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勇者ロードレース大会開催決定

「アデーレ王国、次期女王、イレーネ王女の配偶者が優勝ロードレース大会で選ばれる」

このニュースはあっという間に国の内外に広まった。


王宮内にさっそく「ロードレース大会実行委員会」が設立され、

募集要項が国中のあちこちにはり出された。


「勇者、募集。

姫のご主人様はキミだ」

国王軍宮廷部隊一番のイケメンがモデルとして起用され、笑顔で指をさしているポスターを作製した。

ポスター公開と同時に、イレーネ王女の側近がクレームを付けた。


「なんですか、この募集要項は。勇者ならだれでもいいってことですか?」

イレーネ王女の側近たちで組織された、

「王女結婚プロジェクト委員会」の面々は怒り心頭で、抗議にやってきた。

事前に何の相談もないとは何事だ。


「これでは全勇者が対象になるではないですか。

60歳過ぎのじいさんとか、おさな子とかでも応募可能ですよね。

万一、王女の婿殿にそぐわない勇者が大会に優勝でもしたらどうするおつもりですか」


そのあたり、大会実行委員会はあまり考慮せず、募集要項を作ってしまっていた。


「いわれてみれば、それもそうですね。

年齢は姫と同じ16歳から、25歳まで、もちろん未婚で結婚歴もなし、

許嫁も恋人もいない、という条件を付けましょう」


と、あわてて募集要項を改定し、初版ポスターを回収し差し替えた。


改めて、国中に配布されたのは、


「アデーレ王国、次期女王、イレーネ王女の夫募集。

応募資格は

勇者一族の16歳から25歳までの男子

結婚歴のない未婚で、恋人、許嫁のいない者、家の跡取りではない者(これは応相談)」


初版のポスターに起用された宮廷部隊のイケメン、ロジーには妻子がいたため

改訂版では、別の者がモデルとして登場した。


新モデルのアランはロジー程イケメンではなかったため、親近感が湧くと言った意見がある一方で、ロジーのポスターは幻の逸品ということで、かなりの高値でフリマサイトで取引をされるようになった。


大会出場への公募が始まると、国中からぞくぞくと応募書類が届いた。

ロードレース大会には条件を満たしていれば、全員が出場可能だ。


応募書類に偽りがないか、王直属の魔法使いが審査をする。

残念ながら、嘘つき応募者も一定数いた。

一番多かったのは、年齢のごまかし。

どう見ても40代だろうという輩が24歳として応募していた。


そして、勇者一族ではない者。

魔法使いは書き込まれた筆跡からその血筋を辿ることができた。


応募者の選定は魔法使いに任せ、ロードレース大会実行委員会の面々は、

ロードレース大会で使用するコースの確認を行っていた。


王都、アンデールを出発して郊外を周遊してまた王都に戻る、

それが勇者の道だった。


今まで何度か行われたことのあるロードレース大会。

いつもそのコースが使われた。


応募締め切りまで1週間を切った頃、

一通の応募書類が届いた。


書類を調べる魔法使い。

書かれた筆跡に魔力をあてて精査する。


「これは、あの坊やか」

とうなずく魔法使い。


この応募者は「ハンス・シャーロン」

という国境にほど近い小さな村の青年だった。

あの、王宮の開放日に中庭の片隅でバルコニーを見ていたあの親子の息子だ。


王宮内はロードレース大会に向けてにわかに慌ただしくなっていた。

そんな様子を、王一家の居住エリアの一室から見つめていたのは、

王女、イレーネだった。


バラ色の頬に大きく輝く瞳、ブロンドの髪を綺麗にカールして、

長いスカートを優雅につまんで歩く。


いつも微笑みを絶やさない、世界中の人々から愛される王女、

のはずの、イレーネ王女


「ったく、うざ」

彼女はそう呟いた。


バラ色の頬と大きな瞳、そして苦虫をかみ殺したような仏頂面の王女がそこにいた。

王女様、どんな性格?

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