珊瑚海海戦(二)
まずは、本当にすみません。
遅くなってしまいました。
しかも長く書くと言いながら書いてない。
(中)は予想外です。
これで珊瑚海は終わる予定だったのですが、
あんまり遅いので出しました。
珊瑚海は三話になってしまうのですが
次は頑張りますのでよろしくおねがいします。
珊瑚海海戦(二)
五月二日の午後、ツラギに上陸し、水上基地設営を行っていた日本軍は
米軍の艦載機の攻撃を受けていた。
米艦載機の戦力は
デバステーター十二機
ドーントレス二十八機
F4Fワイルドキャット十機である。
奇襲に成功した彼らは基地を完全に破壊し、駆逐艦一隻を中破させた。
攻撃隊の被害は無かった。
フレッチャー少将はただちに第二次攻撃隊
デバステーター十一機
ドーントレス二十九機
F4Fワイルドキャット十機を出し、
こんどはツラギから脱出しようとした日本の特設掃海艇二隻を撃沈させた。
続いて、駆逐艦への攻撃に移ったが米軍の腕が未熟だったため、魚雷も爆弾も
一発も当たらず、対空砲火により、雷撃機二機が撃墜された。
フレッチャーは帰投してきた、攻撃隊隊長の報告を聞き、
いささかがっくりした。
搭乗員の告げる戦果はかなり水増しされるものだが、
それを割引かなくても貧弱すぎる。
合計百機にもなる、航空機を繰り出し、魚雷二十二本、
千ポンド爆弾七十六個も消費したのに、魚雷命中無し、爆弾命中三発とは…。
これはニミッツ長官に報告するのは不味いと思ったが、報告しないわけにはいかない。
第十七機動部隊からの戦果報告を受けたニミッツはやはり、激怒した。
紳士と呼ばれるニミッツにしては驚くほどだった。
彼は全軍に、戦技訓練と向上につとめるよう厳命したのだった。
MO機動部隊司令官角田覚治少将は、ツラギ奇襲の報告をブーゲンビル沖で
海上給油を行っているときに受けた。
「敵は陸上機か。」
電信を持ってきた通信長はかぶりをふった。
「いいえ。艦載機だとの報告です。」
「やはり、機動部隊は出てきたようだな。」
角田は武者震いした。
空母同士の戦闘はハワイ沖で体験したが、
あれは戦闘とは呼べないようなものだった。
空母一隻、しかも航空機輸送により、半分ほどしか積んでいなかった敵に対して、
こちらは、空母八隻であり、敵攻撃隊は我が直掩隊に全滅させられた。
しかし、まだ敵の陣容は分からないとはいえ、敵も少なくとも二隻は空母を
持ってきているだろう。本格的な航空戦になるに違いないと角田は思っていた。
空母戦闘は機先を制する者が勝つ。
そう考えていた角田は索敵を重要視していた。
「戦闘機の応援は出せるかな。」
「無理だと思います。ツラギまで三百五十海里はありますから。」
先任参謀が答えた。
「なら、こちらから行こう。駆逐艦二隻の他は、給油は終わっているな。
原少将にも連絡してくれ。」
「わかりました。」
日本機動部隊はただちに敵機動部隊を求めてソロモン諸島の東を南下し始めた。
十六機の偵察機を出したがこの日は敵を発見できず、
さらに南下した日本軍はソロモン海へ進出した。
空母「大鳳」甲板上で、
「工藤、お前一航に行くのか。」と
戦闘機隊隊長、神埼新少佐が尋ねたのを、
第一分隊隊長、工藤修平大尉は困惑気味に答えた。
「いえ、行く気はありませんが…。誰に聞いたんですそんなこと。」
「山下だよ、お前の隊の二番機の。」
「呼びましたか。」
工藤の隊の二番機の搭乗員である、山下少尉がこちらにやってくるのを見て
工藤は聞いた。
