表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
34/80

ミッドウェー海戦(七)

ミッドウェー海戦は九で終わります。

ご意見、ご感想お待ちしています。

          ミッドウェー海戦(七)





結城少佐は突っ込んでくる新型戦闘機を見て、機体を左旋回させた。

横目に味方艦爆、艦攻が爆弾を落としているのが見える。

敵は自分に突っ込んでくる機体以外見当たらない。

彼は無線で部下に話した。

「こいつは俺がやる。手は出すな。」

性能がいいとは言えない無線だが言いたいことは伝わったのだろう、

部下の了解の返答が聞こえた。

彼は無線を切るとふわりと機体を浮かせ、突っ込んでくる敵機を避ける。

敵は機体を急上昇させると旋回し急降下してきた。

「馬鹿のひとつ覚えか。」

彼はラダーペダルを軽く踏み込み機体を横滑りさせる。

敵の機銃掃射を避け敵機の周りを旋回する。

上空で旋回しタイミングを見計らい奇襲で敵機を落すのが

結城少佐の一番得意とする戦い方だ。

絶妙なタイミングで機体を急降下させた彼は敵機に二十ミリ機関砲を発射する。

命中すると思ったその時、敵機は機首を上げ失速した。

敵機が来ると予測したところに、

機関砲が轟音を上げたどり着くがそこに敵機はいない。

ぞくりとする悪寒を感じた結城は機体を急旋回させる。

ちょうど今いた所を機銃弾が通り過ぎていく。

どうやら敵機は想像以上の腕前らしい。

普通の人なら冷や汗を流すところだが、結城少佐は薄い笑みを浮かべた。

やっと本気で戦える敵と出会えたのだ。

彼は軽く息を吸うと同高度にいる敵機を撃破すべくスロットルを押し上げた。





カイム少佐は自分の突撃をふわりと機体を浮かせ避けた敵機を冷静な気持ちで見ていた。

より冷静な側に有利に働くという航空戦の鉄則が真実なら、

このときのカイムは圧倒的に優勢だった。

いつものように機体を急上昇させ敵機に急降下、銃撃を浴びせる。

敵機は横滑りでそれを軽く避ける。どうやら敵機はこちらを上回る腕前らしい。

有利な上空に躍り出たジークは旋回し、素晴らしいタイミングで急降下、銃弾を放つ。

普段のカイムならそこで落されていただろう。

だがその時のカイムは最高に冴えていた。

機首を上に向け機体を失速させ敵の銃撃を避ける。

急降下している敵に銃弾を放つが敵は機体を急旋回して逃れた。

同高度で旋回しているジークを尻目にカイムは周りを見渡す。

味方の機体はどこにもいない、対空砲火も敵の攻撃隊によって沈黙している。

もう自分一人だけだ。

彼はどこかぼんやりした頭でそれだけ考えると同行度のジークに躍りかかった。





結城少佐の部下である、二神中尉は結城とカイムの航空戦を眺めていた。

基地を完全に破壊し、敵航空機も殲滅した今、二神だけでなく他の零戦も

航空戦を眺めているのだろう。

どちらも凄まじい腕前を持っており、

その舞うような航空戦は永遠に続くかのように思われた。

しかし、ついに結城少佐の機銃が敵新型を捕えた。

敵は煙を吐きながら落ちていく。

すると結城少佐の無線が届いた。

「遅くなってすまん、帰投するぞ。」

「了解です。」

二神はそう言うと機体を母艦方面に向けた。

「最高の空戦だったぞ。」

結城少佐はそう言うと落ちていく敵新型機に向かって敬礼した。





結城少佐に撃墜されたカイム少佐は機体を急降下させ消火させようとしていた。

火の手は勢いを増している。もう限界だろう。

そう判断した彼は機体から脱出し、パラシュートを開く。

彼の目はずっと結城の零戦を見つめていた。

「仇は討てなかったよ、ジョン。」

そう呟いた彼の目から涙が零れた。

ずっと押し留めていた感情が溢れ出た彼は嗚咽を漏らした。

しばらくして海面に着水した彼は目を閉じた。

意識の薄れていくなか、彼はただ波に体を任せていた。





一方、日本機動部隊は来襲する米攻撃隊に必死の反撃に移っていた。

ロス少佐の言葉に従った部隊がほとんどだったが、

やはり頑強な輸形陣を作っている所より、

突出している部隊の方が狙いやすいと思った部隊もいたらしく、

前方の陣形にも航空機が群がっている。

米軍の多くが期待していたF6Fだが、

機動部隊最強の空母直掩隊の零戦には、ばたばたと撃ち落とされていく。

だが、米攻撃隊の攻撃に移るまでの時間はなんとか稼いだ。

攻撃隊隊長ロス少佐は、

旗艦赤城に向かって十二機のドーントレスと共に突っ込んだ。

多くの攻撃隊が突っ込んではいるが敵空母艦長の腕は素晴らしく、

まだ命中弾は出ていない。

ロス少佐は歯を食いしばりながら爆弾を投下した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