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越州動乱記(笑)  作者: 鹿島三塁手
第一章 動乱の始まり 長尾為景編
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長尾為景その1

 梟雄と呼ばれた長尾為景、彼は本当に悪人だったのでしょうか?

  思い出してみると永正三年(1506年)父能景(よしかげ)の討ち死、あれから長尾家と上杉家の、いやわし長尾為景(ためかげ)と上杉一門の戦いの歴史が始まった気がする。父は能登畠山氏を援護する為に越中を行軍中に、道案内で援軍に行く予定だった越中守護代の神保越前(じんぼえちぜん)の協力が得られず、一向一揆衆にやられたのである。


 この時から為景と上杉家の争いは始まる。わしは守護である上杉民部大輔房能(みんぶたいふふさよし)様を疑った。守護様の命により、関東の扇谷(おうぎがや)上杉への出兵から戻って、今度は畠山氏の救援のための出兵である。連戦の上に先導役が裏切ったのだ。その背後に越後守護がいる、と考えるのは常識的な判断だろう。父はたびたび、守護様に諌言(かんげん)を行っていたが、その命には忠実であった。殺される理由などなかった。

 強いて言うなら扇谷上杉家の太田備中守(びっちゅうのかみ)道灌(どうかん)殿、山内上杉家の家宰(かさい)であった白井長尾家左衛門尉(さえもんのじょう)景春(かげはる)殿など、上杉を脅かすほどの大きな影響力のある配下が、同時期にいたことが、越後上杉家に我が守護代長尾家が、疑われた理由になるかもしれんが、そんなもの単なる疑心暗鬼(ぎしんあんき)でしかないはずだった。


 永正四年(1507年)、為景は越後守護上杉側の為景討伐の噂を聞き、父の敵討(かたきう)ちと、自らの安全のために民部房能様を攻める。そして戦後上杉の一族から定実(さだざね)様を守護にするべく先守護上杉房能の養子という形で入れ、自らの妹を嫁がせる。これで、事は終わるはずだった。わしのしたことは、父の仇討ちと自分を守る行為だったのだから。

 それと同時に山内上杉の影響力の強かった、上田長尾家に弟である新六房長(しんろくふさなが)を養子として入れる。下克上(げこくじょう)とも取れるが、長尾家の身の安全のための行動とも取れる行動だった。


 その直後、阿賀北(あがきた)を中心に国人の本庄(ほんじょう)色部(いろべ)竹俣(たけまた)の越後守護上杉氏の配下だった者達の反乱計画をしていることを、配下の山吉(やまよし)を通じ、阿賀北衆の中でも上杉家との縁の深くない中条越前(なかじょうえちぜん)守からの報告として受け取り、これを殲滅(せんめつ)する。そして幕府に献金することで、上杉定実の越後守護と自らの守護代の地位を認めてもらった。


 永正六年(1509年)先守護上杉兵部房能の実兄、山内上杉顕定(かねさだ)が養子の憲房(のりふさ)と共に上州から仇討ちの軍を率いてやってくる。


「なぜ山内上杉がが?」


 為景は定実と佐渡経由で越中に落ち延び、上条上杉、山内上杉、そして越後上杉のすべてがつながっていたことに気づく。実際越後上杉氏は六代房忠(ろくだいふさただ)以降、上条上杉氏に乗っ取られている。また現山内上杉当主も上条の一族の出である。生き残るには上条家よる越後での影響をそいでいくことが重要である。

 また先日生まれた、高梨家の娘との子道一丸も育て方に気を付けないと、と考えながら、


「上田の房長には上杉と縁のない嫁をやらんといかんな」


と考え、上田長尾家に、越前朝倉氏から嫁を貰うことで、上杉氏の影響のない長尾家をもう一家を造り出し、そして伊達や高梨(たかなし)、畠山などと連携し越後に戻る。


 降りかかる火の粉を払っていたらいつの間にかと言う感じです。長尾為景は『上杉家という亡霊、怨霊に取りつかれた人』です。その結果「上杉アレルギー」を発症し、人生を対上杉にてくるわされた人物です。潔癖症のように、過敏すぎる反応を起こした。その結果が彼の最期だと思います。

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