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異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
57/80

米本土空襲作戦開始

急いで書いたので誤字脱字があるかもしれません。

一応、反芻はしてみましたが…。

          米本土空襲作戦開始





一九四二年十二月二十日、

第二機動部隊司令長官角田覚治中将は、

サン・ディエゴの沖合二百二十海里のポイントに艦隊を移動させていた。

陣容は、

空母「大鳳」「海鳳」「瑞鶴」「翔鶴」

軽空母「龍驤」「隼鷹」「飛鷹」

戦艦「比叡」「霧島」

重巡「鈴谷」「羽黒」「妙高」「熊野」

軽巡四隻、駆逐艦十六隻の計三十三隻の艦隊である。

搭載機はおよそ四百三十機。

角田としては、もう少し欲しいところだったが、ハワイ占領作戦で、

第三機動部隊の「龍鳳」が沈んだ今、運営できる航空兵力はこれが限界だった。

主力部隊の向かうサンフランシスコのための囮のようなものとはいえ、

サン・ディエゴには、貧弱とはいえ、太平洋艦隊司令部が置かれているし、

米大手航空機メーカーのコンソリデーテッド・エアクラフト社の最大工場があった。

有名な製造機種はB24と偵察機のカタリナ飛行艇辺りだろうか。

第一次攻撃隊が周辺の飛行場を爆撃した後は、

第二次攻撃隊が軍港施設及び、工場を爆撃する。

こちらの戦艦部隊は「伊勢」「日向」「金剛」「榛名」という旧式戦艦だったが、

現在、太平洋に米海軍の主力艦がいないため、妨害を受ける心配は無い。

第二機動部隊旗艦「大鳳」の甲板には多数の艦載機が整列している。

十分ほど前に敵偵察機に発見されたが、角田は十分間に合うと踏んでいた。

先頭の烈風が轟音を立てながら滑るように甲板を疾走していく。

「長官、これで、戦争は終わるのでしょうか。」

参謀の仙崎大佐がポツリと呟く。

ここまで奮戦を続けている日本軍だが、国力の差は否めない。

これ以上、戦争が続くようなら生活必需品も配給制になることになるだろう。

「武人は戦が生業だ。情けないことを言うな。

米国は太平洋艦隊の再建に漕ぎつけたと聞く。おそらくまだ終わらんだろうな。」

そう答えを返した角田だったが彼も講和を望んでいる。

日英講和のことは秘密協定ということもあり、

二月二十五日まで発表は控えられている。

そのことを知っているのは、上層部の一握りだ。

「すみません、長官。弱音を吐きました。」

「いや、いいんだ。みな講和を望んでいることは確かだからな。」

角田はそう言うと甲板から飛び立つ艦載機に向かって敬礼した。

第一次攻撃隊の陣容は、

烈風九十二機、

彗星十一型六十五機、

天山五十五機の計二百十二機である。





そのころ、偵察機の活躍で第二機動部隊を発見していた、

太平洋艦隊司令部では騒然としていた。

すでに国内では日本軍が上陸してくるという流言飛語が飛んでいる。

しかし、さすがの日本軍も上陸作戦まではしないだろうというのが軍の見解である。

ただ、国民はそうは考えない。

空襲警報の音が鳴り響くと民衆はパニックと化した。

道路という道路では車が渋滞をつくっている。

司令官であるブラッドレー中将は苦虫を噛み潰したような表情でそれを見ていた。

あそこに爆弾を落とされたら誘爆し、甚大な被害が出るはずだ。

司令部でも混乱の極みにある。

米国は建国以来他国の攻撃を受けたことが無い。

戦争が始まってから、米国民の中で、

本国まで日本という極東の小国が攻めてくると考えていた者はおそらく皆無だろう。

とりとめもなく考えていたブラッドレーは自分を呼ぶ参謀の声にようやく気付いた。

「司令官、おそらく後一五分ほどでジャップの艦載機が仕掛けてくるはずです。

各飛行基地に連絡をとりましたが、こちらの運用できる航空機は四百機ほどかと…。」

「なぜだ、以前の報告では六百機は運用できるとのことではなかったか。」

「それが、大部分のパイロットが新太平洋艦隊及び欧州戦線に取られ、

航空機があってもパイロットがいないという状況に…。」

「司令官、レーダーに機影です。」

「早いな…、数は。」

「二百機ほどです。」

「至急、航空部隊を向かわせろ。」

「了解しました。」





連絡を受けた米航空部隊隊長ウッド中佐は、

F6F二百機、P-38百二十機の計三百二十機を引き連れてサン・ディエゴ上空にいた。

数ではこちらが優勢だがウッド中佐は勝利を収めるのは絶望的だと考えていた。

熟練のパイロットはウッド中佐を含め十人ほどで、後は皆新米ばかりである。

一方、ジャップは真珠湾から戦い抜いてきた化け物がごろごろいる。

それでも、士気を上げるのが指揮官の役目というものだ。

彼は無線を取ると部下達に語りかけた。

「みんな、よく聞け。」

「おそらく、ほとんどの者が初めての実戦だろう。

今まで生き抜いてきた俺が言えることは一つだ。勇気なくして栄光は無い。

米航空部隊の底力を黄色い猿どもに見せつけてやれ。」

レシーバーからは声にならない歓声が聞こえてくる。

ウッドは機体に飾ってある家族の写真を眺めると一つ息を吸った。

前方にきらきらとした輝きが見える、ジャップの艦載機だ。

米軍にとって唯一有利といえたのは、こちらが順光で敵が逆光であるぐらいだろう。

敵航空機は凄まじい上昇力で高度を上げると一気に突っ込んできた。

米パイロットにとっては、竜巻に巻き込まれたようなものだった。

あっという間に編隊はずたずたに引き裂かれ、ばらばらに散らばった。

ウッドの周りもたちまち三機の戦闘機に囲まれた。

先ほど歓声が聞こえてきたレシーバーから聞こえるのは悲鳴だけだ。

なんとか後ろを取られまいとするウッドだったが、

三機の敵戦闘機は見事な連携を取り、たちまち一機が後方に回り込んだ。

何をしても振り切れないことを悟ったウッドは三歳の息子と妻の名を呟いた。

烈風の機関砲が彼の頭を粉々にしたころ、戦況は圧倒的に日本優勢に働いていた。

双眼鏡で上空の戦いを見ていたブラッドレー中将は震える自分の体を支え切れず、

床にヘタリと座り込んだ。

参謀たちも声一つ上げず立ち竦んでいる。

わずか十分足らずで大半の航空機を叩き落とされたのだから無理もない。

その時、慌ただしく司令部に入ってきた報告員がもたらした新しい報告に、

ブラッドレーは顔を歪めた。

「諸君、ジャップの戦艦部隊がサン・ディエゴ沿岸に現れたそうだ。」

沈黙が周囲を包む。

なにしろ、米太平洋艦隊司令部といっても、戦艦どころか、重巡すらいないのだ。

反撃する術は無い。

「司令官、避難してください。」

立ち竦んでいた参謀の一人が声を絞り出す。

無言でそれに従ったブラッドレーは司令部を後にした。


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