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第3部第8話

>Naomi

食事の後、私達はサファイア様と学校や普段の生活など色々な話をした。

「行ってみたいわね。あなたたちの国に」

「今度ぜひいらしてください」

「さすがにあまり長い間お城を開ける事は出来ないのよ。そこが辛い所です」

女王様だから公務もあるだろうし、プライベートな時間はほとんど無いんだろうなぁ。


「あ、そうだ」

「どうしたの、姉さん?」

「こんなこともあろうかと、これを用意してきたのよね」

そう言って姉さんが荷物から何か大きい物を取り出す。

持ってきたのはノートPCだった。どうやら上映会をするつもりらしい。

「いつの間にそんなの持ってきたのよ」

「元々、こっちの出来事をデジカメで記録しようと思って持ってきたのよ」

「なるほど、これならある程度のことは、お母様にも判るかも」

「でしょ。百聞は一見に如かず、よね」

「なんです? それは?」

早速、サファイア様は興味を持ったようだ。

「私達の世界の画像がありますので、どうぞご覧になってください」

PCの画面には、私達の町の様子が次々と映し出されていく。


「あらまぁ……これは……」

サファイア様が驚きの声を上げる。

「自然が少ないですね。でも、都市としては立派だと思うわ」

サファイア様は画面を食い入るように見つめる。

「随分大きな建物ねぇ。これはどのぐらいの高さがあるの?」

「このビルは、100階建てです。屋上には展望台もあるんですよ。街全体を見渡せます」

「100階……どのぐらい高いのか想像がつかないわ……昇るのが大変そうね」

「この世界にはエレベーターという自動昇降装置があるので、楽に移動できるんです」

「この橋は? 随分長いようですけど」

「はい。これは海の上にかかっている橋です。対岸を結ぶ、重要な役割を果たしています」


家、学校、商店街、駅、高層ビル、車――

一つ一つ画面が切り替わるたびに姉さんがそれを説明する。

「それにしても、随分と便利なものがあるのねぇ。これは何という魔法なのですか?」

「お母様、魔法ではなく、“科学”という、人間たちが新たに作り出した秩序のようです」

「では、動力は何?まさか勝手に動くわけではないでしょう?」

「これは、光の力と電気……いえ、雷の力で動いています」

「光と雷――でも、魔法ではないの?」

「理屈は、難しいのですけど、ここに光が当たる事によって、動く仕組みなんです」

そう言って姉さんはソーラーパネルを指差した。

サファイア様の頭には‘?’マークが沢山。考え込んでいる。

理解できるはずが無いよね。私だって、専門家じゃないから詳しい説明は出来ないもん。

「こんな物まで作れるなんて。やっぱり人間の力は侮れませんね」

しきりに感心していた。

その時、スヴェンさんが部屋に入ってくる。

「サファイア様、ルビス様。そろそろお休みの時間でございます」

「え~、もうそんな時間?」

私は向こうから持ってきた腕時計に目をやる。丁度9時だった。

「明日は重要な公務があるの。ごめんなさい。皆さん、お先に失礼しますね」

「サファイア様、お休みなさい」

「お休みなさい。ルビスも、早く寝るのよ」

「はい、お母様」

サファイア様はみんなに一通り挨拶してから部屋を出て行った。


「さて、それじゃ、皆の部屋に案内しますね」

ルビスの案内で、部屋に案内された私たち。

部屋って言っても、1部屋が教室の大きさくらいあるんだけど……すごく豪華だし。

ベッドもふかふか。あっという間に寝付いてしまった。




次の日は、精霊界の偉い人たちの会議があった。

昨日サファイア様が言ってた公務というのは、どうやらこれの事らしい。

私達は彼女のご好意もあって、傍聴させて貰うことが出来た。

小さなホールのような部屋の中心に大きな机がある。

そこにみんなで向かい合って座って意見を交わすらしい。

中心にサファイア様が座っていて、その両側に数人の精霊たちが座っている。

傍聴席は一段高くなっていて、勝手に下に降りられないようになっている。

私たちが着いた時にはもう会議が始まっていた。

「一番右側が風の国ウインズ皇国の王女ソフィア。その隣が土の精霊のクラフトさん。その向こうが――」

一人一人ルビスが丁寧に紹介してくれた。

と、下に居たサファイア様に呼ばれる。

「ナオミ、ちょっといいかしら」

「はい」

突然何だろ?

