俺TUEEE!?
プロローグ
「じゃあな、ステッキー! またな~」
「おう、進藤またな。それと俺はステッキーじゃなくて捨木だって言ってんだろ!」
学校の授業も終わり、帰宅部名誉部長であるところの俺は家に帰ってゲームでもするかと学校の門へと向かっているところだった。同じクラスの友人たちから挨拶されるのは構わないんだが妙なアダ名をつける奴が多すぎて困る。
「わかってるぜステッキー!」
「何も分かってねーし!?」
進藤武は俺のことをステッキーと呼ぶ。何回訂正しても。そろそろ諦めたほうがいいんだろうか。
「なっつーん、まったね~」
「鈴木もまたな~。で、俺は夏英だっていつも言ってるだろう。いい加減その妙なアダ名はやめてくれ」
「え~、なっつんのほうが可愛くていいじゃーん」
そして鈴木由美は俺のことをなっつんと呼ぶ。お前はなんで他の男子生徒は苗字で呼ぶのに俺だけアダ名なんだよ。嫌がらせか!そうなのか!
まぁとにかく、まったく話を聞いてくれない奴らの事は放っておいてとにかく帰ってゲームだ。MMORPGは遊びじゃないんだ。
と、校門を出て横断歩道を渡ろうとした瞬間、右を向いた俺の目の前にあったのは居眠り運転のトラクターだった。
そよ風が俺の頬を撫でていく。水のせせらぎも聞こえる。俺はいつの間にか眠っていたようだ。目を開くと俺の前には森が広がっていた。
「えーっと……ココハドコデスカ?」
俺は捨木夏英で高校二年生。授業が終わったから帰宅するところで横断歩道を……ああ。
あれですか。これはいわゆるところの異文化コミュニケーション……じゃなくて異世界転生ものってやつですかね?
神様とか出てこなかったけど妙に強くなっちゃってサクサク敵倒しちゃって女の子と仲良くなってウフフフってやつですかね?
というか、転生トラックじゃなくて転生トラクターなのか。新しい……のか?
まぁここで寝ていても仕方ない。立ち上がった俺はあたりを見回すと目の前に川がある事に気がついた。
「とりあえずなんかクラクラするし、川で顔でも洗うかな」
フラフラとした足取りで川に向かい、顔を洗ってすっきりしようと川を覗き込むと水面に映るのは一本の杖だった。
「ん? なんで杖が映るんだ……?」
その杖は俺が首を傾げると斜めになり、頷くと上下に揺れた。
「おっ、おっ、おっ……」
「俺TUEEEEEEE!?」
続かない。