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第3部第10話

>Naomi

「よぅし、全員揃っているようだな」

集合場所の門の前。カルスは、開口一番こう言った。

「一体何の用よ、カルス」

「そうよ。突然呼び出して」

「今日はお前らの武器を選んでやる」

どうだ、とばかりに胸を張る。

いきなり何を言い出すかと思えば、意味がわからない。


「武器? そんなの必要ないわよ。軍隊でもあるまいし」

「何を言うか。最近は魔獣や盗賊なんかも出るし、持っていて損は無いだろう」

言いたい事はわからないでもないけど、あんなの相手に接近戦に持ち込む勇気は無い。

「でも、重くて使いこなせないわよ、武器なんて。今まで持ったことも無いんだから」

姉さんもカルスに文句を言う。

「それに、私達、所持金あんまりないわよ?」

今まで持っていたお金は、ここに来るまでに半分以上使ってしまっていた。

正直出費は抑えておきたい。

「なあに、金くらい出してやるから心配するな。非力な奴でも使えるのだってあるからな」

「それって、私達というか、鷹野さんの為じゃないの?」

とたんに表情が変わる。まあ、図星だろうね。

「まあまあ、いいじゃないですか」

鷹野さんが私達の間に割って入る。

そりゃ、あんたはいいよ。幸せそうでさ。

そういや、和也と最近会ってないけど……元気かな……



ほんの数分で小さな道具屋に着いた。裏通りにあるこじんまりとした店だ。

お城の近くにあるにもかかわらず、客の姿はまばら。あまり流行ってないのかな?


