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異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
40/80

米国暗躍す

今回は少し短いです。


             米国暗躍す





「それは無理というものです、国務長官殿。」

スターリンはそう言うと米国務長官スチムソンの目を見た。

スチムソンは話を続ける。

「我が国は太平洋艦隊の再編を翌年の四月には完了させる見通しです。

日本の連合艦隊を十分に打ち破る戦力です。」

「だが、日本軍の侵攻に間に合いそうにない、

だから我が国の手を借りたい…、そう言うわけですな。

しかし、我が国も独逸との連戦で疲れ切っておるのです。

一方、日本軍は中国と講和し、力を蓄えている。

我が国にとって日本を攻撃するメリットがありません。」

「もし、日本との戦線を開いていただければ米国も用意があります。

貴国への更なる援助、そして満州、

ひいては韓国も貴国の手に渡ることになるでしょう。」

「韓国もですか…。」

スターリンの目が輝いたのをスチムソンは見逃さなかった。

「ええ、枢軸国を撃滅した後は、貴国と我が国が世界を二分するでしょう。」

「そうですな、満州侵攻は考えさせていただく。

今日の所はお引き取り願いたい。」

「わかりました…、しかし正直言ってあまり時間は無いのです。

できるだけ早い決断を期待しております。」

そう言ってスチムソンは去って行った。

スチムソンが去ったのを確認した、

スターリンの側近、ベリアはスターリンに問いかける。

「同志大元帥閣下、

米国は本当に満州、韓国をソ連に渡してくれるのでしょうか。」

「そんなわけあるまい。

韓国どころか満州も疑わしい、だが我が国が疲弊しており、

米国の援助が必要不可欠なのは事実だ。」

「すると、日本と戦うのですか。」

「うーむ、欧州戦線の兵力を引き抜くことはできまい。

極東戦線の兵力はどれくらいかね。」

「極東の兵力は戦車が千輌、航空機が千二百機、歩兵数は百二十万ほどです。」

「そうか、欧州戦線に兵力は集中させたからな。

ベリア君、君はこの兵力で日本に立ち向かえると思うかい。」

ベリアは無表情を崩さずしばし逡巡する。

相手はこれまで気に入らない者を殺してきた独裁者だ。

迂闊なことを喋ったら、ベリアでもどうなるかはわからない。

「そうですな、日本にはおよそ六十万の関東軍がいますが、

こちらはその二倍の兵力を持っています。

それにノモンハンでは日本の戦車と、

我が国の戦車は比べ物にならないことがわかりました。

全兵力を持って叩けば、日本軍を駆逐することは可能かと。」

「そうか、米国の言う通りにするのは癪だが…。

極東軍司令官を呼びたまえ。」

「同志大元帥閣下、すると……。」

「いや、まだ決定したわけではないが何事にも準備が必要だ。

ジューコフがいれば、司令官に据えればいいが、あいつは今シベリアだったな。」

スターリンのお気に入りだったため何とか死刑は免れたジューコフだったが、

モスクワ占領の罰でシベリアの流刑地にいる。

スターリンはそう言って笑うと電話に出た極東軍司令官と話を始める。

ベリアは冷や汗を拭いながら独裁者を見ていた。





一方、日本ではハワイ占領作戦の日付が確定しようとしていた。

一九四三年十月十四日、

史実では一九三八年、

近衛文麿内閣が国際連盟との協力関係終了を閣議決定した日である。

動員する兵力はまだ最終決定したわけではないが、

第一航空艦隊

指揮官、小沢治三郎中将

第一航空戦隊「信濃」「葛城」

第二航空戦隊「蒼龍」「飛龍」

第一戦隊「大和」「武蔵」

第六戦隊「金剛」「榛名」

重巡四隻に、駆逐艦十二隻。


第二航空艦隊

指揮官、角田覚治中将

第五航空戦隊「翔鶴」「瑞鶴」

第六航空戦隊「大鳳」「海鳳」

第三戦隊「比叡」「霧島」

重巡四隻、駆逐艦十隻。


第三航空艦隊

指揮官、大西滝治郎少将

第三航空戦隊「龍驤」「龍鳳」

第七航空戦隊「飛鷹」「隼鷹」

軽巡二隻、駆逐艦八隻。


第一艦隊

指揮官、高須四郎中将

第二戦隊「長門」「陸奥」

第四戦隊「伊勢」「日向」

重巡六隻、軽巡四隻、駆逐艦一四隻。


第二艦隊

指揮官、近藤信竹中将

重巡四隻、軽巡二隻、駆逐艦八隻。

確定ではないがこれがハワイ攻略作戦の主な部隊である。

輸送船団は護衛艦隊と第二艦隊が護衛を務め、

航空艦隊による攻撃の後、戦艦群の艦砲射撃、そして強襲上陸の手筈となっている。

連合艦隊司令部は武蔵から本土に移転された。

猛烈な反対が起きるかと思われたが、

大部分の将兵がもう艦艇に司令部を置くことの限界を感じていたため、

予想していたよりすんなり本土移転が決まった。

ハワイ占領のため、関東軍から八個師団が集結し、

最新鋭の三式中戦車もハワイで活躍する予定だ。

空母、「赤城」「加賀」は改装もしているため、まだ戦線復帰は難しいとされた。

復帰まで待とうという考えもあったが、米国に時間をやるわけにはいかないと、

航空隊の訓練、新鋭艦の訓練の終了次第、ハワイ攻略作戦を開始することとなった。

空母十二隻、戦艦十隻というミッドウェー以来の大艦隊による

ハワイ攻略作戦だが、日本海軍軍人には良い緊張感というものが流れていた。

なんといっても米海軍の本拠地を占領するのである。

生半可なことでは無理だと彼らは考えていたのであった。






ソ連……悩みますね。


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