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地下の部屋に広がる・

「ジブンは、死ぬことが目的デス。と言ってもそれだけデハナク、ある一人を守ることがジブンの目的デス。もちろん、他の人も守りマスヨ。」

 「守るって具体的に何からでしょうか?」

 「分からナイデス。最初ハ、この中に殺害が目的の人ガイルのかと思いマシタが、恐らく、あの化け物からマモレ。と、いう事なのでショウ。」


 そういうギルニルの意見は、信用に値するかもしれないと、全員が思う。この中で最も屈強な体を持ち、SPをやっているという事は、体力的にも優れている。武器が少ないことが少し不安要素ではあるが、そこを差し引いても彼は十分な安心感を与えてくれる。


 「そ、その守る人は言わない方がいいんですか?」

 「そうデスネ。なんで守るのかわからないデスシ、言わない方ガ得策だと思いマス。」

 「そうだよ。それに、普通、殺人なんてしないわけだし、守れって指示があるってことは、殺せって、指示もあるかもしれないじゃん。」

 「そうですね。とりあえずは、このまま保留という事でいいんじゃないでしょうか?話がそれましたが、あの部屋であったものの紹介を再開しませんか?」

 「すまんな。ワシが脱線させた。」

 「いえ。お陰で自分にはない脱出方法を持っている人がいることがわかりましたので。」

 

 再び、書斎での収穫物に関しての話し合いが始まり、次に土を開いたのは、本棚を調べていた薫とマリーだった。


 「ツギ、イイデスカ?」

 「ああ、頼む。」


 じゃあ、と言いながら、マリーと薫は二本の鍵を取り出す。それはここに来る前に持っていた、かかる部分ない棒だけの鍵では無く、しっかりとかかる部分のある如何にも昔の鍵を思わせる風貌の鍵だった。二本の鍵には、それぞれ、取っ手の部分に紋様が刻まれており、片方には、月の紋様、もう片方には、太陽の紋様が刻まれていた。その二本の鍵は、明かに一対の鍵であることが分かる。


 「ツキト、タイヨウガ、カカレテルデス。」

 「恐らく、一対の鍵だと思います。どこか憶えのある人はいますか?」


 薫の質問の全員が首をかしげる。今まで探索してきた中で開かなかった扉は、二階の四つの扉のみ。


 「二階二、開かないドアがありマシタ。そこでは、ないデスカ?」


 ギルニルが話しているのは、初めて二階に行ったときにあったいくつかの開かない扉の話をする。その扉の正確な数は覚えていないが、二つ以上あったことも含め、二階をよく歩いて居であろう、薫、幸恵、沙良に話す。


 「二階の扉ですね。覚えておきます。あと可能性があるとすれば、三階か地下ですね。」

 「それなんだけど。」


 と、薫の出した疑問に沙良がすぐさま反応する。

 幸恵と二人で棚の上や引き出しを調べた沙良は、一枚の紙を取り出す。


 「多分、この洋館の見取り図?があったよ。」


 棚の上に見つかったこの洋館の見取り図と思える紙には四つに組み分けられた地下一階から三階までの部屋の役割と間取りが記されていた。その紙を見る限りでは、ギルニルの言った部屋は、二階にある『血』と『力』の部屋であることが推測できる。しかし、その見取り図には、扉の位置までは書いておらず、扉の数などは不明なままであったが、三階や地下一階には、部屋と呼べるような場所が存在しないため、大体の見当を立てることが出来た。


 「た、多分このどちらかの部屋じゃないかな?他に部屋無さそうだし。」


 幸恵のこの意見に反論を言うものはいない。この一対の鍵は、この部屋の者であると全員が断定することで一通りの考えがまとまる。


 「どうしますか?先程までの話ですと、地下に移行となっていましたが、この鍵のこともありますし、二階に行くのもイイと思うのですが?」

 「そうだな。この見取り図は、大体正確みたいだし、地下に行っても何もない可能性が高いな。」

 「ワタシハ、チカニイキタイデス。」

 「ジブンは、三階が気になりマス。」


 ここに来て、ギルニル、マリーと意見が割れる。幸恵と沙良は、何か意見を言うことは無く、薫と弘の判断に任せるように待っている。


 「どうしますか?手分けしましょうか?」

 「しかし、あの赤い怪物の推測が正しければ、地下に黒いやつがいるのだろう?そこに行くのは危険だろ。」

 「そ、そうですよ。なんでマリーさんは、そんなところに行きたいのですか?」

 「キケンナモノ、ハヤクケスベキデス。クスリモ、アリマス。」


 片言の日本語でマリーは、必死に不安要素は早めに潰してしまうことがいいことを推奨する。その意見は、誰の心にもあった的を突いたようで、


 「確かに、どこにいるか分ってる状態なら、仕留めるべきかもしれませんね。今なら手負いでしょうし。」

 「それナラ、戦闘能力の高い人ガ行くべきデスネ。ジブンと間瀬サンあと薫サンの男性陣で行くのハ、ドウデショウ?」

 「自分は運動が苦手ですので、マリーさんの方が強いと思いますよ?」

 「カオルハ、ヒヨワネ。」

 「すみません。間瀬さんもそれでいいでしょうか?」

 「まぁ、あの怪物は倒しておいた方がいいと思うしな。」

 「では、よろしくお願いします。」

 「私も行きたいんですけど?」


 3:3で別れたと思ったとき、沙良が、今までになく自主的な発言をする。


 「氷野さんも戦うんですか?」

 「そうじゃなくて、ちょっと気になることがあってね。」

 「そうですか。では、自分と新妻さんの二人で2階に行きましょうか?」

 「わ、わかりました。大丈夫です。」

 「じゃあ、見取り図も渡しとくね。」

 「あ、ありがとうございます。」


 沙良は、後ろから幸恵に話しかけ、洋館の見取り図を渡す。それを受け取り、ポケットにしまうと、幸恵は、談話室を後にする。それに続いて、マリー、弘、ギルニルの順番で談話室から出ていく。

 弘、沙良、マリー、ギルニルの4人で地下1階の探索兼、そこにいるであろう黒い怪物の除去。

 薫、幸恵の二人で3階の探索と鍵の確認をする方向で話がまとまり、大体、2時間で食堂に再集合するように約束をすると、談話室を出てそれぞれは、階段へと向かう。


 「氷野さん。これ一応渡しておきます。」

 「?。ああ、ありがと。」


 最後に部屋を後にした、薫と沙良は、誰も見ていない状況で、一つものを渡し別れる。そのものが、この後の状況に大きく関わることになることは、誰も予想することは出来ない事であろう。



高平 薫 持ち物;メモ用紙、鞄(棒二本、10メートルのロープ、)嫉妬の薬以外の薬3つ。2本の鍵、金属片。

間瀬 弘 持ち物;警察手帳、手錠、拳銃、メモ用紙、二枚のメモ用紙

     目的:神の力の持ち主が死ぬように仕向けること。

氷野 沙良 持ち物;金槌、リスのような生物、赤い宝石、嫉妬の薬(群青色の薬)

     目的:殺人鬼を見つけ、宣言すること。

新妻 幸恵 持ち物;小さなナイフ、懐中電灯、メモ用紙、小さな箱、見取り図

目的:なし。裏切り者に見つからない事。

ギルニル・F・アデラート 持ち物;棍棒、手錠×3

     目的:殺人鬼から探偵を守り死ぬこと

マリー・マーキュリー 持ち物;サバイバルナイフ





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