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呪い纏いし姫君~中等部編  作者: 顔芸部部長
4/8

ハイスペックな奴ら

ああ、読んでくれる人がいる

幸せ

前回概要:囲碁部を荒らした。後悔はしていない

神谷:む、ムダにハイスペックだなこいつ……




「いらっしゃい~~~サッカー部如何か!!」


「やきう!野球!!日本人なら野球だよ!!」


「今ならテニス部に入ってくれると特典ついてくるぞ!」


「ちょっとそこの貴女、女子テニス部に興味ない?」


文化部と違って、運動部は非常に盛り上がっている。


そりゃ、体育会系が集う場所だから、煩い人も多いでしょうけど。


因みに女子テニス部の勧誘は丁重にお断りいたしました。運動音痴なめるな、1セット所か、半分ももてない自信がある!


「神谷はどっちいく?」


「ん?野球かバスケだな……」


運動部はどの道私が活躍することはないので、神谷の選択に任せる。


バカそうに見えても、一応成績は学年五位以内には入るし、身体能力はバカらしくバカみたいに高い。


バカンなだけに


「今すっごい勢いでディスられてた気がするんだが……」


「気のせい」


身を守る最低限の力をもってもらわねばと、叔父さんからは空手も教え込まれている。


つまり本当の文武両道なのだ。私と違ってハイスペックなのだ。


チート野郎め


「本当俺何お前怒らせたっけ……」


「別に」


チート野郎は私のような持たざる者の気持ちなぞわかるはずもないのだ。ふん!


