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異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
74/80

第三機動部隊、反撃なるか

まずはお礼を言いたいと思います。

お気に入り登録件数が100になりました。

もの凄く嬉しいです^^

今後も頑張りますのでどうかよろしくお願いします。

         第三機動部隊、反撃なるか





一九四三年二月二十六日午前四時、

第二航空戦隊の空母「飛龍」から発艦した彩雲の搭乗員である日野少尉は、

電探を横目で見ながら必死の策敵を続けていた。

後部座席の二人も眼を皿のようにして敵艦隊を探している。

なんとしても敵艦隊を見つけなければ攻撃隊を出すことさえできない。

彼らの祈りが届いたのか、電探が敵艦隊を捕らえたのはそれから十五分後の事だった。

はやる気持ちを抑えつつ、日野少尉は高度を下げると薄暗い海に目を凝らした。

ぼんやりと海に同化していた艦隊が次第にはっきりと見えてくる。

空母特有の、のっぺりとした艦影が間違いなく機動部隊であることを示している。

日野達は歓喜の声を上げた。

ようやく敵艦隊を発見することができたのだ。

だが敵もこちらを見つけたらしく猛烈な対空砲火が日野機を襲った。

日野は急旋回でこれを避けながら、急いで無電のキーを打つ。

「我、飛龍二番機、敵艦隊発見す。空母五隻に他艦艇多数を伴う。

味方からの方位八十度、距離二百六十海里。」

キーを打ち終えたとほぼ同時に機体に衝撃が走る。

それと同時に日野少尉の意識もゆっくりと薄れていった。





日野機からの報告を受けた第二航空戦隊旗艦「飛龍」では、

第二航空戦隊司令山口多聞少将が首を捻っていた。

山口の隣にいる大野参謀長も首を傾げている。

「空母が五隻だと。確か十三隻ではなかったか…。

まあいい、ともかくは角田長官に連絡するべきだろう。通信長、頼む。」

「了解しました。」

慌ただしく艦橋を降りていく通信長を尻目に、

山口少将は気を取り直して部下達に命令した。

「航空機発艦準備。」





飛龍から報告を受けた第三機動部隊司令長官角田中将は青山参謀と眼を合わせた。

なぜかは知らないが空母の数が五隻なら、

敵艦隊の艦載機数は第三機動部隊とそう変わらないはずだ。

どうやら角田の予想は的を得ていたらしい。

「航空機発艦準備、急げ。」

角田の命令を受け、搭乗員達が慌ただしく格納庫に向かっていく。

缶室がやられ、航空機発艦ができなくなった蒼龍の分の艦載機も一部収納していたため、

大鳳、海鳳の格納庫は非常に慌ただしかった。

ようやく発艦準備が整ったがいつもより十分ほど遅くなってしまっていた。

発艦が始まったのは時計の針が午前五時を少し過ぎた頃である。

大鳳からは直掩機十二機、護衛機十五機、爆撃機十二機、雷撃機十二機の計五十一機。

海鳳からは直掩機十二機、護衛機十二機、爆撃機十五機、雷撃機十四機の計五十三機。

飛龍からは直掩機九機、護衛機十六機、爆撃機十八機、雷撃機二十四機の計六十七機。

大鷹からは直掩機九機、護衛機九機、爆撃機九機、雷撃機十一機の計三十八機。

隼鷹からは直掩機九機、護衛機十機、爆撃機十一機、雷撃機八機の計三十八機。

合計で五十一機の直掩機が第三機動部隊の上空を守り、

そして百九十六機の攻撃機がサミュエル中将の機動部隊に向かって進撃を開始した。

そしてほぼ同時刻に連絡を受けたミッドウェー島の飛行場からも、

紫電四十二機、一式陸攻五十六機が米機動部隊へと向かって行った。

烈風とほぼ同時期に開発された局地戦闘機である紫電のスペックは

最高速度六百三十三キロメートル

航続距離千二百キロ

最高上昇限度一万千メートル

兵装

二十ミリ機関砲二門

十二,七ミリ機銃二丁である。

烈風と性能が似通っているが、

