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異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
36/80

ミッドウェー海戦(九)

これでミッドウェー海戦は終わりです。

ご意見ご感想お待ちしています。

            ミッドウェー海戦(九)





一航戦ら被害艦を後方に移動させた日本機動部隊は

江草の報告を聞き第二次攻撃を決意した。

敵空母二隻は沈めたようだが、あと一隻残っている。

この一隻を戦闘不能にさせたら米海軍には運用可能な正規空母は一隻も無くなる。

空母がいなくなれば作戦の幅が大きく広がるのだ。

百八機の第二次攻撃隊が発艦し飛び去って行く。

第一次攻撃隊は第三機動部隊のおかげで大半を収納できた。

第一次攻撃隊の被害は戦闘隊四機、攻撃隊二十二機だった。

直掩機の被害は十二機であり、軽微と言ってよかった。





大鳳第一分隊隊長工藤大尉は発艦作業を急いでいた。

「隊長、嬉しそうですね。」

列機の山下少尉が話しかけてきた。

「そう見えるか。」

「はい、何かいいことありましたか。」

工藤は苦笑いをしながら言った。

「ああ、俺の部隊は幸い被害が無かったからな。」

「そうですね、それが一番の戦果かもしれません。」

山下はそう言うと整備の終わった愛機に飛び乗った。

「隊長、知っていますか。さっきので、

俺たちの部隊、撃墜機四十機超えたそうですよ。」

「そうなのか、知らなかったな。」

「今、機動部隊の中でトップですよ。」

「そうか…。」

発艦準備よしの旗が振られたのを見て工藤は口をつぐむ。

四十二機の零戦は再び艦隊を守るべく空へ飛びたった。





一方、ミッドウェー島では上陸作戦が開始されていた。

水際で押しとどめようとした、

米軍だったが凄まじい勢いで突進してくる日本軍についに押し崩れた。

重砲は火を吹くたびに重巡に狙い撃ちされた。

ウェーク島で島嶼戦について学んでいた日本軍は、

わずか三日でミッドウェー島を占領したのだ。





その頃、米機動部隊は後方にいた戦艦部隊と共にハワイに後退していた。

日本軍の第二次攻撃でサラトガは大破、重巡二隻が轟沈。駆逐艦三隻が撃沈した。

戦艦部隊による夜戦を提案したリー少将だったが敵新鋭戦艦の報告を聞き、

撤退が決まった。

一方、米機動部隊の第二次攻撃部隊は撤退していた一航戦には気づかず、

機動部隊に襲いかかったが、

直掩機、戦艦部隊の活躍もあり、蒼龍に至近弾が出ただけだった。

南雲長官の戦死報告は連合艦隊に衝撃を与えた。

連合国との戦争を楽観視していた日本海軍軍人は帰投してきた機動部隊にも衝撃を受けた。

最強の名を誇っていた一航戦の無残な姿は、

皮肉なことに日本に蔓延していた油断を取り去ったのだ。

南雲長官の葬儀は厳粛に行われ、第一航空艦隊司令長官には小沢治三郎中将が着任した。

彼は航空戦の権威であり、最適の人事と言えた。

航空機の被害は幸い軽微だったため貴重な熟練搭乗員を失わずに済んでいた。

このことを考えると、

ミッドウェー海戦は圧勝とはいえないまでも、十分な勝利だっただろう。





米本土に帰還した米機動部隊の報告を聞きルーズベルト大統領は目頭を押さえた。

日本機動部隊の空母二隻を撃沈したのは素晴らしい戦果だがこちらに残された空母は

軽空母が二隻、ただそれだけである。

「キング君、日本海軍のハワイ侵攻の可能性はどれくらいかね。」

唐突に話しかけられたキングは冷や汗を拭いながら言った。

「日本海軍の二隻の空母を沈めたいま、珊瑚海の空母を合わせても

日本にあるのは六隻の正規空母とおそらく同数の軽空母です。

輸送船護衛や航空機輸送などで使えない軽空母を考えれば、航空機数は