「ん~どっちに入るかな~お前どう思う?」


「全国に出たいなら、野球。結構強いらしい。」


「へぇ、バスケは?サッカーは?テニスはやらないけど」


「サッカーは弱小。バスケは県大会くらいのレベル。成長途上?因みに女バスは全国レベル」


「俺に言われてもね~なんならお前入るか、女バス」


「断固拒否する。」


神谷はちょっと考えて、野球部へ歩いていく。


神谷は男のコらしく、一番じゃなきゃ気にいらない気質が高い。


勉強では八年の記憶もっている私に勝てないから多少手抜きだが、他のことは何でも全力投球。


特に身体能力が高いから、運動面に関しては初等部の頃から無双してた。


だったら野球部に入るのも一番無難な選択と言える。うちの運動部で一番全国一位に近い部だから。


「まぁ、様子見と行こうぜ、まずは」


「無難ね」


因みに野球部んとこ一番混んでいる。


前から月影さんからの情報だと、三年に超イケメンのピッチャーがいて、その人がいれば今年全国一も狙えるとのこと。


おかげで全国への憧れのある男子生徒だけじゃなく、女子もかなり多い。マネージャー狙いかしらん


「うん。だから気になるなら君たちも野球場に行ってみるといい。体験もできるよ。後女子マネージャーは間に合っているんだ、ごめん。」


イケメンの優男の先輩が受付していて、入部希望者を野球場へと誘導していく。


因みに女子生徒は大体お断りだそうだ。そりゃ、マネージャーそんなにいらんよ……イケメン狙いは迷惑ですよ


「俺ら直接野球場いくか?なんかあっちいくのは馬鹿臭ぇ」


「ん。でもあれが噂のイケメンピッチャー?」


「なんだその噂。知らんわ。なんだよ、イケメン気になるのかよ」


「だって」


「……っ」


「普通体験するなら、強い方を野球場に置くものなんじゃない?自分たちは強いぞって宣伝できるし。わざわざここに客寄せパンダやっているのはどうかな」


「そっちかよ」


どっちだと思ったのだ、神谷くんよ。


もちろん客寄せパンダ的なことしても効果はあると思うけど。でもどの道全国いくには実力が一番重要なんだよね。


部員の数も流石に百人もいれば混乱するし、制限すると言う意味でも数を取るのは得策じゃないと思う。


「そ、そうだね。やっぱり僕は野球場に……」


「えー、蓮司れんじ先輩が行っちゃったら誰が新入生を引き寄せるんですか?」


「でもね……」


どうやらイケメン部長さんも聞こえたらしい。マネージャー的な女子が文句いって引き止めている。


「客寄せパンダならマネージャーさんでもいいじゃないですか?お綺麗ですし」


「は?ちょ、余計なことを」


「そうだよね、うん、僕もそんな気がしたよ。睡理すいりちゃん、ここは任せていいかな!」


「あ、いえ、私だけじゃ」


「武田くん、サポート頼むよ。」


「うす」


「じゃ僕は野球場いくから、興味あるなら来てくださいね」


そう言ってイケメンさんは小走りで野球場へと走っていく。マネージャーさんは機嫌を損ねたのか、むくれて私を睨んでいる。


私、何か間違ったっけ


「……他所のことに口出すんじゃないって、いつも言ってんだろう……」


「私何か悪いこと言った?」


「いや、正しいだろうけどさ……」


ちょっと肩を抱き寄せて、小さく神谷は呟いた


「多分一緒にいたいんだよ。マネージャーさんは部長さんと、名前呼び合ってるし、付き合ってんじゃないか?」


「あー」


なるほど、それは悪いことしちゃった


「なんかごめんなさい」


マネージャーさんの前に行って謝ってみる。自分が間違った時は必ず責任を取らなければ。


そうすると、マネージャーさんは「はぁ」とため息付いて呆れた顔を見せた。


「いや、別にいいわよ。貴女の言い分は間違ってないんだから。れん、部長がそういう所鈍いのがいけないんです。

 貴方達も入部希望の新入生でしょ。マネージャーはいらないけど、興味あるなら野球場へ行ってきたら?」


「あ、はい、そうします。こいつがすみませんでした」


「もういいわよ。はい~~野球部どうですか~~」


「凛、行くぞ」


「ん」


手引かれて、私たちは野球場へと向かう。


希咲学園の野球場は広い。お金持ちの学園だから当然だけど、部活への力の入れ方も半端ない。


伊達に全国レベルじゃないって、否応なしに見せつけてくる。


その中、ピッチャーとバッターの体験コーナーもある。他の位置はその手の先輩の話を聞いているらしい。


「あ、君たち。さっきありがとう。僕はあそこ苦手なんだ。やはりこうやってボール投げるのは一番楽しいからね」


「い、いいえ……」


実は怒られたけど、言わない方がいいかな


「君、体格いいね。野球部希望かい?」


「ええ、興味はあります。」


「じゃ、バッター、試しに体験してみる?僕がピッチャーやるよ」


「いいんですか?」


「もちろん。僕はこのためにここにいるからね。丸井くん、天城くん、よろしくね」


「「はい~」」


「じゃ、遠慮なく。あ、付き添いの彼女もここで見てていいっすか?」


「うん。もちろん構わないよ」


「うし、頼むぜ、凛」


「ん」


神谷はメガネの先輩からバットを受け取ると、軽く振って感触を確かめる。


もうひとりの先輩は神谷の後ろでグローブを付けて肩を解している。


「じゃ、いいかな?」


「いつでも、あ、先輩、ちょっといいっすか?」


「なに?」


「三本くらい本気で投げててください。俺は打ちません。ちょっとスピードに慣れてみたいです」


「ん?いいけど。」


「先輩は強いらしいですから。ちょっと慣れないと触れそうにないんで」


「いいよ、そこまで言うなら。」


先輩はニコりと笑って、ボールを握り締める。


「打てるものなら、打ってみな」


すぐ、雰囲気が変わった


「ストライク」


「速」


本当にめっちゃ早い。私は動体視力いい方だけれど、肉眼で捉えるのはやっとだ


「流石に一年生に喧嘩売られて、俺も黙っていられないぜ?」


さっきの優男的な風貌が一転して、先輩は獰猛な笑みを浮かべる。


どうやら噂通り、ボールを握ると性格が変わるらしい。中坊らしい設定だね……