「山下、お前はなんで俺が一航に行くなんて隊長に言ったんだ。」
「だって、噂になっていますよ。工藤隊長の腕前で六航にいるのはおかしいって。」
「確かにそうだな。」
神埼がそう答えると、工藤は、
「別に俺は大した腕じゃありませんし、一航に行くわけにはいきませんよ。
こんな部下を他の奴に任せたら、そいつに恨まれますからね。」
「そういってやるな、山下もなかなかの腕前だぞ。まあ俺には劣るがな。」
隣にいる山下をそっちのけにして神埼は笑って言った。
五月四日の朝、珊瑚海海戦の始まる二日ほどまえのことである。
同じく五月四日の朝ポートモレスビー攻略部隊はラバウルを出発した。
ツラギが敵に叩かれたことは承知していたが、
むしろ敵機動部隊がいち早く出てきてくれたことは好都合ではないか。
そう思うほど、連戦連勝の味方機動部隊の強さに信頼を置いていたのである。
井上中将もここでポートモレスビー攻略を中止することは考えていない。
そんなことをすれば、ウェーク島の失態に続いて、また負けたのかとそしられる
羽目になりかねない。
ポートモレスビー攻略部隊は、六日にはソロモン海でMO主隊と合流する手筈になっていた。
MO機動部隊は六日の早朝、ガダルカナルの西百十海里のポイントにいた。
この日の朝、ツラギから九十七式大艇八機が発進し、珊瑚海の索敵任務に就いている。
このうちの一機が八時二十分、早々と敵機と接触したのである。
大艇が報告してきた敵の位置はツラギの南南東百九十二度、距離四百二十海里。
「敵らしき空母一隻、戦艦一隻、重巡一隻、駆逐艦五隻見ゆ。針路百九十度、
速力二十ノット。」
「付近天候晴れ、視界五十キロ、雲量五、八時三十五分。」
ぴたりと敵艦隊の後ろに張り付いた大艇は次々に打電してきた。
落ち着き払った見事な偵察ぶりであった。
「敵は我が真南にありとのことだな。艦攻を出せ。全艦、針路南を取れ。」
角田の気迫に押されるように、偵察機として更に九十七式艦攻十二機が
空母から発艦した。敵機動部隊への距離は三百海里。
すぐに攻撃を仕掛けるには遠すぎる距離であったが、
角田は参謀長に搭乗員を集めるよう下令した。
しばらくして、集まってきた搭乗員に発艦命令を出した。
「敵の位置は我が飛行隊の行動範囲外であるが、本艦隊は全速力で飛行隊を迎えに行く。」
この言葉は史実の南太平洋海戦で角田が述べた言葉である。
搭乗員は角田の言葉を信じ、発艦準備を始めた。
零戦五十二型四十八機
九十九式艦爆七十二機
天山艦攻六十機の計百八十機であり、
直掩隊として零戦五十二型を三十二機上げている。
「発艦準備にかかれ。」
一方フレッチャーの第十七機動部隊はポートモレスビー攻略部隊を発見していた。
空母一隻という報告に疑問を感じてはいたが、彼は機動部隊を発見したと信じていた。
彼は見敵必戦型の提督であり、見つけた敵を見逃すような真似はしなかった。
だが、提督というものは時には一歩退いて状況判断する冷静さも必要である。
ともかく司令官の命令に従い攻撃隊が甲板から発艦していった。
その陣容は
F4F一八機
ドーントレス四六機
デバステーター三六機の計百機に
直掩隊としてF4Fを二十八機上げていた。
第十七機動部隊に見つかった空母は「瑞鳳」であり、
小型空母とはいえ攻略部隊の虎の子であった。
搭載機は三十機であり、敵機動部隊の攻撃を受ければひとたまりもないだろう。
初めてアクセス解析見たのですが、
20000越えてました。
駄文ですが、見てくれている皆さん
ありがとうございます