魔王の異世界暗躍記『エルフの森時の番人達への宣戦布告』
我はこの世界を破滅と混沌に落とすために
手始めに最も邪魔をしてくる
者達への宣戦布告をする事にした。
時の流れを司る番人で世間では大賢者と謳われる、その存在が余は目障りで有る。
「ルシファーよ! エルフの森の隠れ里に巣食う下等なる目障りな蝿を片付けるぞ!」
「は、畏まりましたサタン様」
ルシファーはエルフの森へ向かって手当たり次第に魔法を解き放った━!
「大地を燃やし尽くせ!【闇火炎】」
辺りに黒々とした色の闇の炎が森へと燃え移り
エルフの里は阿鼻叫喚の騒ぎである。
「敵襲だ~」
「悪魔が攻めてきたぞ~!」
「皆武器を取れ!」
「皆子供達を安全な所へ避難させるんだ━!」
「大賢者様を御守りするぞ━! 皆━!」
エルフの戦士達が襲撃に備えようとそして騒ぎを落ち着かせようと収拾を計るが
中々落ち着かない。
「サタン! 何故!? こんな! 愚かな事をする!」
「久し振りだなカイン! 葬りに来てやったぞ!喜べよ」
嬉々として語られる言葉にカインは回避出来ない戦闘を嘆く━━
「喰らえ━!【火球】」を放つサタン!
「喰らうか━!【土壁】」でカインは防ぐ━!
魔法では勝負にならないとみた二人は肉弾戦に撃って出た!
「はぁ~ー喰らえ! サタン!」
〈タッ━タタタタッ━!〉
〈アータッタッタッタッタタタ━!〉
「無駄だ━! 賢者カインよ!」
「我には効かぬ!」
「無駄━! 無駄━! 無駄! 無駄! 無駄!
無駄 ~!』
カインが打ち出す拳を悉く防ぐサタン
二人の戦局が膠着した時に…………。
「サタン様、目的ははたしたかと!」
ルシファーがやって来てサタンの耳元で囁く。
「カインよ! 楽しかったぞ! ではな!」
嬉々と語り掛けられた言葉にカインは苦虫を噛みしめた渋面で聞くと━━
サタンはカインの前から姿を消した。
エルフの森を守護する大賢者カインは
エルフの無事を確認するために皆の所へ戻ると…………。
死屍累々の山々と消し去られた家屋━━
エルフの里は半分ほど残して壊滅的被害を出したので有った!
遺された者達で復興と普及に従事する事になるが━━
そしてカインは自身の家族を失った事に気が付く、妻と子が失われたのだ!
幸い姉は無事であったが!
「カイン! 落ち込んでばかりは要られないわよ! いざとなれば! 分流が有るでしょ!」
「そうですね。姉さん」
「私は緊急転移の巻き添えで飛ばされたエルフ達が居ないか探してくるわね」
そうして姉さんは世界へ旅へ出た……。
この時に止めていれば防げたかもしれない!
後に起こる未曾有の悲劇を!
「サタン様、この後はどうしますか?」
ルシファーがサタンに聴く……
「帝国の勇者を引きずり込むぞ! 此方側へな」
「其には駒が居るな!」
サタンは思案する……。
世界を旅する姉ミレアーナは帝国へと足を運んでいた、其処で運命の時を迎える……
帝国の勇者クリストフとの出会いである!
壮絶な恋に堕ちた二人は夫婦の約束をした。
二人が帝国の主催するパーティーに出たのが運命の転換期で有った!
サタンは帝国の王子達に目を付ける!
世間知らずの馬鹿共に照準を合わせたのだ!
早速サタンは王子達の夢枕に立ち囁く……
『手に入れたいとは思わないか?欲しいとは
思わないか?女が欲しいか?手を貸すぞ!』
サタンは王子達の夢枕に立ち唆す……
王子達に勇者の思い人を好きになるように
そして暴走する様に仕向けたのだ!
サタンは二人の王子達が思い通りに動いたのを確認をすると笑みを浮かべながら……
頃合いをみて帝国の勇者の心に入り込み……
囁く……「取り戻したくは無いか? 復讐したくは無いか? 力が欲しいか? 手を貸すぞ!」
こうしてサタンは二人の王子達を使い勇者を堕転させて世界を破滅と混沌に落とすために動き出す。
「上手くいったなルシファーよ!」
「はい、サタン様。」
二人は闇夜の中に消えて行った……
漆黒の闇に溶ける様に……。
世界はどうなるのか? カインは黙ってやられているのだろうか?……