私もゲームでキャラ作りしてたから人のこと言えないけど。


「凄いっす。後二本お願いします」


「闘志が萎えなかったようだな。いいぜ、オラ!」


「ストライク」


「あ、天城、数えなくていい。四本目からが勝負って、そいつが言ってたからな」


「あ、うす」


そして、部長さんはもう一本教科書みたいに完璧な高速球を投げて、神谷へのハンデの三本が終わった。


今までの三本でわかったけど。


部長さんはまず直球しか投げてない。多分変化球もできるけど、直球しか来ない。


原因はそのスピードにある。部長の直球の時速は凡そ138キロ、中学生にしては驚異的である。


それが、プロでもない中学生のバッターでは到底届かない。


絶対的な自信。それが直球の意味。


「では、お願いします」


「ああ、泣かしてやろう。」


神谷がこっちを見た。私の位置は先輩では見えない。


指二本を出して、前髪をちょっとイジってみる。


天城先輩はちょっとビクっとしたけれど、確証のない以上今更先輩にできることはない。


「ストライク!」


一本目、見て惚れ惚れするような剛速球。


神谷はバットを振ったけれど、掠りもしなかった。球がくるコースも読み違えた。


「ストライク!」


「ほれ、どうした。さっき啖呵切っておいて、それはないだろうが」


「はは、すみません。最後の一本お願いします」


「まぁ、いいさ。いくぜ?」


部長さんがちょっと失望したように悲しい笑みを浮かび、球を握り締める。


そして、最後の一球を投げ出した


球速、142キロ。今まで投げた中でも最速。恐らくは部長さんの全力。それに加えて心情の変化により、一番調子のいい一球になった。


外角高め、ストレート。小細工は必要ない、そのまま決める。


でも


「ふん!」


「なっ?!」


神谷の全力の一撃が、高速で飛んでくるボールにクリーンヒットする。


そのまま、ボールが凄い勢いで飛んでいく。


「お、おい、これって」


「ホームラン……」


「あの部長が?ありえねぇ」


「新入生、お前……」


「すいません。ちょっと猫被ってたっすわ」


実の所、神谷は別に野球が上手いわけではない。


むしろバスケと比べてはかなり下手とも言えるが、それでもいつもそれなりの成績を出せる。


身体能力がずば抜けて高いのもあるけど


「お前の身体能力は恐らく俺よりも高い。だが、それだけでは俺の剛速球は打てないはずだ。」


「ええ、一応見えてはいますが、打つのはしんどいです。俺だけじゃ無理っすね」


「彼女か」


「はい。そのために、3本くらい投球練習していただきました。」


「お前の目を慣らせるためではない、彼女のためと」


「はい。」


「最後の一球は?」


「別に何も、俺の受けた指示は、二球流せと最後は外角高めのストレートが来るだけです」


実は私のおかげでもある。


私は人の心を察知することはできない。鈍感さがエロゲー主人公並と自負している。(するな)


でも人の動きを観察し、その次を予測することには非常に長けている。


別に左手が前より二センチ上がったとか、そういうのではない。


直感に近い感覚で、あ、そいつ次は変化球でくるってなる。


だから他人に教授することはできないけど、恐らくそれは脳が勝手に分析して答えを出した結果だと思う。


そのため、初見で見破ることはできず、投球練習で少し慣れておく必要があった。


最初の二球を見逃すのは、私と神谷の間ではもはや慣例化している。それも三本目の投球を予測する精度をあげるためと、相手を少しだけでも油断させるためである。


特に部長相手に、もし警戒されて、変化球でも出されたら流石に短期間じゃ見抜くのは無理だ。


最初の二本指は“二本見逃せ”という意味で、最後には両手で外角高めのサインをだす。


流石に来るコースが完璧に読めていて、その上五本の投球を受けていたら、神谷でも簡単に捉えられる。


「正式に勧誘しよう。君たち、野球部に入らないか?君は見たところ原石のようだ、磨けばきっと素晴らしい選手になる。そこの彼女との連携も見事だ。是非ともマネージャーに来て欲しい」


「あ、はい。前向きに考えておきます。一応他も周りますので。」


「うん、それでいいよ。君も、いつでも歓迎するからね」


「……はい」


ボールを投げ終わった部長はまだ爽やかな美青年に戻った。キャラ作り、結構気合入っているな……


歓迎されてるのはいいけど、私は神谷次第だし、囲碁部のことも一応気にはなるしね


「お疲れ。大丈夫?部長さんに勝っちゃって」


「あ?まぁ、別に心の狭い人じゃないだろう、あの部長」


「その心は?」


「負けんのは嫌だ。」


「だと思った」


「二人掛りなんだから、勝って当然さ。ほら、他回ろうか」


「ラジャー」


この後も、私たちは気ままに運動部を荒らしまわった。


他の部は弱小部も多いから、神谷による被害が結構大きかった。


神谷、やりすぎ。





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「会長。運動部から苦情が」


「?どの部?」


「運動部です、沢山です」


「どんな苦情だ?部費は上げられないぞ」


「一年生カップルに荒らされて、入部希望者が激減したらしいです」


「???わけわからん」


……



……


「なるほど。この二人が悪い」


「どうしますか」


「どうせ明日も学園に来るだろう、ちょっと注意しておく。」


「分かりました。」


「毎年毎年、何故こうも癖の強い生徒が多いのかね」


「会長も一癖ある方だと心得ておりますが」


「否定しないな、あ、そこもっと激しく踏んで。あ、痛い、痛い、イイぞ~」


副会長に踏まれて、恍惚な表情を浮かべた生徒会長でした。


因みに凛は自分の頭脳が普通だと思い込んでいるため、常に何故この世にバカがそんなに多いのかと悩んでいる。頭いいはずの神谷いつもバカにされているのはそのせい。

贅沢な……

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