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丘の家

注意:前話に変更・追加した内容があります。今話はそのあとの話です。

 春の日差しは草木や人々へ差し込み、暖かな南風がそよそよと吹いている所、カフェを出てた私たち3人は南の方へ向かった。

 私たちが向かう方は、この町の中では1番標高が高い丘があり、少し裕福な人々が家を建てて暮らしている地域だ。裕福といっても、大手企業のサラリーマンだったり、中規模のレストラン経営者などの人々が暮らしているが、この町の中でも温厚な人が多いと聞いた事もある。

 

 カフェから目的地である保田 朋樹の暮らしていた一軒家は4kmほどなので、一時間も歩けば着いた。

 保田家の家は、白と水色を基調とした壁や屋根で、キューブ型のような長方形の家である。

 志信が玄関のインターホンを鳴らすと数秒ほどして、私よりは小さく、瑞穂より少し背の高めで顔や手に少しだ老いた感じの女性が玄関から出てきた。


 「あら、お久しぶりだね、3人とも」


 「お久しぶりですね、保田さん」


 朋樹の母親であるこの方は、私たちは「保田さん」と呼んでいる。

 4人でよく遊ぶようになって以来、通っていた学校やよく遊んだ公園からから近い事で、時々保田さんにもお世話になっていた。


 「3人がまた遊びに来てくれて、朋樹もうれしいだろうね。どうぞ、上がって頂戴」


 快く招き入れられ、私たちは2階にあるの朋樹の部屋へ通された。



 朋樹の部屋は、ベットは無く、黒い机の上にノートパソコンや本が置いてあった。机のすぐ隣はスポーツ用品やパズルの置き場である。机の前の壁にはコルクボードがかかっていて、高校までの写真が何枚も貼られていた。


 「なんにも無いけど、みんなで召し上がって」


 保田さんは小さお盆の上に、小さなコップに入ったオレンジジュースと小分けに入っているチョコを、ひゃの中央のテーブルに置いた。


 「ありがとう、ございます」


 瑞穂が保田さんへお礼を言うと、保田さんは1階のリビングへ降りていった。

 私はふと、朋樹の机の角に置いてある写真立てを見た。

 写真立てにある写真には、満開に咲いた桜がそよ風で舞い踊る背景に、高校の制服である白のYシャツに紺色のブレザー、水色のネクタイを締めた朋樹、志信、瑞穂、そして私が並んで笑顔で写った写真だった。

 

 「懐かしいね、高校の写真」


 私が小さな声でつぶやくと、志信と瑞穂も机の隅にある写真立ての中の写真を眺めた。

 

 「高3の修学旅行の頃の写真か。随分前の出来事だけど、ついこの間行ったように思うな」


 「この頃は、朋樹君も元気に生活していましたね……」


 朋樹は高校3年の初夏頃、重病が見つかり、真冬の頃に亡くなってしまったのだ。重病が見つかってから、短期間のうちにどんどん衰弱していき、最後の方は私達とも話せなくなってしまった。

 

 「私たちの中で1番、活発で自分の夢を追いかけていましたし、彼は」


 「でも、朋樹が病気になってから、僕たちの考えとか変わった気がするよね」


 「うん。あの時、朋樹に言われたことが今でも忘れられないな」


 




 私たち4人は小学校辺りでいつも遊んだりしていたわけではない。

 私は保育園に通っている頃、父の転勤で家族そろってこの町へ引っ越してきた。

 保育園で私と志信は同じクラスだった。志信から誘われ、遊び始めたのがきっかけ。

 小学校1年のころ、一度志信と別クラスになった。しかし、2年生にまた同じクラスとなり、そこから彼とは一緒のまま中学へ上がった。

 中学校へ上がると、近くの3校の子が集まるため、また志信とは別クラスになった。そのかわり、私と同じクラスで隣の席になる確率が高かったと朋樹と親しくなった。

 瑞穂は中学2年の頃転校してきた子で、ここで初めて、4人が揃って親しくなった。

 私たちは、高校は近場の所でいいかとなり、4人同じ高校に通っていた。


 しかし、高校3年の初夏前、ある出来事によって私達は自分の人生や皆との思い出を大切にしようと考え始めた……

 


 

 

 次回より、過去話になります。

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