表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
6/80

護衛艦隊建造なるか

少なくて済みません

               護衛艦隊建造なるか




「私は断固拒否します。」

富岡大佐は山本大将にかみつくように言った。

「我が艦隊は敵艦隊を破るためのものです。

輸送船のお守をするためではないはずです。」

「まあまあ、落ち着きたまえ。」

永野修身軍令部総長はそういうと、山本に話しかけた。

「君の話はわかる。南方の資源を輸送する船は、日本にとって生命線になるだろう。

しかしな、軽空母を護衛艦隊に入れるのは、承知しがたいな。」

そういうと、永野は、山本が提出した護衛艦隊案をぱらぱらとめくる。

「私は、軽巡を旗艦とするこの案には賛成だ。どうかね、軽空母を

護衛艦隊に入れないなら了承してもいいと言っているのだが。」

「しかし、総長…」

何か言おうとした、富岡に永野は言った。

「君は、何を考えているのかね。君の護衛艦隊案は旧式揃いの駆逐艦、海防艦だ。

こんなものでは、輸送船の護衛は到底不可能だよ。」

それでも何か言おうとする富岡をさえぎり、山本が発言する。

「確かに、軽空母は、連合艦隊に必要不可欠なものです。

しかし、わが軍の駆逐艦の対潜戦闘は、いかんせん、良好とはいいがたいのです。

みな、水雷戦闘にばかり明け暮れていましたから。軽空母があれば、敵潜水艦、敵航空戦力にも、対抗できると私は考えています。」

「私も山本長官の意見に賛成です。」

渡辺大佐はそういうと、富岡をにらんだ、この二人は仲が悪い。

「わが軍の対潜電探は、もうすぐ、完成しますが、これは、九十七式になら、

搭載できます。軽空母の中でも旧式の、「風翔」「祥鳳」ならかまわないのでは、

ないですか。」

「ふむ、米内さんも、護衛艦隊の案は開戦前からだしていたしな、

まだ、前線の意見もきかなければならないが、よろしい。この案を可決するとしよう。」

「わかりました。」

富岡もしぶしぶ、といった表情で了承する。

軍令部から出ていく山本を永野が呼びとめた。

「山本君。」

「どうされました、永野さん。」

「南方作戦が成功するまでに、護衛艦隊は設立させるつもりだ。

しかし、連合艦隊は大丈夫かね。これが、できたら軽空母二隻、軽巡二隻

駆逐艦十隻が抜けるのだよ。」

「永野さん。」

永野の真剣な顔を見て、山本は言った。

「これからは、空母いや、航空機の時代です。戦艦が主砲を打ち合う

時代は、終わりかけているのです。ただ、私は航空機がすべてだとは

思っていません。いずれ、航空機の時代も終わりを告げるでしょう。

私も日露戦争を体験した者です。戦艦が主砲を打つ姿は、心に響きます。

ですが、それはもう過去のものなのです。」

そういうと、彼はさびしそうに笑った。大艦巨砲主義である永野は驚いた。

山本は航空機万能主義だと、思っていたからだ。

「そうか…、私は前線から身を引いた者だ。だが、わたしは、

まだ戦艦は活躍できると思っているよ。」

そういうと、永野は続けた。

「君の思う通りにやりたまえ。真珠湾奇襲か…私には考えつきもしなかったことだ。

たしかに、時代は変わりつつあるのかもしれん。君のような者が

皇国をひきいてくれるなら、なんとかなるかもしれんからな。」

「私はやれることをやるだけです。永野さんもまだまだ現役なのですから、

協力して、日本を勝利に導いていこうではありませんか。」

二人の海軍大将はそういうとはるか空を見た。抜けるような青い空だった。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