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異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
30/80

ミッドウェー海戦(三)

やっと三話です。

次は空母防衛を書いたら、

アリューシャンの方を書くと思います。


             ミッドウェー開戦(三)





「ここまで近づけたのは奇跡だな。」

第二機動部隊司令官大西少将はそう言うと副官に命じた。

「航空機発艦開始、ミッドウェーを攻撃する。」

ミッドウェー西南二百十海里にまで

偵察機に見つからなかったのはまさしく奇跡だろう。

六月二十四日早朝、第二機動部隊の空母「瑞鶴」「飛鷹」「隼鷹」から、

零戦五十二型十二機、零戦二十二型十五機

九十九式艦爆五十二機、

天山艦攻十八機、九十七式艦攻二十四機の計百二十一機が発艦した。

指揮官は「飛鷹」の艦爆隊長下川少佐である。

ちなみに一航戦、二航戦は、艦爆は最新鋭の彗星艦爆を乗せている。

珊瑚海海戦に参加していた

五航戦、六航戦は訓練が間に合わないと判断され、

軽空母はまだ、カタパルトが装備されてないため、

天山艦攻も搭載されていない。

第二攻撃隊は第一機動部隊の二航戦がする予定だ。

第二機動部隊はミッドウェー攻撃後、後方に移り部隊の支援をする手筈になっている。

上空には二十八機の零戦が上げられている。

しかし、大西少将は不安な気持ちで上空を見上げていた。

昨日の連絡で敵機動部隊が来ているのは承知しているが、

その所在は明らかではない。

横腹を突かれれば軽空母はひとたまりもないだろう。

それに大西は搭乗員の錬度にも不安があった。

三航戦はもちろん五航戦も余り腕が良いとは言えない。

六航戦は角田の統率の腕もあってか、珊瑚海開戦後の訓練では、

一航戦、二航戦に劣らない優秀な腕を見せた。

戦闘機部隊によってはおそらく機動部隊一の腕前だ。

開戦以来、実戦が一番多い航空戦隊は六航戦なのも関係しているのだろう。

五航戦も実戦で鍛えられていたが珊瑚海海戦で搭乗員をかなり失ったため、

予備の搭乗員が今は乗っている。

錬度に不安があるのも仕方なかった。

「どうなるかな。」

大西は副官に尋ねた。

「必ずやってくれると思います。」

そう答える副官に大西は曖昧に頷いた。





その頃ミッドウェー守備隊はできる限りの防衛準備を施していた。

七時二十分、偵察機のカタリナ飛行艇が敵攻撃隊を発見した。

航空隊指揮官ラムゼイ中佐は戦闘機部隊に迎撃を命じた。

カイム少佐率いる戦闘機部隊は六機のF6F、二十一機のF4F、計二十七機である。

そして、ミッドウェーの雷撃機、爆撃機は空中退避に移る。

迂回して敵攻撃隊をやり過ごした後、

敵機動部隊を偵察機が発見次第攻撃に移るようラムゼイ中佐は命じている。





攻撃部隊を最初に発見したのはカイム少佐だった。

彼は列機に合図すると高度を利して一気に上空から襲いかかった。

本来、爆撃機を攻撃するのが米戦闘機部隊の役割だったが、

カイムにはジークしか見えていなかった。

彼は怨嗟の声を上げながら先頭のジークに機銃を浴びせる。

直撃を受けたジークは煙を上げながら落ちていく。

「ははっ。」

彼は笑い声を上げながら、次に撃墜する機を探していた。





上空から攻撃された日本戦闘機隊隊長高村少佐はいつもの米戦闘機に

見慣れない戦闘機が混じっているのが見えた。

「新型か。」

彼はそう言うと愛機のスロットルを上げ、敵新型機の後方に着く。

しかし、敵機は予想を超えるスピードで追いつくことができない。

彼は舌打ちすると、敵機への攻撃を止め周囲を見渡す。

F4Fには優位に戦えているが、新型機にはみな苦戦しているようだ。

