100話 光の盾
「ガウゥゥゥ! ガオォォ!!」
「ガァァ!! ガウゥ!」
「ガオォォォ!!」
「ふむ。こいつらぐらいだったら余裕で防げるな」
狼に囲まれ一斉に飛び掛られたのだが、光の盾を発動して俺たちの周囲一メートルほどをドーム状の障壁で覆うと、狼の牙も爪も体当たりもまるで効果はなかった。光の盾――ドームと名付けよう。
「これかなり強い結界よ。……ただこの規模で発動すると魔力消費が酷いわね」
ルナの言う通りこの規模で展開していると一秒毎に魔力を少しずつ消費しているようだ。俺の魔力量でも十分と持たないな。
「通常の盾ぐらいのサイズにすれば魔力は一切使わないし、防御力もかなり高いんだけどな。でもこの盾は障壁に使ってこそ価値があるだろ? 小さい障壁を面で使ってみるか」
障壁を解き、飛び掛って来る狼を一匹ずつ一メートル程度の板状の障壁で弾いていく。手を伸ばし手の先に盾を生み出すと腕の動きに合わせて動かすこともできる。その応用で手首を捻ると盾が横を向く。そのまま腕を振り抜くと盾が想像以上に鋭く動き、狼を殴打することができた。光の盾――シールドと名付けよう。
「おぉ。これいいな。ん? 形が変えれるんだから、鋭く刀身の様に、もっと鋭く、あぁ、薄くしないとダメか。こうか? お? おぉいい感じだ!」
「セロ・トルネード! ちょっとジン! 囲まれてるの忘れないでッ!」
「おっとすまん! でも出来たぞ。光の剣――セイバー!」
盾を剣状に変形させて手首の動きで操る。これ魔力消費デカいけど、十メートルぐらいなら進ませることもできる。だから、
「腕と手首の動きだけで自在に飛行させれるぞ! くらえ! 飛翔剣!」
腕を狼に合わせて振り抜くと三メートルほど離れた位置にあった光の剣が狼を切り裂いた。
「ギャウン!!」
「ガァ! ギァ!」
「ガオァ――――」
向かって来る狼を離れた位置から手刀でなぞるように動かしていくだけで狼達は次から次へと光の剣の餌食になる。
「……すごいわね。――でも、魔力尽きるわよ?」
「え? ――うお!! これ魔力消費半端ないぞ!」
調子に乗って振り回しているとまだ数分しか経っていないのに魔力が底を尽きかけていた。真実の瞳のレベルが上がったことで現在の魔力量がどれくらいなのか大まかに分かる様になっていた。
慌てて光の剣を消し、残っていた狼二匹をフルンティングで切り裂く。魔力吸収のスキルのおかげで多少怠さが解消されたけど、光の剣で魔物を倒しても使う魔力と吸収する魔力に差があり過ぎて長く使うことは出来ないみたいだ。
「ジンはもう少し魔力制御を鍛えないとダメみたいね。光の剣はしばらく禁止よ。魔力消費が多すぎるわ。ルナが制御すればもう少しマシだと思うけど、それでもこのままじゃダンジョンでは使えないわよ?」
「そうだな。まぁ、障壁としては十分に使えるし、いいだろ。あとは要修行だな」
フルンティングに魔力を通す時は比べ物にならない精密さが必要みたいだ。ルナのおかげで問題なく魔力を通すことはできるけど、どうもダダ漏れみたいだ。ルナに制御を任せるとルナが戦えなくなってしまうし、俺が鍛える必要がある。
魔力吸収のレベルが上がって魔力制御が上達すれば自由に光の剣が使えそうだな。
「ふふ、ルナが修行つけてあげるわよ?」
「……お手柔らかにお願いするよ」
凄く良い笑顔のルナにそれ以上言えることはないです。
まぁ、いい機会か。剣術もミニャかアオイに師事できないかな?
村の方へ駆けながらそんな事を考えていた。




