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平和かと思いました!

「異世界かと思いました!」

をどうか最後まで見てくれると嬉しいです。


 キーンコーンカーンコーン。


 7時限目が終わったチャイムが鳴った。うちの高校は田舎の所にあり、周りはほぼ森である。机の上を片付けて帰りの準備をしていると廊下から力強い声が聞こえた。


「この時期は一分一秒が肝心なんだぞ!急いで着替えろ!」


 そっか、今日部活あったのか。うちの高校はサッカーの強豪校だ。


俺はサッカー部のゴールキーパーをしているのだけど、やっぱり2年生になっても憧れの3年生の先輩には技術じゃかなわなく、結局ベンチにいた。


誰よりも背が高く、ひょろっとした体にはしっかりとした筋肉がついていて、生まれつき素晴らしい体格の持ち主で小学生時代から自分の体格に自信があった。


自分じゃ先輩には届かないと確信した時、「天才は努力に勝てないんだな」と今までにない挫折を喰らった。マイナスな事を言ったり、考えたりしていると気づかずに自分の大っ嫌いなタイプの否定的な人間になっていた。憧れがいつの日か自分を苦しませるものになってたんだ。


 そんな日々を送っている俺、辻堂ナユキの人生が崩れたのは今年初めて雪が降った寒い日だった。


 「またやっちまった」サッカー部の基礎練をやっていた時、俺の蹴ったロングボールがグラウンドのネットを超えて森の方へ行ってしまった。雪でとても滑りやすくなっていたようだ。


慌てて走ってボールを取りに行こうとした時、部室の扉の前に最近1年の入ってきた女子マネージャーが立っていた。


目があってしまったので、急いで目を晒そうとしたら、多分こっちに誰かが向かってくる音がする。その音が俺の真後ろで止まった。


肩をトントンと叩かれ、後ろを振り向くとさっき目のあったマネージャーが立っていた。


「ボールさ、森の方に行っちゃったでしょ、私も一緒に取りに行ってあげるわ。その代わりにちょっとついてきてほしいところがあるの」


なんだコイツ。まだ一度も話したこともないし、会ったのも2、3回目ぐらいだ。馴れ馴れしい様に喋っている。女子経験がない俺は理性がしっかりあるうちにスタスタとグラウンドを出ることにした。


 きったねぇ道だなぁ。ここら辺一帯は誰も手をつけてないようだ。確かにここら辺には不自然なほど家も店も無い。何か奇妙だ。そういえば俺のジジイが昔ここの近くに住んでて俺が小さい頃、奇妙な噂がなんたらかんたらって行って遠くに行かないようによく注意されてたな。


そう言えば、ついてきたマネージャーの女はというと…背後に手を組んでいる。気まずくしているのだろうか、それとも緊張しているのだろうか。


ん?緊張してた場合…もしかして俺に気が合ったりして?


「ここにあったよ」

マネージャーの女が言った


変な妄想しすぎてここにきた理由を忘れる所だった。今日は色々と変な気がする。


「よし、あんま遠くに行ってなくてよかったな。戻るか」


「ちょっと待って」


マネージャーの女が背中をゴソゴソしている。

ピカっと女の背中から少し顔を出しているものが光った。


その時だった。

女が持っていたナイフが俺の胸を突き刺した。


持っていたのはナイフだったようだ。


体から血が出る感覚、騙された憎しみが湧き上がってくる。


クソ女は人を殺したってのに表情ひとつ変えなかった。いや、少し寂しそうな顔をしているのか、しばらく俺の方を見ている。


俺は走馬灯を見た。


「俺ってやり残したことあったっけ? 自分自身に絶望してずっと自分が嫌いだったなぁ」


悔しい記憶だけが走馬灯として出てくる。


俺の視界がどんどんぼやけてく。


「異世界に行ったり、転生とかしねぇかなぁ。

でも本当は、もうちょっとサッカーしてても良かったなぁ。悔しいなぁ。」


俺は涙を出さないようにと強い表情をしながら息を絶った。


ただ母に抱かれているようなあたたかい感触だけが残った。


目の前が真っ暗になっているがその時間が長い。


「あれ?俺まだ生きてる?」

確かに生きている感覚がある。


精一杯目を開ける。


「ここは…見たことない場所だな…」

一見、楽園のように見えるが意外と普通の暮らしをしている人達ばかり。都会とは違う平和な暮らしだ。


俺はびっくりしたので勢いよく立った。

「俺異世界に転生しちゃったのかもしれねぇ!!」


嬉しさに浸っている俺に美人な女がこちらに向かってきた。


俺の目の前に立ち嬉しそうに美人なおんなが言った。


「あなたは転生されし勇者様ですね!お会い出来てとても光栄です」


多分女の勘違いだと思うがお会い出来て光栄だと言ってくれたのは悪くない気分だった。


「あれ?異世界じゃないの?俺転生しただけ?」


「この世は1つしかありません。あなたはきっと境界線を超えてしまったのでしょう」


何言ってるのかさっぱりな俺に女は嬉しそうに俺に会話を続ける。


「あなたは奴らの裏の情報を握ってるこの国唯一のお方なのです!」


「俺多分違いますよ。俺はなぜかたまたまここに来ただけで…」


「いいえ、あなたは確かに裏の情報を知った勇者です。その証拠にその体。ニンゲンと全く同じじゃないですか。」


自分が人間って事は勿論知っていた。ただ確かによく見ると周りの人達を見ると、エルフだったり、ツノの生えた奴がいたり人間らしい奴はいなかった。


なんで俺だけ人間なんだろう。人間ってそんなにレアキャラなのか?


と言うか、俺って勇者だからこれから戦ったりするの?普通の人間じゃん。絶対ツノとか生えてる奴の方が強そうじゃん。絶望を感じてる暇もなく俺はここら辺で1番デカい城に連れられていた。






最後まで見て下さりありがとうございます。

連載できるよう精一杯頑張って行きますので応援よろしくお願いします。

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