86話 風呂は偉大なり。(ジン)
「っあー。いぃ湯だぁなぁー」
アオイとフィロを見送って早速風呂へ。
ささっと一人先に服を脱いで掛け湯してから湯船に浸かった。
うん。頑張った甲斐があったな。温度もいい感じだし、クリーア石だっけ? この石もいい感じだ。ツルツルしてて色合いも良いしお湯に合う。
はぁー。ここ最近の疲れがぶっ飛ぶなぁー。
「ちょっとジン! 一人だけ早いわよ!」
「ご主人様一人だけズルい!」
「うぅぅ、恥ずかしい」
「フーカ、堂々としておけ。どうせいずれ見られるんだ」
おぉ! 肌色が眩しい。皆タオルで前を隠してはいるけど、リリカは隠せているが隠せていない! うん。眼福眼福。
「リリカは昨日凄い恥かしがっていたわよね?」
「そうだな。フーカ恥ずかしいならタオル巻いて入っていいぞ? 家の風呂だし温泉じゃないからな」
「は、はぃ」
「あ、入る前にそこのタライでお湯を体にかけるようにしろよ。汚れを落とすのとお湯の温度に慣れる意味があるからしっかりな」
「「はーい」」
「ふー、気持ちいいわね。領主のお風呂は狭くて分からなかったけど、これはいいわねぇ」
ルナは顔だけ出してゆらゆら水面を流れていた。昨日の風呂では俺だけで一杯だったからゆっくり浸かることもできなかったからな。
「ふわぁー、気持ち良いですー」
「気持ちイイね。もうご主人様に買われてから驚きっぱなしだよ」
フーカとリムリは背が低いから浅い方に座っている。段を上げて置いて正解だったな。
「これほどの風呂など王族の屋敷にもないぞ。流石は主様じゃ。ほれ、そんな遠慮せずとももっとくっ付くのじゃ」
リリカは俺にベッタリ寄り添い腕を絡めていたりする。
「って、当たってる! 当たってるって!」
「当てておるのじゃ。昨日の埋め合わせじゃよ」
「お前昨日は真っ赤になって涙目だったくせに何でそんな積極的になってるんだよ!」
「当然じゃ! 主様の周りには良い女子が多い、うかうかしておられん!」
リリカはタオルも外しているのでさっきからダイレクトアタックが続き腕が昇天しそうだ。
「リーリーカ? そのくらいにしとかないと今後ジンと一緒に入らせないわよ?」
お湯の気持ち良さに俺から離れていたルナがすーと近付いて来てリリカを睨んだ。
「そうです! ズルいです!」
「そうだそうだ!」
フーカとリムリはタオルの上から胸を押さえてちょっと涙目で訴えていた。二人共まだまだ成長するだろうし、気にしないでいいと思うけどな。
「そうは言うが、妾はこれくらいせんと追い付けんではないか!」
「色仕掛けは辞めなさい。ジンに認めて欲しいなら別のことで頑張りなさい」
俺としてはこれも並行して欲しい所だけど、いえ何でもありません。
ルナがギンっと睨んできたのでお湯に沈むことにする。ぶくぶくぶく。
そんな感じで風呂を満喫することができた。皆が風呂を気に入ってくれて良かった。
アオイ達を呼ぶ前にどうせなのでお湯を抜いて、もう一度貯めてあげることにした。アオイも楽しみにしているみたいだし、綺麗なお湯を準備してやりたかったのだ。だが、
「えぇ、一回で捨てるんですか?」
「……すっごい贅沢だねぇ」
「主様よ、屋敷でも残り湯で洗濯ぐらいには使っておったと思うぞ?」
皆からは良く思われなかったようだ。でも使う魔力ってリカバリー一、二回分ぐらいだから問題ないんだけどなぁ。
「今回は特別だ。アオイ達にも一番風呂をご馳走したかったんだよ。ほら、着替えたならアオイ達を呼んで来てくれ」
「あ、はい! 行ってきます」
「あ! 私も一緒に行くよ」
フーカとリムリがアオイ達を呼びに走って行くのを眺めながらタオルで頭を拭き、ふわふわタオルを用意しようと決意した。だってこの世界のタオルってただの布だし。




