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第2部第12話

「おい、いい加減起きたらどうだ、ノエル」

直美が立ち去った後、ツヴァイはノエルのもとに歩み寄っていた。

「……無視を決め込むつもりか。よし、なら、否が応でも起きて貰うとするか」

そういうと、ツヴァイはおもむろにノエルの服を脱がしにかかる。

「――な……何してるんですか、貴方は!!」


どがぁぁぁぁん!!


「痛つつ……お前も演技が上手くなったものだな」

「……ツヴァイ、何故気付いたんですか……」

ノエルは生きていた。直美を早く行かせるため、死んだ振りをしていた。

「なに、簡単なことだ。ディストをやり過ごした所から見ていたからな」

「――もういいです。貴方は覗きの変態さんですね」

そう言いつつも、ノエルの顔に笑顔が戻る。

「ふん、俺にも通用すると思ったか。愚か者め」

この人には敵わない……ノエルはそう感じずにはいられなかった。

「しかしひどい傷だな。奴は手加減という物を知らんのか?」

「すみません、ツヴァイ。恩に着ます」

「いいから早く逃げろ。早くしないと俺まで罪に問われる」

「はい、ありがとうございます…」

「次会う時は敵同士だな」

「ええ。負けませんよ」

「じゃあな」

ノエルが消える。と、奥に人間の姿が見えた。

「仲間を逃がすなんて。魔族も捨てた物じゃないんですね」

見たことのない顔だった。こいつもあいつらの仲間なのだろうか?

ツヴァイはその娘を問いただす。

「誰だ、キサマは?」

「はい、鷹野玲子と申します」

お辞儀。

「……」

(人間にも変な奴がいるものだ)

「どうかなさいました?」

「いや、ところで、こんな所に何の用だ。仲間を助けに来たのか」

「はい、ですが、途中ではぐれてしまって」

(わざわざ仲間の為に危険を犯してまで……こんな何の力も持たない小娘が)

ツヴァイには目の前にいる少女が信じられなかった。

「魔族に見つかった私は、どうなるんでしょう?」

「どうなると思う?」

「分かりません。でも、多分殺されるんじゃないでしょうか」

淡々としている。

「お前、俺が怖くないのか? 恐ろしいと思わないのか」

「先ほどの様子を一部始終見させて頂きました。貴方達も私達と同じなんですね」

そう言って、にっこり笑う。

「やれやれ。で、お前はこれからどうするんだ?」

「はい?」

「はい?じゃないだろうが。見つかったのが俺だったからよかったが、他の奴なら」

「死んでいた、とでもおっしゃるつもりですか?」

そういうと、どこからか木刀を取り出す。

「おまえ……そうか。そういうことか!」

「私、少し剣の心得があります。お相手願えないでしょうか」

「本気か? 死んでも知らんぞ」

「大丈夫です。あなたはそういうお方ではありませんから」

「まったく……変な女だなお前は」

ツヴァイは苦笑した。


ルビスはいまだに水竜に捕まったままだった。

「ウフフ……さすがの王女様も、もう限界みたいだね」

「う、あ――」

だんだんルビスの意識がなくなっていく。かなり危険な状態だ。

「このまま絞め殺してあげる」

フィアがそう言うと、竜はさらに締めを強くする。

ギシッ……グキグキッ

「あぐぅっ?!」

嫌な音がした。どうやら肋骨が砕けたらしい。

(死ぬかな、私?)