その時、上空から新型機が急降下してくるのが見え機体を旋回させた。

きわどい所で逃れた高村は機体を急降下させる。

機関砲を撃つがぎりぎりで避けられた。

これ以上は機体が持たないと判断し、機首を上げたところを敵機は上昇し

突っ込んでくる。高村は機体を左に旋回させるが少しタイミングが遅れた。

機銃が当たる音がし、機体から煙が立ち上る。

オイルが流れ出ているのが見え、帰艦は不可能と悟った高村は

ミッドウェーの対空砲群に向かって突っ込んでいく。

しかし、対空砲火の直撃を浴び四散していった。

それでも、零戦隊は奮闘し、撃墜されたのと同等数の敵機を撃墜し、

攻撃隊の護衛の任務はきちんと果たした。

爆撃隊はミッドウェーの大部分を爆撃し、その基地能力を減少させた。





米戦闘機部隊隊長カイム少佐はミッドウェーの被害を見て悪態をついた。

三機のジークと二機の爆撃機を撃墜したが、やはりジャップの航空隊は強い。

なんとか飛行場は守ったようだが、他の被害は中々のものだ。

それに最後のジークは恐ろしく強かった。

急降下しながらの一撃を逃れたジークの攻撃は、

あと少しで命中するところだった。

避けられたのは僥倖といってもよかっただろう。

F6Fも二機が撃墜されあと四機しかない。

F4Fはもっぱら二組で戦わせたため被害は七機と予想していたより少なかった。

敵の被害はこちらの報告では戦闘機十機に攻撃機二十六機だ。

対空砲火にやられたのも多かったから十分な戦果とは言えない。

彼は手早く愛機に補給をしてもらうと空に飛び立った。

偵察部隊がようやく敵空母を発見したらしい。

空母三隻という陣容だからおそらく本命ではないのだろうが、

それども虎の子の空母だ。

彼は護衛する味方の攻撃部隊を見ながら敵空母を撃沈させることを考えた。

それこそが珊瑚海の屈辱を返すことになると思いながら…。





一方、日本攻撃隊指揮官下川少佐は打電した。

「第二次攻撃の要あり。」

そう打電したのは、

滑走路の破壊は不十分だし、敵の高角砲陣地もまだ有力だったからだ。

帰投した下川少佐の報告に大西少将は思わず天を仰いだ。

攻撃隊の被害は痛いし、戦闘機隊隊長高村少佐の死も痛い。

それより、敵新型戦闘機出現の件が衝撃を与えた。

「零戦と比べ、どうなのだ。」

その質問に答えたのは「隼鷹」戦闘機隊の菊川大尉だった。

「圧倒的に優位というわけではありませんでしたが、

零戦より急降下能力や防弾に優れていました。

一機撃墜するのに私は二十ミリを全弾消費してしまいましたから…。」

「そうか…、敵に所在が知られた今無線防止は意味がないだろう。

通信長、敵新型戦闘機のことを他の部隊に知らせてくれたまえ。」

「はっ。」

大西少将はさらに言った。

「もうすぐ、敵攻撃隊がやってくるだろう。陣形を取り対空準備にかかれ。」

慌ただしく動き始めた瑞鶴の甲板上からエレベータで攻撃隊が格納庫に搭載されていく。

敵攻撃隊がやってくる前に甲板は何も無い状態にしなければならないからだ。

瑞鶴の前方には戦艦「金剛」「榛名」が空母を守るように動いている。

その主砲には対空用の三式弾が詰められているが、

この三式弾は正直なところ派手さはあるが実用性はあまりないと言っていい。

対地攻撃には大きな効果があることが史実で証明されてはいるが、

対空攻撃という点では疑問が残るだろう。

瑞鶴の電探には約百機の航空機が映っている。

大西は覚悟を決めると前方の空を睨んだ。


正直、ここまで偵察機に見つからないのは

ありえないかもしれませんが…

あと、三式弾って効果あったんでしょうか?

性能からいって余り効果ないような気がしますが…。

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