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異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
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ハワイ上陸開始

          ハワイ上陸開始





一九四二年十月十五日早朝、

白鯨作戦と同時に、ハワイ上陸が開始された。

上陸用輸送船から舟艇が次々とハワイに向かっていく。

敵の反撃は無い。

不思議に思いながらもハワイ沿岸三百メートルまで近づいた時、

米軍のありとあらゆる重火器が上陸用舟艇を襲った。

上陸第七部隊指揮官滝中佐は、背後の舟艇が被弾して四散するのを見た。

「突っ込め。」

滝中佐は叫んだが耳がつんとしているので、

別人が言っているように聞こえた。

砲弾が辺り一面に落下し、機銃音が鳴り響く。

日本軍の血で、白いはずの砕けた波が、イチゴ色に染まって海岸を洗う。

舟艇から降りた滝は自動小銃を構えて突進する。

岸に辿り着いた大型舟艇からは、

日本陸軍新鋭の三式中戦車が主砲を打ちながら出てくる。

三式戦車のスペックは

主砲七十五ミリ戦車砲

装甲八十二ミリ

速度四十七キロである。

主砲は砂浜に潜んでいる地雷を破壊した。

岸辺の逆茂木には鉄条網が絡みつき、進撃を拒む。

少しばかり日本軍が怯んだ時だった。

集中的に米軍の重火器が怯んだ日本軍を打ち抜く。

その時、支援の烈風を中心とする母艦機がやってきた。

米軍陣地に機銃掃射をしかけ、M4戦車には彗星が急降下爆撃を仕掛ける。

それでも米軍はまったく怯む様子がない。

生き残ったM4戦車が、

砂浜に足を取られている三式中戦車の側面に回り込み

七五ミリ主砲弾を撃ち込み、これを破壊する。

燃え盛る林からは海兵隊がトミーガンを乱射しながら、突っ込んでくる。

さすがの日本軍も戦慄するほどの勇猛さだった。

日本軍の重火器にバタバタと海兵隊員たちは倒れていくが、

それでも手榴弾を日本軍陣地に投げ込む。

日本軍はなかなか砂浜から進むことができない。

その時だった、米軍のトーチカが一瞬にして消え去る。

滝が振り向くとそこには、連合艦隊が誇る戦艦群がずらりと並んでいた。

戦艦、重巡から放たれる主砲弾は凄まじい勢いで、米陣地を壊滅させていく。

上陸部隊もようやく一面に広がるトウモロコシ畑にまで進撃する。

態勢を立て直した滝中佐の部隊は、

戦車部隊と共に眼下に広がる真珠湾に突き進んでいった。





「戦況はどうなっている。」

ハワイに残ることを決めたニミッツは部下に尋ねる。

「敵にもかなり損害を与えましたが、海岸は突破されました。

やはり、制空権、制海権の喪失は痛いようです。」

「そうか、タンクの守りは大丈夫か。」

真珠湾の陸海司令部の背後には巨大なオイルタンクが広がる、

一大コンビナートになっている。

「攻撃は免れております。おそらくジャップはオイルがほしいのでしょう。

オイルのために開戦したようなものですから。」

「もしこの燃料が敵の手に落ちれば、大変なことになる。」

「その通りです、長官。」

「いざという時には破壊せねばなるまい。」

ニミッツはそう呟いた。





滝中佐の第七部隊は真珠湾の陸海軍司令部に向かって進撃していた。

彼らの任務はオイルタンクを手に入れることだった。

しかし建物に侵入した兵たちはポカンとした様子で出てきた。

「どうした。」

「誰もいません。」

「何だと。」

滝の表情も曇る。

「隊長、あれを。」

そういって彼の肩を叩いた副官に従い振り返る。

オイルタンクに火の手が上がっている。

おそらく米軍自身の手によるものだろう。

「消火するぞ。」

「隊長、危険です。誘爆の恐れがあります。」

「いまならまだ間に合う。消火急げ。」

滝がそう叫んだ瞬間激しい火柱が天を焦がした。

次々とオイルタンクが爆発する。

滝は悔しそうに唇を噛む。

「ニミッツはどこだ。」

「おそらく、密林の陸軍基地でしょう。

米軍は徹底抗戦を挑むつもりのようです。」

無線から報告が入る。第十一部隊はタンクの確保に成功したらしい。

それに密林に米軍が集中的に陣地を築いているとの報告も受けた。

どうやら副官の予想は当たっていたようだ。

「敵ながら凄まじいですな。

太平洋艦隊を我が軍が撃滅させた今、援軍が来るのは望めないでしょうに。」

「米軍にもヤンキー魂があるということだ。

長い戦いになるかもしれん、軍港の占領の後は、第四部隊と合流するぞ。」





一方、角田中将率いる第二航空艦隊は、

第二波攻撃のための準備に取り掛かっていた。

「長官、小沢司令から連絡です。」

「何だ。」

「護衛の戦艦を陣地破壊に回してほしいとのことです。」

「分かった、戦艦だけでなく重巡も出してやれ。

敵潜の護衛は駆逐艦さえあればいい。

ところで、搭乗員の疲労は大丈夫か。」

「了解しました。搭乗員も多少疲れているようですが、

まだまだ大丈夫です。」

「そうか、ならいい。

空母直掩隊も出せ。無論、爆装にしてだ。」

「了解しました。」

第二機動部隊からは第二波攻撃隊百四十六機が発艦した。

ハワイ占領はまだまだ時間がかかりそうだった。






うーん、無理やりでしたね、角田中将は…。


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