「貴女の事を皆に紹介したいのです。降りて来て貰えますか?」

「わ、判りました」

階段を下りる。視線が痛い。

『ねえ見て、あの子が付けている石。あれって宝珠じゃないかしら』

『あの人間の小娘が継承者だと?』

『しかもまだ子どもじゃないか。大丈夫なのか?』


周りがザワついている。まあ仕方ないよね。


「彼女は、王女である我が娘、ルビスを保護し、魔を退けた勇敢な方です」

サファイア様の言葉に皆の視線が私に集まる。そんな紹介されたら、恥ずかしいよ。

「さ、ナオミ。皆さんに挨拶して下さい」

「は、はい」

言われるがまま、私はルビスとともにサファイア様の隣に立たされる。

「は、初めまして。只今ご紹介に預かりました、水口直美と申します。

 このような所に呼んで頂き、光栄です。本当にサファイア様には感謝しています。

 ルビス様には本当にお世話になりました。この場を借りてお礼を言いたいと思います。

 まだ私の力は微々たる物ですが、これからもっと力を付けたいです。

 そして、ルビス様の後継者にふさわしくなれるように頑張りたいと思います。

 本日はどうも有り難う御座いました」


パチパチパチ

拍手が起こる。悪い気はしないけど、少し大げさだったかな。

サファイア様はそんな私の様子を見て、苦笑していた。

席に戻ると姉さんが冷やかして来る。

「直美、良かったんじゃない?」

「恥ずかしいなぁ。もう」

と、その時正面の戸口が開く。そこには、男が一人。

「人間の、しかもあんな幼い娘に継承権を渡すとは、思い切った事をしますな。女王」

「誰?」

「守堅派のガロン代表です。いつも何かにつけて文句を言ってくるの」

ルビスが私にそっと囁いた。

「それに、あちらには竜族の方も混じっておられるようだが?」

ざわっ。

一斉に私達のいるスタンドが注目される。

「マスター……」

「大丈夫よシイル。なにかあったら私が守るわ」

ユミちゃんが、シイルを落ち着かせていた。

「おい、やめないか! サファイア様の御前だ! 無礼にも程があるぞ!」

スヴェンさんが声を荒げて止めさせようとする。だけど、彼は続けた。

「何故あのような者たちを城へ? 一体何をお考えですかな」

「私が許したのです。これならば、文句は無いでしょう? 下がりなさい!」

サファイア様が一喝する。

「ちっ、まあいい。いずれこの国は混沌を迎えるのだからな」

そう言うと彼は扉を乱暴に閉めて出て行った。

しばらくして、一人の男性がこちらに歩み寄ってきた。

「とんだお見苦しい点を見せてしまったようだ。申し訳ない」

「いいえ。お気になさらないで下さい」

「おっと、自己紹介がまだでしたな。私は」

「クラフトさんですよね。ルビスから……い、いえ……ルビス様から聞いています」

慌てて言い直したけど遅かった。

「はっはっは。ルビス様と随分親しまれているようだな」

「す、すみません……毎日一緒に過ごしていましたから、つい」

「結構結構。逆に羨ましいぐらいです。私も出来ることなら……あ、いやいや」

彼は慌てて首を振った。ルビスと視線が合ったらしい。

「ところで、あなたにお願いがあるのだが」

「なんでしょう……」

「我々精霊はご存知の通リ、あなた方人間達とはあまり交流が無い。

 それに、お互いのことを誤解している部分もある。

 頼む。精霊と人間との橋渡し役となってくれないだろうか」

「は、はぁ……でも」

「最近人間達の活動が盛んになってきていてな、我々の生活場所が追い遣られて来ている。

 我々にとっては死活問題だ。それで、何とかこの問題を解決して行きたい。

