104話 奴隷王のスキル
「それじゃ、気を取り直して。ミオさん、あなたを俺の奴隷にします。同意してくれますか?」
「はい。私の全てをジン様に捧げます。どうか私たちをお救いください」
だから一々重いよ!! ……もういいや。同意は受けた。それじゃスキル発動!
ミオさんの肩に手を置いて奴隷王のスキルを発動させる。
「ッ」
「うぉ」
ミオさんの肩に置いていた手の平から何やら魔力が流れ込んでくるのを感じる。
これって昨日のリリカと同じ?
「……収まりました」
ミオさんも感じていたみたいだな。すぐに収まったし、無事に奴隷にも出来たみたいだけど。これは……。
「ジン? どうかしたの? 上手くいかなかった?」
「いや、上手くいったよ。うん。上手く行き過ぎたぐらいには」
ミオさんは俺の奴隷になった。それは間違いではない。でも、
「ミオさん、『ジャンプ』」
「え、きゃッ! え? え?」
俺の言葉を聞いた瞬間、ミオさんはその場でジャンプしていた。――己の意思と関係なく。
「ミオさんを奴隷にして分かったけど、どうもこのスキルで奴隷にした者は俺の『命令』に逆らうことは出来ないみたいだ。それにミオさんから俺に魔力の繋がりが出来たみたいだな。ミオさんは魔力が一定以上溜まったら俺に自動的に供給することになるみたいだし、俺が望めば魔力を強制的に徴収することもできるな。それに俺の許可なく長期間離れる事もできないみたいだ。あとは……俺の魔力を使って能力を一時的に引き上げることもできるみたいだな」
通常の奴隷にも服従の命令が行われているけど、あれは死を覚悟して抗おうとしたなら歯向かえる程度の縛りしかない。……それでも抗えられるのは一部の強者のみだけど。
でもこの奴隷王のスキルの服従は絶対だ。
もしミオさんが俺に攻撃を仕掛けようとしたなら、俺に攻撃が当たる前に自身の意思とは関係なく自爆、もしくは奴隷王の縛りによって昏倒するだろう。
このスキルの怖いところは本人の意思に関係しないところだ。例えば、
「ミオさんが寝ている時に俺が『肩を揉め』と命令したならミオさんは寝た状態でも体がスキルに操られて動き出すはずです。そしてミオさんにはそれ止める術がないんです」
これは、もし勝手に俺から離れたら場合に寄っては最悪の結果になるかも知れないぞ……。
能力の引き上げも強制的に行うから奴隷の体にかなりの負担が掛かるだろう。
…………このスキルは封印だな。軽々しく使っていいレベルのスキルじゃないだろう。……罪人用? ……そもそも奴隷って罪を犯した罪人だよな。なら間違っていないのか。
あと奴隷紋も入っていないな。あれは奴隷契約の魔術によって刻み込んでいる物みたいだから奴隷王のスキルでは刻むことは出来ないみたいだ。
「なるほど。ですが、その程度であれば問題ありませんね」
「…………は?」
俺の話を聞いていたはずのミオさんは特に気にした様子もなく「俺の肩を揉みながら」平然としていた。
「いやいや、これはダメでしょ。幸い奴隷から解放することも出来ますから――」
「結構です。私はこのままで問題ありません」
……えっと。目がマジなんですけど。は? マジで言ってるのか? 肩を揉みながらすまし顔で言われても緊張感ないけど。
「ミオ殿、別に主様はミオ殿を奴隷にすることを止めると言っているわけではないのだぞ? これは流石に色々とマズイであろう? ここは通常の手順で奴隷になるべきじゃ」
おお! リリカが珍しく良い事言った! 良し! その調子で説得するんだ!
「いえ、私はこれからジン様の奴隷となるのですからこの程度問題ありません。むしろ、光栄に思います」
おいおい、なに言ってんのこの人? 奴隷にしたら性格おかしくなったの? スキルの不具合ですか?
「ダメじゃ、ダメじゃ! それではお主が特別扱いになってしまうではないか! せっかく妾が主様の特別になっておったのに! 認めんのじゃ!?」
「おい、お前は何を言って――」
「私もジン様の奴隷になった以上、リリカ様には負ける気はありません」
「――ちょっと、ミオさんも何言って――」
「なにをぉ! 後から出てきておいて妾よりも主様の寵愛を受けるというつもりか!」
「あら? 私の方がジン様とは先に出会っておりますよ?」
ちょっとこの二人はなにを言い合いしてんの?




