精霊の扉 第4部第1話
>Naomi
精霊の国を出て数秒後。私達は自分達の家にいた。
「着いた……の?」
「そうみたいね。さすがルビス。場所もピッタリね」
「でもなんか、ルビスがいないだけで寂しい感じがするね」
「そんな事ないでしょ」
そう言って姉さんは私のオーブを手にとる。
「ルビスはここにいるわ」
姉さん……
「そうだね。いつでも一緒にいるんだね」
「力は直美に渡ってしまったけど、ルビスは私の守護精霊でもあるのよ」
「そうだね」
「この宝珠は私達二人の物なんだから」
私と姉さんは、鷹野さんから預かった荷物を彼女の家に届けることにした。
「そういえば、姉さんはあの家に入ったことがあるんだっけ?」
「2回だけね。凄く大きいわよ」
「へぇ~」
呼び鈴を押すと、中からメイド服の女性が出てくる。
「どちら様ですか?」
「こんにちは、樋口です」
「すみませんが玲子様は外出中です。お引取り下さい」
「聞いて、桐花さん。彼女から荷物を預かっているの」
「……本当ですか?」
「ええ」
明らかに声色が変わる。
「……どうぞお入りください」
そのまま彼女の父親の部屋に通される。
「これは……玲子の制服じゃないか。なぜ君達が」
そこまで言って、父親は言葉を失う。
鷹野さんの制服を広げて、血痕が目に入ってしまったらしい。
涙を浮かべる桐花さん。やっぱり誤解してる……
「彼女からの伝言を預かっています。『家には戻れない』と」
「今玲子はどこにいるんだ。教えてくれ。連れ戻さなくてはならん」
「残念ですが、お教えできません」
「大事な一人娘だ。放って置く訳には行くまい」
「彼女の意思はどうなるんですか?」
「君に何が分かる!」
少し父親が興奮してきた。今にも姉さんに飛び掛りそう。
「分かりませんよ。他人の心なんて。だからこそ解り合うことが必要なんです」
「まあいい。君達が隠していても捜索願は出してあるんだ。すぐに見つかるだろう」
「見つかりませんよ。絶対に」
そういい残して姉さんは背を向ける。
あわてて私は後を追い駆ける。
「待ちなさい、どういう事だ!」
「彼女は……鷹野玲子は……この世界には、もう居ませんから」
それだけ告げて、私達はそのまま屋敷を後にした。
「姉さん、ホントにあんな事言って良かったのかなぁ」
「ちょっと気の毒なことしたかもね。でも一応ホントの事だし」
「あの言い方は、絶対死んだと思ったよね」
「多分ね。でも、家に帰りたくない気持ち、判らなくもないわ。お客である私達にさえ、あんな態度なんだもの」
それは同感だ。なんというか、威圧的な感じがした。
「鷹野さん、相当な精神的苦痛を受けてたみたいだから」
「精神的苦痛?」
「彼女、親から過剰なプレッシャーを受けてたらしいの。詳しいことは知らないんだけど」
「そうなんだ……で、これからどうしようか……」
「そうね……とりあえず、魔力を上げること、かしら」
続く
あとがき
「初めまして。今回からあとがきを担当することになりました、ユキといいます」
「あの……あなた、誰?」
「ええと、水口直美さんですね。はじめまして。ユキです。よろしくね」
「よ、よろしく、って、だから誰?」
「そのうち判りますよ。今は秘密なんですけど」
「って言う事は、この後出てくるの?」
「出てこなければ、ここにいる意味がありませんよ」
「それはそうだね。あの、良かったらプロフィールとか教えてくれるかな?」
「それは……まだ教えられないんです。ごめんね」
「ま、ムリに聞かなくてもいいか。でも、どっかで見たことあるような顔なんだよなぁ」
どき。
「え、ええと、そうかな?」
「まあ、いいけど。でもさ、登場人物多すぎだと思わない?」
「まあ、これだけの長編になると、仕方ないんじゃ……」
「完結するのかな、この話?」
「そういえば、まだ予定の半分も行ってないってmさんが言ってた」
「まだまだ先だなぁ……」
「でもヒロインの水口さんは毎回出れるじゃないですか」
「まあね。でも、最近、またネタに困ってるらしいよ」
「作者に頼めば、何か書いてくれるんじゃない?」
「そうかなぁ……でもあの人気まぐれだから」
「確かにそうだよね」
「あ、そうそう、第4部の見所を作者のmから預かってるんだった」
「え、見せて見せて」
「まだ私も中身は見てないんだけど。どれどれ?」
ガサガサ<封筒を開ける
『今回のテーマは、ズバリ“戦い”。全体的にシリアスになる予定。
今まで、章の最後の方にしかそういうシーンが無かったから、少し増やすつもりだよ。
そろそろ強い魔族というのを見せないと、彼らの立場無いし。
さ~て、今回は、誰を殺そうかなぁ……』
「……」
「ゆ、ユキさん、私達狙われてるよ」
「水口さんだけじゃないの?」(クス)
「ええ~ッ?!」
「だって、私まだ出てきてないし」
「ああっ、しまったぁ!!」
「作者の陰謀が判った所で、今回はそろそろお時間となりました」
「ええっ、フォローも何もなし?!」
「お相手はユキでした。それじゃ水口さん、頑張ってね」
「シャレになってないよ、それ! 死ぬって、誰が? 教えてよm! そこに居るんでしょ?!」
(教えなーい)