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異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
47/80

巨砲、火を噴く

今回もまあまあ長く書けました。

          巨砲、火を噴く





第一航空艦隊旗艦「信濃」の艦橋で、

第一次攻撃隊、第二次攻撃隊の戦果報告を

聞いた者は歓声を上げた。

「やりましたね、長官。」

参謀長の千早少将も嬉しそうに声をかける。

戦果は、

敵旧型戦艦四隻大破。

航空機およそ五百機撃墜。

敵対空陣地、敵軍事基地に多大なる損害を与えた模様。

被害は、

烈風八機撃墜。

零戦五二型六機撃墜。

彗星十一型二十二機撃墜。

天山二十六機撃墜。

一式陸上攻撃機十八機撃墜だった。

烈風の能力は米戦闘機を圧倒しており、優位な状況で戦えたが、

敵対空砲火の威力はかなりのもので多くの航空機がやられた。

それでも被害は十パーセント足らずである。

敵航空戦力を撃滅させたにしては、被害は少ない方と言っていいだろう。

小沢中将も嬉しげな声を上げる。

「うむ、我が航空部隊はよくやってくれたようだな。

だが、まだ敵戦艦部隊がいるはずだ。

今からでは薄暮攻撃になるかもしれんが、

偵察機を出し、何としても見つけるよう下礼しておいてくれ。

後、連合艦隊に戦果報告を行っておいてくれ。」

「了解しました。しかし、敵戦艦は四隻と聞いております。

我が戦艦は十隻です。敵がもし攻めてくるようでしたら、

艦隊決戦で返り討ちにしてもいいと思いますが……。」

「わかっている。今から、

戦艦部隊と機動部隊に分かれて、行動する予定になっている。

夜間の戦闘になれば、戦艦部隊の出番だ。」

「そうですか、日本海軍念願の艦隊決戦が実現するかもしれないのですね。」

嬉しそうに語る千早を小沢は苦笑しながら見ていた。

小沢も航空主義とはいえ、日本海軍軍人である。

艦隊決戦は確かに念願といってよかった。

その後、二式艦上偵察機三十機を飛ばし、

午後五時ごろ、瑞鶴の偵察機が南東に戦艦部隊を発見した。

薄暮攻撃は可能だったが、

上陸支援のため航空機の戦力は残しておくことにし、

空母の護衛の、

戦艦「金剛」「榛名」、重巡四隻、駆逐艦二十二隻、

そして輸送船護衛艦以外の、

戦艦八隻、重巡八隻、軽巡四隻、駆逐艦二十隻は青い海に白線を引きながら、

時速十八ノットで南進していった。





「長官、ハワイ攻略部隊から報告です。」

新たに呉に建設された連合艦隊司令部では、

山本長官が渡辺参謀と将棋を指している最中だった。

「どうだったかね。」

「作戦は大成功です。味方の被害は軽微。

ハワイの航空戦力は壊滅しました。」

宇垣参謀長の嬉しそうな声にも山本は表情を変えない。

「そうか、ひとまずは上手くいったか。

ハワイには敵戦艦部隊がいたがどうなっている。」

「報告によりますと、偵察機を出して哨戒を行っているようです。

薄暮攻撃か、夜戦の可能性を示唆しております。」

パチリ、と山本が飛車を渡辺の陣地に突っ込ませる。

渡辺の陣地に攻め込んだ飛車は成って龍王になる。

「おそらく、時間的に夜戦だろうな。

夜戦は我が海軍の御家芸だ。電探もあるし、

よほどのことがないかぎり我が軍の勝利だろう。問題は上陸作戦だ。」

「そちらも翌朝早朝に母艦機の掩護のもと、上陸が行われます。」

「そうか、あの作戦もそろそろ決行の時間だな。」

「白鯨でありますか。」

「ああ、もし成功すれば、

米国本土を攻撃するまでもなく、米国と交渉できるかもしれん。」

そう言うと、山本は再びパチリと将棋を指す。

成っていた飛車を餌にして、渡辺の陣地を崩すことに成功した。

「ありません。」

渡辺がそう言うと同時に山本は立ち上がる。

「外務省に向かう。重光さんと約束の時間だ。」





一方、ハワイ司令部では悲惨な状況ながら、

敵上陸を防ぐための準備が行われていた。

総指揮官はヴァンデグリフト中将である。