ルビスは一瞬そう思った。

と、突然部屋全体が光に包まれる。

「な、何? なんなの? きゃふぅっ?!」

フィアは、突然上から落ちてきた何かの下敷きになった。

竜が消えてルビスの体が解放される。

「ルビス様! ご無事で……は、ないようですね、大丈夫ですか?!」

「し、シイル……助かりました……」

「結果オーライ……なのかな?」

シイルの足の下では、潰されたフィアが目を回していた。


その後直ぐに、魔法で怪我を癒やし、フィアをふん縛った。

「ところでシイル、皆さんは?」

「それが、移動する時はぐれてしまって……多分、この近辺にいると思うんですけど」

「こらぁ! 早くこの縄解きなさいよ!」

フィアが足をばたつかせる。

「この子、どうします?」

「ん~、このままほっとくのは危険極まりないし。一緒に連れて行くしかないですね」

「ちょっと、どういう意味よっ」

「そのまんまの意味でしょ」

「むぅ~」


「とにかく、誰かと合流しないと」

「フフン。上手く遭えるといいわねぇ」

「憎たらしいわね、あんた」

「何よ。上手く遭えるわけなんてないでしょ。今回のはたまたまよ、たまたま」

「負け惜しみかしら?」

「うう~、まさか上から落ちてくるとは思わなかったんだもん~」

「でも、確かにフィアの言う通りですね」

「ここはね。時空の歪みを扉で繋げてある場所なんだよ」

「そう。だから、慣れていないとすぐ迷ってしまうんです」

「ルビス様、随分とお詳しいですね」

と、ルビスより先にフィアが口を挟む。

「何言ってんのよ。仮にも精霊一国の王女が知らないはずないじゃん」

「う……」

ルビスは苦笑した。

「とにかく、ナオミ達が心配です。急ぎましょう」

「マスター、大丈夫かな」


>naomi


「お姉ちゃん! どこにいるの? 助けに来たわよっ」

前から誰か歩いてくる。姉さんだった。

「良かった……無事だったのね!!」

「侵入者――排除――する」

え? 今なんて?!

「お、お姉ちゃん? きゃぁぁぁ!」

突然、姉さんが私に向かって魔法を放ってきた。

「お姉ちゃん! どうしたの? 私だよ。直美だよっ! 私が分からないの?」

姉さんの目は、まるで命を失ってしまったかのような虚ろな目をしていた。

「うふふふ。そんなに叫んでも無駄よ」

「誰っ?」

「初めまして。私は紅蓮のセラ。本当は王女に来て欲しかったんだけど、まあいいわ」

「あ、あなたね! お姉ちゃんを攫ったのは! 元に戻しなさい!」

「駄目よ。それに、もうこの子は私の命令しか届いていないわ」

「そんな、目を覚まして!!」

そんな私を見て魔族が嘲笑う。

「さあ、ヨーコ、侵入者を抹殺するのよ」

その命令に答えるように、ゆっくりと私に向かってくる。

「分かりました。セラ様……」

バシュゥッ

「熱……ッ!」

姉さんの炎が私の腕を焦がす。

「ウフフフ。姉妹で殺し合いなさい」

「ひ、卑怯者ッ!!」

「じゃ、私はやることがあるので失礼するわね」

「ま、待ちなさいっ!!」

逃がすか! 私は逃げる魔族を追いかける。

と、そこに姉さんが割って入ってきた。

「セラ様に危害を加える奴は、許さない――」

「お姉ちゃん、ほんとに、忘れちゃったの?! 思い出してよ!!」

「私はあなたを知らない」

そう言うと魔法を唱え始めた。

「あなたを殺す」

姉さんとなんか、戦いたくない!

「やめてぇっ」

私の悲痛な叫びも姉さんには届かなかった。

私の体に、雨のように炎が降り注いだ!

「きゃぁぁぁぁぁ!」

続く


あとがき

「え~やるの? こんな時に? しょうがないなぁ。

 森野由美子です。今、私は魔族の巣窟に友達を救出しに向かっています。

 でも、途中でみんなとはぐれちゃったんだよね。心配だなぁ。

 こんな感じでいい? 私、急いでるから」

「おっと、逃がさないわよ」

セラが背後に現れた。

「どうでもいいけどさぁ……あなたあとがき出過ぎだってば」

「いいじゃない。あの子いないんだし」

「そう言う問題じゃないでしょ」

「とにかく、急いでるの。道を空けて」

「駄目よ。王女様の次にマークしているのはあなたなんだから」

「またこれ? このパターンなのね?」

「細かいこと気にしちゃ駄目よ。次回の予告にもなるし」

「冗談じゃないわよ。こんなストーリーと関係ないところで!」

「楽しければいいんじゃない?」

「よかないっ」

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