研究所にて起こった惨劇
これは、一晩のうちにすべてが変わった出来事だった
彼女は床に倒れ、意識を失っているようだった。そして、そのすぐ傍らには、一人の男が静かに立っていた。
私は胸の奥から湧き上がる怒りに身を任せ、拳を握りしめた。今にもこの研究所を破壊してしまいそうなほどの衝動に駆られていた。
「おいおい、こんなにお前が弱いとはな。もっと骨のある奴だと思ってたぜ」
炎奏は冷笑を浮かべながら、琴音を見下ろしていた。
「炎奏…お前、こんなことをして師匠に知られたら、命はないぞ」
私は震える声でそう告げた。かつて同じ学び舎で、正義と理を学んだはずの彼が、なぜこんな道を選んだのか。 だが、今の彼には、そんな言葉は届かないようだった。
「…あのときの続き、やるか?」 炎奏はそう言うと、腰から短刀を抜いた。
「今までのは竹刀での遊びみたいなもんだったが、今回は本気の殺し合いってことでいいよな?」
私も黙って短刀を抜き、冷たいまなざしを炎奏に向けながら、彼に飛び込んだ。
私たちは何度も剣を交えてきた。500回以上の戦いの中で、彼に敗れたのはほんの数えるほどしかない。 だが、この戦いは違った。炎奏の動きは、かつてのそれとは別物だった。
「じゃあな、パイモン先輩」
その言葉とともに、私は地面に倒れた。 視界が揺れ、意識が遠のいていく。だが、私はそう簡単に終わるわけにはいかなかった。
──目が覚めると、そこは見たこともない世界だった。 あたり一面に、鮮やかなハイビスカスが咲き乱れている。風は穏やかで、空はどこまでも澄んでいた。
「ここは…いったい…」
私は理由もなく周囲を見渡した。誰もいない。だが、確かに花が語りかけてきたような気がした。
「起きた?」
その声は、目の前の花から聞こえたようだった。だが、人の気配はない。
突然、脳裏に別の時間軸の記憶がよぎる。 それは、今までの自分とは違う存在の記憶。別の人生、別の選択、別の死。
「ようやく目を覚まして、別の自分を認識できたようね」
謎の声がそう告げた瞬間、目の前にあった花は消えていた。
「一体、何が起きているの…?」
私は混乱しながらも、記憶を整理しようとした。すると、いくつかの事実が浮かび上がってきた。
・私は、とある少女をかばって命を落とした。
・「天生」という謎の儀式によって、何度も新しい命を吹き込まれている。
・この先、私と同一人物が現れる可能性がある。
その真実を理解した瞬間、私は足がすくみ、目の前が真っ暗になった。 世界が崩れ落ちるような感覚。自分が誰なのか、何のために生きているのか──すべてが揺らいでいた。
いいか、実験はここまでだ、この先は皆さんが知っている通り花は枯れるのと同じくすべての人間同様天寿を全うし、死んでゆくだけです。
この話もここまでにしよう、長くても研究資料が多くなり読むのが飽きてしまうかもしれない、そんなことがない用僕の助手が別の研究データを用意している、今後はそちらを読みたまえ。
まあ、君たちには理解できないかもしれないがな
謎の男の研究資料No,1
この話は終わらない
まだ折り返しにすら立っていないのだから




