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異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
62/80

群狼と太平洋艦隊

すごく急ぎ足になってる気がします。

もっと落ち着いて書きたいと思います。


              群狼と太平洋艦隊





一九四三年一月一四日、ハルゼー大将率いる米太平洋艦隊は、

ハワイ再占領作戦を実行すべく、戦艦四隻、空母十四隻を中心として

大西洋からホーン岬を通り、太平洋に廻航しようとしていた。

空母の周囲には多数の駆逐艦が輸形陣をつくっている。

「長官、ソナーに反応です。」

新米太平洋艦隊司令長官ハルゼー大将は顔をくしゃりと歪めて唸った。

「ジャップか、それともナチか、どっちだ。」

「スクリュー音からして、U-ボートの可能性が高いとのことです。」

「ふん、群狼か、対潜戦闘準備、空母はなんとしても守れよ。

雷跡が空母に向かうのを発見したら、駆逐艦部隊は自らその進路を塞げ。」

「了解しました。」

慌ただしくなっていく艦隊旗艦戦艦「アイオワ」の艦橋で、

ハルゼーは海面をにらみつけていた。





「海上が慌ただしくなってきました。」

計二十四隻のU-ボート部隊を率いる「スカパフローの牡牛」プリーン艦長は、

ソナー員の報告を聞くと、部下に笑いかけた。

「ヤンキーというのはあまり頭の良くない連中のようだな。

走りまわれば、雑音でソナーが利かなくなる。対潜の基本だが。」

「太平洋の日本の潜水艦は通商破壊に消極的と聞きます。

おそらく、それほど対潜に注意することがなかったのでしょう。」

「そうか、しかし日本の潜水艦部隊もここに集結すると思っていたが、来ないようだな。」

プリーンはポツリと呟く。

プリーンは知る由もなかったが、

日本は二月に三国軍事同盟を破棄することが決定している

日本としては、この時期の独逸との共同作戦は避けたかったのだ。

「まあいい、獲物は我々が頂こう、戦闘準備だ。」

周囲の展開している仲間には連絡を取る必要は無い。

いずれも大西洋で共に戦ったベテランの艦長同士であったから阿吽の呼吸で戦える。

第一、電波を出して連絡を取り合うような馬鹿な真似は、

ここにいる艦長の中にはいなかった。

米艦隊の速力はおよそ二十二ノット前後。

輸送船団を伴っていないため、かなり速い。

おそらく雷撃可能位置につけるU-ボートは数少ないだろう。

それでもU-ボートの艦長たちはその数少ないチャンスを物にできる実力を持っていた。





米護衛艦が走り回っている間にプリーン達、

九隻のU-ボートはじりじりと包囲の輪を縮めつつあった。

プリーンは大胆不敵にも護衛艦と空母の中心に入り込み潜望鏡を上げた。

かなり小型の空母である。一万トンあるかどうかも疑わしい。

「くそ、護衛空母か、はずれくじを引いたようだな。

まあ、しかしこれも獲物には違いない。」

素早く潜望鏡をしまうとプリーンは命令した。

「魚雷発射用意、準備次第撃て。」





「まだ、発見できんのか。」

ハルゼーはうんざりした顔でそう言うと言葉を続けた。

「潜水艦らしい艦影を見つけたら主砲を打ち込め。」

俯角を水平以下にはとることはできないのに無茶な注文である。

無論ハルゼーも分かってはいたが、ただ待っていることに我慢が出来なくなったのだ。

その時、護衛艦から連絡が届いた、U-ボートらしき潜望鏡を発見したというのだ。

周囲の護衛艦が一斉に連絡を受けた方へ突っ込んでいる。

ハルゼーの胸の内に不安がよぎった。

空母の護衛の陣形が崩れているのが見えたからだ。

ハルゼーが戻れという命令を出そうとした時だった。

カサブランカ級空母の一隻、「サボ・アイランド」の側面に巨大な水柱が出現した。

全長百六十メートル足らずのサボ・アイランドはずぶずぶと沈み始める。

たった一発の魚雷で沈んだことにショックを覚えながらもハルゼーは救助命令を出した。

しかし、幕僚の一人である、サモナー少将が反論の声を上げる。

「ここで艦を止めたらナチどもの思うつぼです。

救助は駆逐艦に任せ、我々は先に進むべきです。」

他の幕僚も賛成の声を上げる。

「…、わかった、なんとしても全員救助しろ。」

救助用の駆逐艦五隻を残し、ハルゼー達の艦隊はさらに速度を上げた。

カサブランカ級空母の最大戦速である二四ノットである。

流石のU-ボート部隊もこれには追いつけず、

何とか太平洋艦隊はホーン岬を切り抜けることができた。

失った艦はカサブランカ級空母二隻、駆逐艦三隻。

米軍が予想していたよりは軽微とはいえかなりの痛手だった。





それから四日後、

連合艦隊はハワイからトラック島へ帰島し、新たな作戦計画を立てていた。

とはいってもこれ以上戦線を広げるのは無謀ということで、

現在の戦線の維持ということに落ち着いたのだが。

連合艦隊の撤退したハワイに駐留させている兵力は、

航空機百二十機に陸軍の田崎少将の一個師団のみである。

ハワイを防衛するためと言うより、来るべき講和の時に備え、

ハワイは日本軍が占領しているという証拠のための部隊だった。

トラックではどの部隊も久しぶりの休憩をしていたのだが、

そこに入ってきた情報がホーン岬を新太平洋艦隊が抜けたというものだった。

諜報部の報告によると、戦艦四隻、空母一四隻を中心とする大艦隊とのことであった。

ただちに呉の司令部では機動部隊出撃の命令が下され、

休む間もろくに無く第一航空艦隊、第二航空艦隊はハワイに向けて出港した。




ちなみに、史実のカサブランカ級空母はこんなに速くないです。

確か19,5ノットだったと思います。

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