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異説大東亜戦争  作者: たこ焼き
一章
28/80

ミッドウェー海戦(一)

ようやくミッドウェーですね、

感想いただけるとうれしいです。

             ミッドウェー海戦(一)





「第一戦隊、出港します。」

見張の声が聞こえ、

赤城の艦橋にいた南雲中将はゆうゆうと泊地を出ていく巨艦の姿を見守った。

大和は開戦以来ずっとここ柱島に停泊していた。

AL作戦部隊は六月十八日…つまり昨日、陸奥湾泊地から出撃し、

北に向かっているはずである。

近藤中将の攻略部隊と、大西少将率いる第二機動部隊は明日出港。

サイパンからの上陸部隊と合流しミッドウェーを目指す予定だった。

大和はゆっくりと泊地を出ていく。

排水量七万トンを超え、未曾有の四十六センチ主砲を持つこの艦は

世界最強の戦艦である。

この世界では簡単ではあるがセンチ波によるレーダー射撃を装備し、

速力は三十ノットという高速戦艦でもある。

第一艦隊は機動部隊と共に行動することになっている。

もっとも、長門、陸奥などは機動部隊の速力についてこれないため、

五十海里ほど後方からだが…。

それでも、大和が最大戦速で突進すれば一時間ほどの距離である。

機動部隊にとってこれ以上頼もしい後詰めは無かった。

南雲は艦長青木大佐を見返った。

「出港せよ。」

青木大佐は航会長に命じた。

「出港用意、錨上げ。」

赤城の信号マストにするすると信号機が上がる。

艦隊、予定通りに出港せよとの信号である。

出港用意のラッパの音がスピーカを通じて全艦に鳴り渡る。

赤城は出港を前にして身震いし始めた。

二千五百海里の長い旅路が待っていた。





赤城は豊後水道にかかった。

淵田中佐は飛行指揮所の椅子に座って、艦隊を眺めていた。

先頭を走る駆逐艦の後ろには戦艦「比叡」「霧島」が、

並行になって二つの航跡を創っている。

赤城の前には装甲空母である「大鳳」「海鳳」がいる。

珊瑚海海戦でその防御力を見せつけた艦だ。

現日本海軍の空母でもっとも防御に優れた艦だろう。

それを率いているのは猛将角田少将だ。彼が率いる空母としては最適だろう。

赤城、加賀の後方にはもうひとりの猛将山口少将が率いる「飛龍」「蒼龍」がいる。

その後ろには重巡が控えており、さらに後ろには第一艦隊がいるはずだった。

まことに壮観な光景である。

だが淵田中佐の気持は今一つ晴れなかった。どうも気分が良くない。

腹の右下あたりがきりきりと痛むのだ。

暴飲暴食をした覚えはないが、疲れが出たのかもしれない。

彼が痛みに顔をしかめていると、駆逐艦部隊が散開していく。

対潜哨戒任務に着いたのだ。

「よう、フチ、気分でも悪いのか。」

声をかけたのは源田だった。

「おう、どうも腹具合がな。」

源田は椅子に座って隣に腰を降ろしたが、その顔もあまり冴えていない。

「じつはな、山本長官も腹痛を訴えていたのだが、回虫とわかって処置された。

出港前で良かったよ。」

「俺も回虫かもしれんな、虫下しでも飲むか。」

「おお、そうしてみろ。」

「それより、貴様の顔色も良くないな。」

「ああ、どうも頭がふらふらする。風邪かもしれん。」

「おいおい、そろってご不例かいな。」

淵田は笑いだした。

「俺たちも、もう歳やな、体で奉公できる歳ではないんや。

頭を使えということやな。」

「馬鹿言え、飛行隊長の貴様が何を言う。」

源田は苦笑いしながら言った。

「敵をしっかり食ってもらわんと困るぞ。」

淵田は笑っていたが、自分の病状を過小評価していたと言えよう。

だがそれは今の時点では分からなかった。





主隊と第一機動部隊は、本土を離れると太平洋を南東に進み、二十日、

補給部隊と合同、それから針路を東南東に取った。

大和を始めとする大型艦は積載燃料も大きいため、補給は一度で済む。

だが、駆逐艦はすぐに燃料が切れるためまめに補給しなければならなかった。

しかし、水雷戦隊なしには艦隊行動は成立しない。

駆逐艦は作戦行動に無くてはならないものなのである。

この日の夕方、第一機動部隊旗艦赤城ではある問題に悩まされていた。

それは航空参謀の源田中佐、飛行隊長の淵田中佐がそろって倒れたことである。

源田中佐は二、三日まえから風邪をこじらせていたようだが、夕方四十度の高熱を出し

倒れてしまった。軍医の診立てでは肺炎だという。

淵田が倒れたことも痛い、淵田は盲腸炎らしい。

薬で何とかしてくれと本人は言ったそうだが軍医は切ることに決めた。

切らねば腹膜炎を起こし、命にかかわるというのだから致し方なかった。

かわりはいるとはいえ、ハワイの立役者が二人とも急病になるのは不吉だった。

それにこの霧も機動部隊司令長官南雲中将は気に入らなかった。

電探を装備しているとはいえ、目の前すら見えないような乳白色の霧のため、

偵察機を上げられないことも痛い。

それに情報が入りにくい。赤城の受信能力は低いため、宇垣参謀長には、

武蔵に届いた情報を受信したときは送ってくれと頼んでいたが、

曖昧な反応しか得られなかった。

無線防止が奇襲には必要なことは分かってはいるが、

そのために禅作戦を失敗する愚は犯してはならないと南雲は考えていた。

「参謀長。」

「はい、長官。」

「源田と淵田はどうだ。」

「はっ、さきほど見舞いに行きましたが予後は順調のようです。

源田は気にして申し訳ないと謝るばかりですので、

ゆっくり養生しろと言っておきました。」

「うん、二人の開けた穴はなんとかなる、

だが敵情は分からんと困る。偵察機は出せないのか。」

「この霧では難しいかと…。」

そう返事をする草加参謀長に南雲は偵察を断念するしかなかった。






ミッドウェーは珊瑚海より続くと思います。

まだ、わかりませんがよろしくお願いします。

あとアクセス数が40000超えました。

読んでくれている皆様、ありがとうございます。

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