表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
越州動乱記(笑)  作者: 鹿島三塁手
第一章 動乱の始まり 長尾為景編
2/31

長男為景その2

佐渡金山が上杉家の財源と言われることがありますが、佐渡の金銀山が発見されたのは江戸時代の徳川直轄領になって以降です。

 越後では、山内上杉家の威光(いこう)を笠に着たやり方には、国人衆(こくじんしゅう)の反発を招き、身動きが取れなくなっていた。流石にこのやり方には顕定(かねさだ)の実家である上条家も反発し、越後の国人すべてが反山内上杉で(まと)まりつつあった。為景に追い風が吹いている。

 そして「長森原(ながもりはら)の戦」で山内上杉軍を敗走させ、大将の関東管領(かんとうかんれい)上杉上野介(こうずけのすけ)顕定を討ち取ることに成功する。しかしこの行為が二度目の主殺しとみられる。これは自らが生き残るための行為で、長尾左衛門尉(さえもんのじょう)景春殿と一緒にされるのは、はなはだ理不尽なものを感じた。先に攻めておいて負けたら逆臣扱い(ぎゃくしんあつかい)、理不尽である。


 その後は自らが越後守護にたてた定実様が、実家の力を借りて実権を持とうとするのを未然に防ぎ、逆に定実を蟄居(ちっきょ)の形で押し込めることに成功する。同時に敵対した宇佐美房忠(うさみふさただ)も自害に追い込む。

 ここまでやれば、もう上条上杉もあきらめるだろうと、停戦を行い友好の証として、両家の間で嫁のやり取りがされ、上条憲定(かみじょうかねさだ)と為景が双方に妹をやることで、一応義兄弟であり相婿(あいむこ)という形で収める。この頃まではまだ自分の中でも妥協点(だきょうてん)を探っていたのかもしれない。


 越後と言えば佐渡金山と言われ、佐渡で金が多量に取れたように思えるが、佐渡金銀山が発見されたのは関が原の後、上杉が米沢に減封(げんぷう)になった後に徳川家が発見したものであり、金山による収入は、1568年に岩船(いわふね)にあった本庄(ほんじょう)氏の岩船金山が直轄になってからである。

 何しろ越後は大きな河川の氾濫(はんらん)が多く湖沼(こしょう)の多い、あまり農業に適した土地ではなかった。


 その為、青苧(あおそ)による収入は木綿が、一般庶民の主流になる江戸時代初期までは、庶民の使用する繊維として重要なものであった。越後産の青苧を府中(ふちゅう)直江津(なおえつ))から上方(かみがた)に出荷する事、これが越後の大きな収入源であり、その航路(こうろ)の途中にある、能登や越前そこから販路(はんろ)を、京、堺に伸ばすことによって、幕府やひいては朝廷とも関係が深くなった。

 中でも管領(かんれい) 細川吉兆(きっちょう)高国(たかくに)様と、尾張畠山(はたけやま)稙長(たねなが)様との交流が為景の越後での権威(けんい)を高め、守護代ではあるが、国主待遇(たいぐう)という、後の越前朝倉家や備前の浦上(うらがみ)家と同格の扱いを受けるようになる。


 わしにはこの間に次男景康(かげやす)と綾を上条上杉家からの琴と、三男景房(かげふさ)を高梨家からの碧ともうけ、末子平三を古志(こし)家からの里との間にもうけた。四男なのに平三というのは、上条上杉から来た妻の子を数から外して数えたもので、無意識のうちに上条上杉との対立の予兆を感じていたのかもしれない。同時期の大永六年、弟の上田長尾房長に長男ができる。その子には守護代長尾家の嫡子(ちゃくし)の幼名である『六郎』を授けた。わが越後長尾宗家(ながおそうけ)に何かがあれば、上田に継がせる道も作っておく。やはり上杉は信用ならない、わしの中で上杉一族は、不倶戴天(ふぐたいてん)の敵となってしまっていた。


 享禄(きょうろく)三年(1530年)上条上杉家との仲がこじれ敵対関係になる。原因は大永(だいえい)八年(1527年)に嫡子道一丸改め、弥六郎定景(さだかげ)の元服と同時に、守護定実様の娘を嫁にもらったことにある。上条上杉家にとっては、自らを無視しているように感じたのだろう。


 そして享禄三年両者の関係は爆発する。上杉側から嫡男弥六郎を定実様の猶子(ゆうし)にという話が持ち上がり、為景は長男定景が上杉派に取り込まれたのを理解する。

しかしこの時は、細川吉兆高国様から幕府を通じての仲裁(ちゅうさい)を得たことにより事なきを得る。



だんだんと為景の思考がおかしくなってきています。彼を見ていると、悲劇しか思い浮かばなくなってきます。また為景の妻の名など、実名の残っていな人物には筆者が勝手に命名しました。ご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