自動空戦フラップが装備されているという点が大きな違いと言えるだろう。

一時は空母搭載型の検討もされていたが、航続距離の短さから中止となっている。





その頃、サミュエル中将率いる米機動部隊も発艦準備を進めていた。

ハルゼー長官が率いる戦艦部隊もこちらに急行してきてはいるが、

午前中までに到着するのは難しいとのことである。

つまり、ジャップ機動部隊との航空戦は、

サミュエルの艦隊のみで戦わなければならないということだ。

こちらの戦力は重巡が四隻に駆逐艦が十二隻。

対空砲火能力としては戦艦を二隻持っているジャップの方が上と考えていいだろう。

だが戦闘可能な空母の数はこちらが上回っている。

そのようなことを思案していたサミュエルのもとに発艦準備完了の報告が入る。

聞きなれたペラが回る音と共に次々と艦載機がまだ少し薄暗い空へと飛び立っていく。

「第二ラウンドの始まりだな。」

サミュエルはそう呟くとテーブルに置いてあったコーヒーに口を付けた。





「ハイル、ヒトラー。」

日本機動部隊と米機動部隊の戦闘が始まろうとしている中、

はるか欧州の地では独逸軍とソ連軍の争いが続いていた。

独逸軍の総指揮官はエーリッヒ・フォン・マンシュタイン元帥。

この世界ではモスクワを陥落させた独逸軍の名将として名を馳せている。

史実でも西方電撃戦の立案者であり、独逸陸軍で最も有能な元帥であった。

対するソ連軍の総指揮官はシベリアから復帰したジューコフ元帥である。

オムスクにまで後退させられていたソ連軍は、かの地に戦車六千輌、航空機四千機、

重砲一万以上と言う未曾有の物量を持って鉄壁の陣地を築いていた。

ソ連軍にとってオムスクは最期の砦であり、ここが破られればもう後が無い。

一方、独逸軍の戦力は戦車二千五百輌、航空機三千五百機、重砲三千である。

航空兵力は互角に近いが、戦車の数、重砲の数ではソ連軍に圧倒的に劣っている。

本来、陣地を攻略するには敵兵力の三倍を必要とすると言われているのだから、

オムスクを攻略するのはさすがのマンシュタイン元帥でも不可能だと考えられていた。

それでもマンシュタイン元帥は離反したミハエル中将の部隊と共にオムスクに進撃。

神出鬼没の機甲部隊を指揮し、ソ連軍に甚大な被害を与えた。

だが圧倒的物量を前にして結局オムスクの攻略には失敗し独逸軍は、

エカテリンブルグにまで撤退した。





「くそっ。」

独逸第三帝国総統アドルフ・ヒトラーはテーブルに拳を打ちつけた。

「ソ連軍とはいくらやってもきりがないな…、ヨーゼフ。」

呼びつけられたヨーゼフ・ゲッペルスは急いでヒトラーの前に出る。

一時期は権力に陰りが見え始めていたこともあったゲッペルスだが、

国家総力戦総監に任命されてからは、再び内政に絶大な権力を得ることになった。

「どうされましたか、総統。」

「あれはどうなっておる。」

そう言ってにやりと笑みを浮かべたヒトラーに寒気を覚えながらゲッペルスは答えた。

「パルチザンによって重水工場を破壊されたため、時間はかかりますが、

我が国の科学者は優秀です。必ずや開発してくれるでしょう。」

「うむ、原子爆弾と言ったな、これができればソ連に真っ先に落としてくれる。」

再び顔を真っ赤にして拳をテーブルに打ちつける。

史実ではそれほど原子爆弾に興味の無かったヒトラーだが、

この世界では原爆開発にかなりの力を注いでいる。

とはいえ、重水工場が一度破壊されているため、あまり研究は進んでいない。

「そうなればこの戦争は勝ったも同然だ。」

そう言って再びヒトラーは笑みを浮かべる。

そんな起伏の激しい独裁者を見ながらゲッペルスはハンカチで汗を拭った。







欧州の戦いはあっさりと書いてます。

次は第二次ミッドウェー海戦になると思います

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