 君達の協力がぜひともほしいのだよ」

「分かりました。そういう事でしたら。みんなもいいよね」

後ろを振り返る。

みんな頷いてくれた。

「ありがたい。どうか皆さんの力を貸して頂きたい」

クラフトさんは喜んでくれたようだ。

話がまとまって、ふと気付く。

「あれ?そういえば鷹野さんは?」

「今日は教会に行くとか言って出てったけど」

「あ、そうか、そういえば宗教の事知りたがってたっけ」

この時はまだあまり深くは考えていなかった。

だけどこの後、私達は、改めて彼女の凄さを思い知らされることになる。


続く


あとがき

「こんにちは。鷹野です。今回もサファイア様と直美さんと一緒にやりたいと思います。

 お二人共、よろしくお願いします」

「よろしくお願いします」

「よろしく、鷹野さん」

「ところで、ルビスの姿が見えないようだけど?」

「ルビスさんですか? それなら、よっぽどショックだったのか、帰っちゃいましたよ」

「すぐ逃げるのもルビスの悪いくせね。小さい頃から進歩が無い子だわ」

「なんか、さっきまでそこに居たみたいだよね……」

「実はこのあとがき、2本撮りだったりするんですよね」

「鷹野さん。言わなきゃ解らないんだから黙ってようよ」

「あ」

(しばしの沈黙)

「さ、さて、今回はもう一人ゲストがいらっしゃってます」

「穏健派代表のクラフトさんです」

「え~私がクラフトです。サファイア様には良くして頂いており、感謝しております」

「クラフトはとてもよく働いてくれてるわ。私も感謝していますよ」

「ありがとうございます。光栄です」

「あの会議では、どんなことを話されているんですか?」

「最近は、やはり魔族の話題が多いですね。同族が被害に遭っておりますので」

「そうなんですか」

「後は今後の国の管理や、騎士団の管理などを取りまとめております」

「なるほど。大変なんですね」

「私は特に、騎士団の方を任されております」

「この国の騎士団って、強い人が多いんですか?」

「ふむ――私は他の国の事は解りかねますが……サファイア様、如何でしょうか?」

「そうですね、高い方だとは思います。

 でもやはり一番は氷の国クオーツですね。その軍隊にかなう国はありません」

「氷の国かぁ……行ってみたいな」

「でも、今は国交断絶状態なんです」

「え? どうしてですか?」

「昔、この国は、クオーツと戦争をした事がありました。

 その時は国が滅ぶ瀬戸際まで追い込まれました」

「そんな事があったんですか」

「今の繁栄があるのは、私の母がしっかりとした政治を行ったからです。

 その時からこの国は、女性が王位を継ぐようになりました。私の代で丁度3代目です」

「サファイア様のお母さんと言うことは、ルビスのおばあちゃんですね」

「そうですね、本当は母の後を私が継ぐ筈でした。

 ただ、私がまだ若く、未熟だったので、従姉妹の姉が母の後を継いだというわけです」

「へえ~」

「つまり、ルビスが4代目、ナオミは5代目、ということになりますね」

「私、この国を継ぐんですか? でも、そんなに長く生きられないし」

「直美さん、そこから先はネタバレになりますよ」

「あ、そっか。でも、後継者として選ばれたんだから、何かあってもおかしくないよね」

「そうですね。これからの展開に期待したいと思います」


「では、そろそろ時間となりました。皆さん、今日はありがとうございました。

 それでは、また次回もお楽しみに」

「(全員で)さようなら~」


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