所狭しといろんな商品が並んでいるけど、武器防具屋というより、雑貨屋みたいな感じ。

どちらかというと、生活用品や、野草ハーブのようなものが8割方を占めている。


店主らしき人は、気の優しそうな感じの30歳くらいに見える男性だった。

だけど、これで何百歳なんだろうな……。精霊の年齢って見た目どおりじゃないし。


「よし、じゃあまず姉の方から行くか」

そう言って姉さんに渡したのは綺麗な彫刻が施されたショートソード。

「確かに、軽くて使いやすいけど。ちょっと短くない?」

「お前はどっちかというと、魔法使うだろ」

「な、なんで判るの? 見てもいないのに」

「体格と筋肉の付き方で大体分かるんだよ」

「なっ……どこ見てんのよ、変態!!」

「へんたい~」

どうやら、私が城にいる間にカルスに部屋を覗かれたらしい。

「最低ね、あんた」

「うるせぇ! あれは不可抗力だ!! 俺は悪くねぇ!!」

「説得力ないよ」

「次は妹の方だな。ほれ」

私に手渡されたのは、少し長めの剣だった。

「へぇ~、結構持ちやすいじゃない」

「お前は腕っ節が少し強いみたいだったからこのぐらいが丁度いいと思うが」

「うん、振りやすいし。気に入ったよ」

「こら、店ん中で振るな。外で振れ」

怒られた。

「何だ、お前らは持ってるのか。じゃあ、必要ないな」

カルスはシイルとユミちゃんの腰に下がっている剣をまじまじと見つめた。

「お前ら、結構いい奴持ってるじゃないか」

「まあね。どうでもいいけど、口の効き方がなってないわよ。あなたより年上なんだから」

「シイル、いいじゃない別に。そんな事気にしなくても」

ユミちゃんは、口ではそういっているけど、表情は相手にするだけ疲れる、という感じ。

「良くないですよ、マスター。上下関係は大事だってマスターも言ってたじゃないですか」

「年上の人は敬いなさいとは言ったけどさ」

「お前、竜族ドラゴンだったな。自分の事は言わない方がいい。嫌いな奴は沢山いるからな」

「そんな事、貴方に言われなくても分かってるわ。あまり舐めないで」

精霊や竜って、見た目若くても本当の年はどのくらいだかわからない。

気になったので聞いてみることにする。

「カルスの年っていくつなの? 見た目20位だけど」

「132だ。人間のお前らと一緒にするな」

さすが精霊。桁が違う。

「その年じゃ、マスター達と変わらないじゃない」

「え? そうなのシイル?」

「ええ。人間でいうと大体16才ぐらいでしょうか」

「なあんだ、じゃあ私達と同い年じゃない」

「全く、エラそーに」

「う、うるさい。いいんだよ別に」

「でもさ、同じ精霊なのに全然違うんだね。ルビスなんか500才ぐらいみたいだし」

「誤魔化して教えてくれなかったけどね」

「俺は地(土)の精霊だからな。あまり長生きは出来ない。せいぜい300がいいとこだ」

精霊の種族や血筋によって寿命はまちまちらしい。

ルビス達炎系の精霊は、長い人だと2000年は生きるらしい。

「桁が違いすぎるね」

「ああ、まったくだ」

カルスも頷く。

「その代わり、人間みたいに出生率はあまり高くない」

「私達竜族も、部族によってまちまちですけど、結構長生きですよ」

「シイルはいくつ?」

「ナイショです」

「シ・イ・ル」

ユミちゃんが睨む。シイルはビクリとすくみあがった。

「よ、437ですぅ……」

「よんひゃく……っ?!」

「だから言いたくなかったんですよぅ……しくしく」


「そう言えば、鷹野さんの武器は? 無いみたいだけど」

「ああ、それは俺が特注で注文しておいた」

と、特注~っ?!

「こいつが持ってる棒っ切れと同じぐらいの重さのが一番いいと思ってな」

「ヒビが入ってしまったから、買い換えようかと思っていた所だったんです」

カルスが取り出したのは、見るからに重そうなロングソードだった。

「そんなに重そうな物、使いこなせるでしょうか……」

「心配するな。これは軽い白耀石はくようせきで作った特注品だ」

はくようせき?

「かなり軽いぞ。しかも丈夫だ」

うわ。私のより全然軽い。

「前のと同じぐらいの重さですね。使いやすいです」

「良かったわね。鷹野さん」

「はい。ありがとうございます、カルスさん」

あ、カルスが照れた。かわい~

「でも、鷹野さんばっかりずるいわよ。私達にも何か作ってよ」

「そうしたかったんだが、俺の安月給じゃこれが手一杯だ。次の給料日まで我慢してくれ」

切実らしかった。

「じゃあ、予約ね。私もっとかっこいいのが欲しい」

「じゃ、私はもっと可愛いの」

「お前らなぁ……」


「よし、次は防具だな。女のお前らにはあまり重いものを着せるわけにはいかないが」

「でも、動きにくくならない?」

「多少はそうなるだろう。だが、皮鎧か部分鎧だけでも買っておけ。死にたくなければな」

ぶっきらぼうだけど、心配してくれているのは判る。


結局、私と姉さんがお揃いの皮の胸当て、鷹野さんが胸当てと肩当て。

ユミちゃんとシイルは何も買わなかった。

「邪魔になるからいいや。何かあったらシイルが守ってくれるもんね」

シイルは真っ赤になって照れていた。



店の外に出ると、なにやら騒がしかった。

「何だ?」

塀の向こう、ちょうどお城の方角から、白い煙が上がっている。

「ちょっと待て……あの方向は……城か?!」


――ズズ、ン――

突然、地響きのような大きな音がした。

何かが爆発したのだろうか。煙の色が黒に変わる。

瞬間、私達は駆け出していた。

ルビス、無事でいて!!



続く


あとがき

「こんにちは。鷹野です。今回はルーナさんに来ていただきました」

「初めまして、ルーナです。よろしくね」

「ルーナさんは私が下宿させて貰っている教会でシスターをやっていらっしゃいます」

「さしずめレーコの教育係ってトコね」

「そうですね。先生みたいな感じです」

「そういえば、レーコは学校行ってないの?」

「学校ですか。向こうでは行ってましたよ」

「どんなこと教わるの?」

「母国語と外国語、それに歴史や地理、数学や科学ですね」

「地理や数学はなんとなく判るけど、科学って何?」

「こっちで言う魔法みたいな物です。根本的に違いますけどね」

「ふーん」

「こっちの学校は、やっぱり魔法を学ぶんでしょうか?」

「そうね。後は剣術とか、武術とかね」

「剣術ですか。学んでみたいですね」

「そういえばレーコ、剣が使えるのよね」

「一応、自己流ですけど」

「いいわね。私も、もうちょっと力があったらなって思うのよね」

「それは、私も同じですよ」

「ま、結局無い物ねだりなんだけどね」


「あの、ルーナさんって、カルスさんと随分昔からお知り合いだったんですね」

「そうよ。でも、何でそんな事聞くの?」

「え、えと……その」

「フフ。もしかして、気になってるの? 私達の事」

「あ、あの」

「大丈夫よ。レーコ。あなたの気持ちは、彼が一番知ってるんじゃないかしら」

「ほ、ホントに?」

「嘘言ってどうするのよ。さ、この話はもうお終い」

「な、なんか誤魔化された気がする」

「気のせいでしょ」

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