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異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
4/80

ハルゼーの決意

第四話です。よろしくお願いします。

次はこの世界の日本の軍備とかの説明するつもりです。


               ハルゼーの決意



日本機動部隊攻撃隊隊長高橋赫一少佐は、眼下にたくさんの白い航跡を見た。

利根策敵機の報告通り、一隻の空母の周りを重巡、駆逐艦が固めている。

キラキラと前方に翼が光る。敵の上空直掩機だ。しかし、十数機にすぎない。

味方の零戦隊が突っ込んでいく。たちまちめまぐるしい格闘戦が始める。

ぱっぱと、茶色の煙の花が空中に咲き始めた。敵の対空砲火である。

高橋は大きく翼を振りトトト電送を列機に送った。「突撃せよ。」

急降下爆撃隊はすさまじい勢いでダイブした。一つの槍となって

逆落としに突っ込んでいく。

魔女の声に似たエンジンの金切り声を聞きながら、対空砲火に耐える。

「高度千…八百…。」

偵察員が刻々と高度を知らせる。

必死に回頭する空母、猛然と撃ってくる対空砲だが、

高橋は不思議と当たる気がしなかった。

「高度四百。」

「投下。」

その瞬間高橋は、爆弾投下索を引き、同時に操縦桿を思い切り引き寄せる。

気が遠くなるのを、歯を食いしばってこらえる。そのまま上昇、

振り返ると飛行甲板のど真ん中に火炎が立ち上っている。

列機も次々に爆弾を命中させる。

高橋の顔から笑みがこぼれた。




ハルゼー中将は、ものすごい衝撃うけたあと、叫んだ。

「ダメコンを出せ。大至急消火だ。次は雷撃機だぞ。」

ダメコン、ダメージ・コントロール・チーム、

日本語でいうところの応急処理部隊である。

ハルゼーは艦橋の窓にへばりついた。

上空の味方戦闘機が次々に落されていく。

赤子の手をひねるようにやられるF4Fを見て唇を噛み締めた。

ジャップの野郎いつの間にこんな戦闘機を開発しやがったんだ。

重巡群もやられている。駆逐艦も必死に対空砲火を撃っているが、

ジャップの戦闘機の機銃掃射を浴びている。

「右舷に敵機。」

振り向くと敵艦攻がこちらに向かってきている

わが軍のデバステータに比べて、素晴らしい速度だ。

「面舵いっぱい。」

マレー艦長が命令するが敵艦攻は六百メートルまで近付き、魚雷を放つ。

四発は避けたが三発命中した。

戦艦と違ってバルジのない空母には、致命的だ。

凄まじい音とともにエンタープライズは震えた。





そのころ、米軍の攻撃隊は全滅していた。攻撃機より、直掩機のほうが、

多かったのだから、どうしようもない。

鈍重なデバステータは玩具のように零戦隊に撃墜された。

「敵はこれで全部か。」

南雲長官は、呆れたようにつぶやいた、米軍とは、こんなものなのか。

これでは、話がうますぎる、何かの罠ではないのか。

南雲の胸に不安が兆し始めた。

こちらの攻撃隊から報告がされたのは、その時だった。

報告は、高橋少佐ではなく、井草少佐からもたらされた。

「敵空母、ヨークタウン級、二百五十キロ爆弾命中五発、さらに魚雷三本以上

命中。消火にも成功しておらず。ほか重巡二隻轟沈、一隻中波。」

艦橋に歓声が上がる。どの顔の興奮しきっている。

「長官、やりましたな。」

草加参謀長が言った。

「これで山本長官も喜ぶはずです。」

「いや、確実に沈めたわけではありませんぞ。」

「それを見届ける余裕はありません。あとは、潜水艦にまかせ、

引き上げるべきです。」

南雲は背中がむずむずした。ここに長居しすぎたような気がする。

山本長官への土産は十分だろう。

「よろしい。帰途に就くぞ、ご苦労だった。」




「パールに持っていくことは無理か。」

ハルゼーは幕僚たちの顔を見まわした。みな、疲れきっている。

「この傾斜では、無理です。舵も利きませんし。」

敵潜の心配もしなければいけない、今ハルゼーは苦渋の決断をした。

「くそっ、どうにもならんな。…よろしい。見捨てるほかないだろう。

だが、敵潜にはやらん。自分で片を付ける。各員、総員退去。

駆逐艦の魚雷で葬ってやってくれ。」

「わかりました。」

ハルゼーは重巡に向かうカッターの中でつぶやいた。

今に見ているがいいジャップめ、この借りはきっと返す、数倍にして返してやるぞ。

沈みゆくエンタープライズを見ながら、彼は心に誓った。


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