兵力は五万、八個師団の日本軍を相手にするのはいささか分が悪い。

しかも、制空権、制海権は日本軍の手にあるといっていい。

ただ制海権はまだ戦艦部隊がいる。

戦艦

「ノースカロライナ」「ワシントン」「サウスダコタ」「インディアナ」

重巡六隻、軽巡六隻、駆逐艦十六隻の艦隊は日本艦隊に夜戦を挑むべく

北進しているとの報告が入っているのだ。

ここで日本艦隊に壊滅的な打撃を与えることができれば、

ハワイ防衛は成功するだろう。

ヴァンデグリフトは暗くなりつつある空を睨みつけた。





南進を続けている高須中将率いる、日本戦艦部隊は本隊より前方三十海里に

新鋭駆逐艦島風級を四隻、哨戒のため進出させていた。

三番艦「峯風」は二番線を担当。哨戒活動に従事していた。

「艦長、敵艦隊らしき影を電探が映し出しました。」

島風に搭載されている電探の最大策敵距離は三五キロメートルである。

「敵数はわかるか。」

「戦艦らしきものが四隻、巡洋艦らしきものが八隻、駆逐艦多数です。」

「そうか…。」

しばし考え込んでいた峯風艦長足立津田中佐は凛とした声で

部下たちに命令を下した。

「敵艦隊に一撃喰らわせてやる。魚雷戦準備。」

島風は魚雷発射管五連装を三基もっている。

だから正確に言うと一五発なのだが…。

「距離一万で発射だ。最大戦速。」

峯風はたちまち四十ノット近い速度で敵艦隊に突っ込んでいく。





「敵艦、発見しました。」

レーダー員の報告にリー中将は思わず武者震いする。

「敵の数はどれくらいだ。」

「敵数は一隻のみ。おそらく哨戒艦でしょう。」

「そうすると、敵本隊に近付いているというわけだな。」

「ええ、……哨戒艦、こちらに接近してきています。」

「何だと。」

クレージーな奴である。さすがの闘将も呆れかえった。

「凄まじい速度です。おそらく四十ノット前後です。」

「二万メートル超え次第、砲撃せよ。巡洋艦、駆逐艦は散開せよ。」

散開するのは魚雷戦をしやすくするためである。

たちまち距離を詰めた敵駆逐艦に向かって、戦艦群は主砲を発射する。

レーダー射撃とはいっても、センチ波を利用した簡単なものである。

四十ノットの速度でジグザグに走る敵には当たるものではない。

距離一万メートルで敵が魚雷を発射するのが見えた。

「敵、魚雷発射、注意せよ。」

見張り員は必死で目を凝らすが、

日本海軍が誇る九十三式酸素魚雷は航跡をほとんど出さない。

凄まじい轟音と共に、重巡「アストリア」、駆逐艦二隻が轟沈した。

敵駆逐艦はたちまち身をひるがえし逃走していく。

たった一隻の駆逐艦に重巡一隻、

駆逐艦二隻をやられたリー中将は憤怒の表情で怒鳴った。

「ジャップめ。」

しかしどんなに怒った所で状況は変わらない。

素早く艦隊を整えると、

二五ノットの最大戦速でリー中将は日本艦隊に突っ込んでいった。





峯風の報告を受けた高須中将も二五ノットの最大戦速で敵艦隊に向かっていた。

旗艦「大和」の電探が敵艦隊をとらえたのはそれから三十分後のことであった。

高須中将は水雷戦部隊を先に突撃させる。

魚雷戦で敵を攻撃しておいてから、戦艦でとどめを刺す。

それが日本海軍の伝統である。

駆逐艦、巡洋艦が日米ともに突撃しあう。

戦況は数の多い日本軍に有利に進んでいるように見えた。

「そろそろ敵戦艦が標準に入ったころではないでしょうか。」

「うむ、電探員、現在の距離は。」

「四十キロメートルです。」

「よし、標準成り次第、発射せよ。」

世界最大の主砲が敵戦艦に狙いを定める。

「標準、合いました。」

「撃っ。」

高須の命令と共に、

大和、武蔵の四十六センチ主砲が猛然と火を噴いた。




島風級駆逐艦のスペックは

排水量二千八百七十五トン

全長百二十メートル

全幅十一メートル

最大速力四十ノット

十二,七センチ連装砲三基

二五ミリ連装機銃四基

五連装魚雷発射管三基です。

一応書いておきました。

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