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異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
31/80

ミッドウェー海戦(四)

よろしくお願いします。

             ミッドウェー海戦(四)





「敵機、視認。攻撃に移れ。」

凄まじい音と共に対空砲火が敵機に撃ち込まれていく。

上空には零戦と敵戦闘機が猛烈な格闘戦を行っている。

大西少将は双眼鏡で敵新型機を見ていた。

司令官たるものどっしりと構えていなければいけないのだが、

空の王と呼ばれる零戦を上回る米戦闘機を見ておきたかったのだ。

その戦闘機はスマートな零戦と違いずんぐりとした形をしているが、

速さは零戦を超えている。大西少将が見ている間にも二機の零戦が喰われた。

大西少将は双眼鏡から目を離すと周りを見渡した。

上空には空の要塞B-17が爆弾を雨のように投下しているが、

腕のいい空母艦長にことごとく避けられている。

旗艦「瑞鶴」の右舷に接近した敵雷撃機四機が魚雷を投下する。

米軍にしてはかなり肉薄した攻撃で、機銃を受け二機の雷撃機が砕け散る。

左回頭を始めた瑞鶴はきわどい所で魚雷を回避する。

「敵の腕はあまりよろしくないな。」

大西少将は冷静に戦況を見定めながら先任参謀に言った。

「魚雷の無駄だ。」

せっかく味方戦闘機部隊が零戦を押さえてくれているのに、

雷撃機はあまりにもお粗末だった。

爆撃機の最後の攻撃を避けた後、気の抜けたような空気が辺りに漂った。

「これで終わりか。」

命中弾どころか至近弾すらない。

だがとりあえず自分の任務は果たした。

「我が部隊は後退し、主体の支援に当たる。

それまで搭乗員は休息を取れ、整備員は航空機の点検を頼む。」

正直、第二次攻撃隊を出したかったがそれは二航戦の仕事である。

大西少将は艦隊を北西に向けると戦域から急いで離脱していった。





一方スプルーアンス少将達は「ホ―ネット」の艦橋でじりじりしていた。

ミッドウェーが攻撃を受けているという報告が入った後、

部隊は最大戦速で敵の方角に向かっているが、まだ戦端をひらくには至ってない。

ミッドウェーの報告によると敵の空母は三隻、おそらく本隊ではないだろう。

偵察機を周囲に出し哨戒しているが日本機動部隊本隊はまだ発見できていない。

しかし、そこに最高の知らせが飛び込んできた。

ただ、同時に不吉な情報も含まれていた。

「敵艦隊見ゆ。空母六隻、戦艦六隻、重巡八隻、駆逐艦多数、

ミッドウェーからの距離二百五十マイル。針路百七十五度、速力二十五ノット。

戦艦の内二隻は六万トンを超えるかと思われる。」

どっと沸いた艦橋だったがスプルーアンスは呟いた。

「戦艦部隊もいるのか…、しかし六万トンとはどういうことだ。」

「ジャップが新型戦艦を建造している情報は入手していましたが、

六万トンとは化け物ですな。」

現米国海軍最大のサウスダコタ級戦艦さえ四万五千トンである。

米海軍はそれほどの巨艦を見たことは無かった。

「しかし、戦艦はもはや航空戦には無用の長物です。

心配する必要はないと思われますが。」

そう言う副官にスプルーアンスは曖昧に頷くと

飛行長に命じた。

「目標変更、本隊を叩くぞ。」





そのころ第一機動部隊の二航戦はミッドウェーを叩くべく、

航空機を発艦させようとしている所だった。

「航空機発艦準備完了しました。」

「うむ。」

山口少将は頷くと発艦命令を下した。

三分の二ほどが発艦したころだろうか、

第一機動部隊旗艦赤城に偵察機の報告が入った。

「我敵艦隊見ゆ。空母三隻、重巡四隻、駆逐艦多数

方位二百十度、距離二百三十マイル、速力二十八ノット。」

「長官、敵機動部隊ですぞ。」

参謀長が言うと、

「うむ、現在発艦中の二航戦はどうするべきかな。」

南雲の問いに参謀長が答えた。

「まだ発艦していない機は兵装転換させるのがよいのではないでしょうか。

二航戦の戦力は敵艦隊を叩くのに必要です。」

「しかし、兵装転換中に攻撃を受けたらひとたまりもないぞ。」

「幸い敵はまだ我々を発見していません。電探には敵偵察機は映っておりません。

今なら可能でしょう、長官、決断を。」

このとき草加参謀長は最大の失策をしたと言えよう。

このころの電探は一機の機影だと映さないこともあった。

対水上電探は射撃のため精密なものだったが、

対空電探は精密さより距離を優先して作られたからだ。

「うむ、二航戦に連絡。発艦中止し兵装転換せよ。」

その命令に驚いたのは二航戦だった。

「南雲さんは気でも狂ったのか。」

憤慨する山口は怒鳴った。

敵勢力地での兵装転換など馬鹿げている、だが命令には逆らえない。

「発艦中止、兵装転換。」

整備員は慌ただしく動いている。

山口は正面の空を見た、昼間にしては薄暗く不安になる空だった。




第三機動部隊司令官吉良少将は、

ダッチハーバーの西南百五十海里まで近づいていた。

零戦を周囲に放ち、

ニミッツがアリューシャン防衛のために配備していた

カタリナ偵察機二十機の内六機を撃墜していた。

この作戦自体が囮であり、正直与えられた兵力は少ない。

空母も「龍驤」「龍鳳」の二隻で搭載機は七十機そこそこしか無い。

気象条件も悪いため航空機運営は非常に難しい。

「時間は。」

「黎明十分前です。」

「黎明なりしだい、発進させよ。」

そう言うと吉良少将は山口少将と同じように、

薄らぎ始めた霧の上にある空を見ていた。






総合評価が100超えました。

すごくうれしいです。

まだまだですがこれからも頑張っていきますのでよろしくお願いします。

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