およそ五百機…、多くても六百機でしょう。ハワイには今七百五十機の航空機があります。

おそらく侵攻はしてこないのではないでしょうか。」

「だが、ジャップはミッドウェーを占領し飛行場を修復中と聞く、

ミッドウェーからハワイの距離は約千キロだ。陸攻なら届く距離だぞ。」

「ですが、航空機だけで勝敗が決まるわけではありません。

ハワイには五万の陸軍、八隻の戦艦があります。ハワイ占領は日本軍には不可能です。」

「はたしてそうでしょうか。」

キング、大統領の会話に入ってきたのは海軍参謀トマス少将だった。

「日本が満州に張り付けている関東軍は、

独逸のソ連への猛攻により手が余っている状況です。

戦艦もミッドウェーで報告を受けたはずです。あの六万トンを超えると言うモンスターを。」

短気なキング作戦部長はトマスに向かって言った。

「六万トンの化け物だろうが所詮ブリキの戦艦だ。我が米戦艦の敵ではない。」

その言葉にトマスは呆れたように言った。

「そのブリキの艦隊に我が艦隊は一度も勝利を収めたことが無いのですよ。

日本の戦艦がブリキなら我が戦艦は粘土のようなものです。」

皮肉たっぷりに言うトマスにキングが怒鳴りつけようとしたとき、大統領がそれを止めた。

「トマス君だったな、上官を侮辱するのはやめたまえ。君は日本海軍の動きをどう考える。」

「はい、大統領。すみませんキング作戦部長、ついカッとなってしまいました。

私は、日本海軍はハワイを占領するつもりではないかと考えています。」

反論しようとしたキングを大統領が目で押さえる。

「日本は五大国に入った今も貧乏根性が抜けていません。

奇襲は寡兵で大軍に勝つもっとも効果的な作戦ですから。

日本海軍の正規空母は六隻だということでしたが、

私はまだ隠し玉があるのではないかと…。」

「まだ正規空母をもっていると言うのか。」

「はい、日本は中国との講和により莫大な戦費が浮きました。

私はそれを計算したのですがどうしても矛盾している点が出てきました。

それがあのモンスターかと思っていたのですがどうやら違うようです。

もし正規空母がまだあるとすれば、ハワイ侵攻は可能ではと私は考えました。」

「そうか、対策はどう考える。」

「軽空母による、航空機輸送くらいしか私には思いつきませんが…。」

それを聞いた大統領は深いため息をつく。

「わかった、会議はこれで終わりだ。下がりたまえ。」

一人になったルーズベルトはお気に入りの切手を取り出し、

心を落ち着けようとした。

「やはり日本と開戦したのは間違いだったかもしれないな…。」

彼はそう呟くと机に飾ってある地球儀を見た。

そこにはこの巨大な米国を苦しめているとは想像もできないような

小さい島国が映っていた。





波に揺られていたカイム少佐は気付いたらベッドの中にいた

困惑しながら立とうとすると、声が聞こえた。

「心配するな、ここは潜水艦の中だ。波に揺られているのを見張が発見した。

運が良かったな、所属は言えるか。」

「ああ、ミッドウェー戦闘機隊隊長カイム・ディスケス。階級は少佐。

戦況はどうなった。」

「聞くとこによると、敵空母二隻は沈めたが、こちらも同程度の損害だそうだ。

ミッドウェー島は占領されたよ。」

「そうか…。」

「まだ寝ておくといい。俺は艦長のミューラだ。階級は少佐。

次起きたらなにか食うといい。」

「ありがとう。」

カイムはそう言うと目を閉じた。

カイムの脳裏にはあのジークが映っている

カイムの復讐はまだ終わってはいなかった。




ミッドウェー海戦どうだったでしょうか?

トマス少将は正直あんなに上官侮辱したらまずいと思いますが…。

次はしばらく外交とか軍備の話が続くと思います。

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