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追手再び

とある施設の一室にて。

(注)極秘資料 謎の少女

如何にも仕事ができそうな女性が、何十冊もある極秘資料の内の一つに目を通していた。

そこには暁について、分かっていることが書かれている。

名前、年齢、出身地など、少女についての情報はすべて不明。

身長は155cmほどで細身の少女。

赤髪で、年齢は16歳ほどと思われる。

人間離れの身体能力と未知の能力を持っている。

科学技術の産物なのか、それともいわゆる魔法なのか、判別できず。

他にも仲間と思われる者が、各地で見つかったが、情報は集められず。

・・・・・・・

この先はほとんど曖昧なことしか書かれていない。

「部長。手がかりを見つけました。」

目を通していた極秘資料を机に放り投げ、声をかけた相手の報告を聞いた。

「手がかりとは。」

「こちらのレンタカーで、射殺された学生の身分証が使われました。

 現在、対象の車を捜索中になりますが、おおよその行き先は予測できました。」

「よろしい、連中を使え。」

「奴らですが、あれから連絡がつきません。」

「・・・。一杯食わされたみたいだ。これ以降、外部への協力は禁止とする。

 すぐに十名集めろ。捕獲に行くぞ。」

部下と思われる男は、急いで同行者を集めに部屋を出て行った。

高そうな煙草に火をつけ、一服し、女性は天を仰ぎ見る。

それはもう気だるそうに。

「・・・。今日で、何連勤目かな。」


一般道から暁の案内で、特に雑談することなく、二人は目的地を目指していた。

しばらく車を走らせた後、白夜から質問をした。

「暁は何か趣味はあるのか?」

「特にないですよ。そんな余裕はあまりないので。」

「仮に余裕はあったら?」

「趣味じゃないですけど、学校に通って友達と遊びに出かけてみたいです。

 すれ違う女子高生たちがいつも羨ましくって。」

別種の人類であっても、自分たちと変わらないと思ったし、

女の子らしい願望で、少し愛らしいと白夜は思った。

「叶うといいね。その願い。」

「・・・。そ、ですね。」

「そういえば君たちは、どう暮らしているんだ?」

暁は少し考えた後、答えてくれた。

「今追ってきている人たちに襲われないように、地球から去ろうかと話が出ています。

 でもそのための資源が揃っていないので、今も留まっています。」

悲しそうに説明してくれた。

生まれた惑星から去ろうとしているのだ。

当然、暁だけでなく、ほかの人たちもそう思っているだろう。

「過激派もいるんです。元々最初に地球を支配していた人類は我々なのだから、

 後から生まれた人類が地球を去るもしくは滅びるべきだと。」

「かなり過激だな。共存を考えてほしいところだけど、そうはいかなそうだもんな。」

「はい。・・・。あっ、ここを右に曲がったら、しばらく真っ直ぐです。」

曲がった後、しばらく走らせるとあることに気づいた。

他に車が走っていない。

「この時間に他に車が走っていないことなんてあるかな。こんなに広い道路なのに。」

「確かにおかしいですね。嫌な予感がします。警戒しましょう。」

予定していたルートから外れ、無作為に車を走らせ、ほかの車も走っている道路へ出た。

それでも二人は警戒を続け、目的地方面に車を走らせた。

バンッ。

突然車の制御が利かなくなり、バランスを崩してガードレールに衝突した。

意識が朦朧とする中、白夜は音が鳴ったほうへ目を向けると、

そこにはスパイクストリップが配置されていた。

「白夜さん、大丈夫ですか?早く逃げましょう。」

「あぁ。」

暁に手を借りて車の外に出て、逃げようとしたが、

黒ずくめの集団に囲まれていた。

「神風 白夜さんですね。私は天音アマネと言います。単刀直入に言いますが、

 その少女と一緒にご同行願います。」

状況的に付いていかざるを得ないのに、わざわざ口頭で願い出る。

なんとも回りくどい女だと思った。

「断る。警察が来るまでこのまま時間を稼がせてもらう。」

「あいつら如きが、我々を同行できるわけないではないか。」

天音と名乗る女は不敵な笑みを浮かべ、白夜は悟った、

彼女らは政府の組織で、警察の権力はそれに及ばないと。

「それにしても迂闊だったわね。死んだはずのあなたの身分証を使ったら、

 生きていることや居場所は分かってしまうのに。」

身分証を使うことで、彼女たちの組織に伝わる可能性なんて、考えもしていなかった。

暁のほうに目を向けるが、なぜか焦っている様子がないのに気づく。

小声で暁に声をかけた。

「暁、何か考えでもあるのか?」

「仲間が近くにいるのを感じます。助けようと動いていそうです。」

「わかった。どうすればいい。」

「おい、何をぼそぼそとしゃべっている。」

後ろから黒ずくめが白夜の腕をつかみ、暁から引き剝がされた。

「痛いっ、腕が折れる!」

「お前、手荒な真似はよせ。そんな命令は下していない。」

天音が黒ずくめに命令するが、手を緩めなかった。

ドンっ!

何かが上空から落ちてきて、大きな音が鳴ったと思ったら、急に掴まれていた腕が軽くなった。

見ると黒ずくめの腕が綺麗に両断されていた。

血が噴き出し、黒ずくめは痛みで叫びながら、地面にのたうち回った。

「021、助けに参りました。敵を排除するまでお待ちを。」

突如現れた長身の女、そして、その声、聞き覚えがある。

白夜を刺した女だった。

「お、おまえ!」

「事情は後で話します。そちらに血路を開きますので、今は逃げてください。」

そういうと黒ずくめ共を切り裂き、逃げ道ができた。

「白夜さん。行きましょう。彼女については後で必ず説明します。なのでいまは、、、」

「・・・。分かった。行こう。」

二人は長身の女が作った逃げ道から逃げることができた。

「総員撤退。」

状況不利を感じた天音は、部下たちに撤退指示を出すが、

長身の女は追撃をしたため、最終的に天音以外は全員バラバラにされた。

「キャーーー!」

近くにいた目撃者は惨状を見て、逃げ回る。

そんな彼らを見て、長身の女は高らかに笑い、一言叫んだ。

「人類よ、皆滅び去れ!」

そのあと、逃げた白夜と暁の後を追った。

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