は新たな魔法を発動させるための詠唱に入っており、そしてその手には先ほどには無かった丸い宝石の様なモノがあった。


「叡智より生み出され、結晶を封じる存在≪守護者≫よ目覚めよ、」


 少年がそう口にすると少年が突き出した宝石が光り始め、宙に先ほどの魔法陣を越える八つもの魔法陣が多重に展開される。そしてその間も少年の詠唱は続き徐々に多重展開された魔法陣がひとつづつ融合して行く。


「封印の眠りより目覚めしたものを鎮めし守護者よ、今ひとたび封印の力を持って眠りを与えよ」


 長い詠唱をする少年の顔こそ見えないが、その顎から汗の雫が一筋滴るのが見え、顔が見えない少年がどれだけの力を振り絞っているのかが見ている澪にも伝わる。頑張れ、そう手を合わせる澪の祈りを破る様に咆哮が空を裂く。目を開けた澪が見るとそこには先ほどの少年が放った雷の魔法を壊した怪物の姿があった。


「くっ!」


 間に合えと言わんばかりに少年から焦りの声が澪の耳を打つが、澪に出来る事は何もない。そして少年は先ほどのように詠唱に入るという様子はなかった。恐らく怪物を封印する為の魔法陣の維持に意識を割いている状態で二つの魔法は使えないという事なのだろうか?


 そうしている間も怪物は少年へと距離を詰めていき、怪物は少年へと飛び掛かる。その時だった。宙にあった八つもの魔法陣を一つにした少年は封印の魔法を起動させる為に最後の詠唱と鍵句を口にする。


「封印、眠りを与える者。祖の名は「ミカエル」!」


「OK seal method development is start」


 鍵句を少年が唱えた瞬間、少年が手にしていた宝石から声が聞こえた直後、発動した魔法陣から光が怪物へと射出される。


「ガアアアアアアアアアッッッ!!!」


 しかし、雄たけびを上げながら光を受けた箇所に封印の紋様が浮かびながら怪物は動きを止めず、正面から魔法陣に爪を振るい、魔法陣に亀裂が生じる。


「くっ‥‥あああああっ!」


 魔法陣が壊されないように、口元から僅かに血を滲ませつつも少年は最後の力を振り絞るように宝石へと魔力を注ぎこむ事で増えた光が怪物を球状に包み込む。そして光の繭が一際光輝いた直後、球状光が消えるとそこにはダイヤの形をした結晶だけがあり、怪物の姿は消えていた。少年はそれを確認すると告げた。


「キュアノス、封印!」


「OK, I start a seal」


 少年の声に答えるようにして宝石が光った後、薄い膜のようなものに包まれたダイヤがまるで吸い込まれるようにして宝石の中へと消え、それを確認した少年はそっと息を吐き。


「…あ」


 そのまま地面へと倒れ込む。見れば腹部の辺りには刺さっていたのか、辺りに血が流れ始めていた。だが、少年は起き上がる様子はなかった。

 それは先程にほぼ全ての魔力を使い果たしてしまい、まともに体を動かすことが出来ないからだった。


「…誰、か……誰でもいい…助けて……僕に力を…かし………」


 それを最後に少年は光に包まる。その場面を最後に澪は目を覚ましたのだった。




 ※ ※ ※


 澪が住む家は何処にでもある一軒家だ。付け加えるのであれば家の周りが生け垣で囲まれており、家の隣には父と兄、そして姉の三人が剣の稽古をするための古き情緒が残る日本家屋の道場がある事ぐらいの普通の家で、その二階にある一室にてその部屋の主である澪が携帯の目覚ましがなり始めた。


 目覚ましに設定した音楽は最近澪が気に入った音楽で、少しばかり覚醒した頭と僅かに開けた寝ぼけ眼に耳を駆使してどうにか目覚ましを鳴らす携帯を探り当てる。

 そして、携帯の目覚ましを止め、体を起こす。


「ふあ、あああ~…なんか、変な夢を見た気がする…」


 まだ眠たい目元を擦りながら、二度寝という名の誘惑を降りきるためにベットから足を下ろし、立ち上げる。そして目を覚ますように両手を上に突き上げて伸びをする。


「ん、んんーー、はぁ。よし取り敢えず着替えよう!」


 体を少しばかり伸ばした事によって少し目が覚めると、澪はその足で部屋の入り口近くにあるタンスへと向かい、部屋の入り口近くにあるタンスから靴下を取り出した後、今度はタンスと向かい合うようにしてある、勉強机の隣にあるクローゼットを開ける。

 クローゼットを開けるとそこには澪が通う小学校の制服とスカートがあり、澪はそれを取り出しクローゼットを閉め出した制服とスカートをベットの上へと置くと、寝間着のパジャマとズボンを脱ぎ、ベットに置いていた制服へと袖を通した後にスカートを穿き、ベットに腰かけて靴下を履き終えた。


「よしっ」!


 ベットから立ち上がると澪は閉めていた部屋のカーテンを開ける。


「んっ!…」


 閉めていたカーテンを開くと、朝日が入り込み澪は僅かに眼を細め、入り込んだ朝日が部屋全体を照らし出す。

 朝日が照したその部屋は小学生三年生年相応の可愛らしい内装で、本棚やベットには人形やヌイグルミが何体か置かれていた。


 そして、窓から見えたのは綺麗な稜線を描く山と今日もいい天気と感じさせる朝日だった。

 美空町。それは海から凡そ三、四十分ほどの場所にある内陸側の盆地にある穏やかな町で、特筆すべきものは特にないが特産品としては日本酒が有名な澪が住む町の名前だ。


「うん。今日もいい天気になりそう!」


 外の天気を見て澪はそう言った後、部屋のドアを開けて後階段で一階へと降りていく。


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